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2024/03/31|たぶん私は落語にハマる

散歩日和だった。
暑くなりそうだから多少涼しい素材のワンピースにしたのにそれでも暑かった。もう夏じゃん。もう30年も生きているのに、気温に応じたファッションのさじ加減が未だによくわからない。一之輔師匠の落語をサブスクで聴きながら、あついあついと水をがぶがぶ飲んだ。
  

割と大きくなるまで、落語=「江戸時代のもの」「老人が好むもの」「昔のことばがわからないとおもしろくないもの」くらいの認識しかなかった。笑点の大喜利はお茶の間のキッズにも大変わかりやすいので昔から好んで見ていたが、座布団の上でボケ倒すおじいさん(おじさん)たちの職業が落語家だということもあんまりわかってなかったかもしれない。

ちょっと解像度が上がったのは漫画『あかね噺』を読み出してからで、なるほど世の中には寄席というものがあるのか、前座から始まって二ツ目→真打と落語家としてのランクが上がっていくんだな、など初歩の初歩からとっつきやすく教えてくれたので非常にありがたかった。
最近になってU-NEXTで一之輔師匠の『プロフェッショナル』を見て、(各落語家のスタイルにもよるんだろうけど)現代的なボケツッコミとか時事ネタも全然入れてくれるんだ、と俄然興味がわいたのだった。
  

生まれて初めて見た動くものを親だと認識するみたいな感覚で、一之輔師匠のYouTubeやらサブスク音源やらをチェックした。コロナ禍での生配信のアーカイブがたくさん残っているし、業界の掟やら劇場やらについて初心者にいろいろ教えてくれる動画があって大変助かった。
あえて█ャニオタ風に書くとすれば今の私は「プロフェッショナル出の一之輔担(ド新規・茶の間)」って感じだろうか。全然まだ右も左も前も後ろもわからないので追々調べていく。現状にわか以下である。

█████のオタクやってると「一度は█████のライブ観に行ってみたいけど怖い」「粗相したら他のファンに怒られそう」的なことをけっこう言われる。いや基本みんなステージ上のアイドルしか見てねえし、胸より上にうちわを掲げたりしなければ大丈夫なので(初めてでそんなことになる人はまずいない)正直あんまり怯える意味がわからなかったけど、今ならその気持ちが痛いほど理解できる。寄席はなんとなくまだハードルが高いのだ。もう少しROMってから安心して行きたい。区民ホールの片隅からトライするほうが私にはちょうどいい気がしたので、4月に催される落語会のチケットを勢いのまま購入した。同じ笑点の宮治さんも出るので楽しそうだ。
  

まだ軽~~~くかじっただけなのに、古典落語が秘める強烈なロマンに感じ入ってしまう。200年以上も前に作られた噺を数え切れないほど多くの落語家たちが受け継ぎ、それが現代にしっかりと息づき、令和の東京を一人きりで散歩してる私をもニヤニヤさせているのだから恐ろしいことだ。この噺を作った張本人は果たして200年先の人間まで笑わせることなど想定していたのだろうか?

そもそも「師匠と弟子」という不思議な関係が江戸時代から連綿と続いていることさえ考えるだけで気が遠くなる。うちのご先祖さまってどんな人だったんだろう?的なノリで祖先や遠縁を辿れることも、存命の落語家から2~4代も遡れば江戸時代の人だということも、そういう記録がちゃんと残っていることも全部すごい。█████なんてたかだか20~30年前の在籍記録すらあやふやなせいで揉めているというのに……(不謹慎すぎる対比)。
  

生前の祖父は大御所落語家のでっかいCD全集(カセットかもしれない)を持っていたので、まだ生きていればおすすめの噺とか落語家とか教えてもらえたかもしれない。誰のどんな噺が好きだったんだろう。
祖父は私が高3のころ病気で亡くなった。子どもの頃からしょっちゅういろいろ話してきたけど、大人になった今だからこそ祖父に聞いてみたいことがたくさんあって、それが浮かんでくるたび静かに途方にくれてしまう。

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