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フロリダのテロ事件がトランプよりヒラリー・クリントンを有利にしたわけ

先日、フロリダのゲイバーで起きた凄惨なテロ事件には、私も心から悲しみと憤りを覚えた。テロの翌日には案の定、トランプ大統領候補の支持率が上昇し、彼の提唱する「イスラム教徒を国内に一人も入れるな」という過激な発言も支持を得た。

しかしさらに一日経って、世論は今度はヒラリー支持を高めることになった。アメリカ史上最悪の銃犯罪を前に、白人もアフリカ系もヒスパニック系もアジア系もゲイもヘテロも一丸となって困難と悲しみに向き合い、そして銃規制に取り組むべきだ。そう、911直後の頃と同じ心境にアメリカは今なり始めている。町にはあの頃と同じ星条旗のポスターが掲げられ、ポスターの下には「United We Stand(団結して立ち上がろう)」のコピーが記されている。あの当時と同じ光景が広がっているのだ。

そうなると、メキシコ系不法移民を閉め出そうと提案したり、イスラム教徒を入国させるなといった、トランプ氏の考えとは正反対になる。人々がバラバラになるのではなく、まとまろうと提唱するヒラリーの支持率が、今は急上昇中にあり、このまま行くと11月には確実に女性初の大統領誕生といったところだろうか?

私は専門家ではないので選挙の予言はできないが、しかし確実に感じているのは、今回のフロリダのテロにはトランプ氏の影響があるということだ。もちろん、トランプ氏が裏でテロリストを操って...などという陰謀論を語っているわけではない。そうではなくて、差別社会がもう限界にきていたのだろうと思うのだ。

昨年からトランプ氏が人気を得て、共和党の大統領候補に決まるまでの間、彼は幾度となく有色人種に対する差別的発言を繰り返してきた。普段からイスラム教徒であるがゆえに世の中から、目に見える、見えないあらゆる形で差別に晒されてきたアラブ系アメリカ人からしたら、もう限界だと思っていたところかもしれない。そんな折にこのテロ事件は起きた。これはある意味、有色人種の人々からのSOSのサインであると考えても大袈裟ではないのではないか?日本人という白くはない肌の色を持つ一人として、私はそう思う。

犠牲になったLGBTの人々の魂がアメリカを良い方向へ引っ張ってくれることを心から願う。

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