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【新譜感想#6】健全な社会/yonige

ロックバンドyonige

2018年のミニアルバムHOUSEから1年半。
メジャーデビュー後、2枚目のフルアルバムが出ました。

〇yonige

「大阪・寝屋川から来ましたyonigeです」

とMCで発言する通り、大阪出身の女性2人バンド。

Vo.Gtの牛丸さんとBaのごっきん。対象的な2人編成になっています。

2015年に発表された「アボカド」で一躍有名になり(自分の中では)、

失恋などを書いた曲を中心に、活発的に活動。

2017年にアルバム「girls like girls」でメジャーデビュー。

※ツアーも行きました。

少し前ですが、2018年auのCMソングも歌っていました。

そして、この「笑おう」が収録されたミニアルバム"HOUSE"が18年の10月発売。その後もライブや配信シングルを出して活動。

2019年には、武道館でのライブも行っています。

そしてメジャー2ndアルバムの「健全な生活」発売。

同時に武道館で行われたライブDVDの「1本」も発売。


〇感想

今までのyonigeのイメージと違う!

というのが、最初の印象でした。

自分のイメージとしては、1曲目は明るめな曲というか、明るいイントロから始まるイメージ

(さよならアイデンティティーしかり、ワンルームしかり、顔で虫が死ぬしかり)

でしたが、淡々と日常をゆっくり歌っていく、

M1"11月24日"から始まります。

公式インタビューでは、

-『健全な社会』、改めてどんなアルバムになったと感じてますか?
牛丸:今回は、特別何もないアルバムですね。ドラマティックなことがだんだん興味なくなってきて、「何にもない」ということをどうやって書くかっていう方向に変わってきています。
でも、バンドを続けていくには、まず自分が楽しまないといけないから、これはいけないなって思って。
まず、恋愛の曲は書きたくないんです。昔の曲は昔の曲でいい曲だなと思うんですけど、今の自分にはああいう曲はちょっと書けないなって思ってて。だから、自分が恥ずかしくない範囲で如何に平坦なことを歌詞に書けるかっていうところをめちゃくちゃ考えながら今はやってます。
オフィシャルインタビュー公開! | yonige https://yonige.net/medianews/488 (最終閲覧日5/20)

と自身のやりたい音楽へ、大きな方向転換したことを語っています。

そんな「何にもない」日常を歌っていく。

これは、M2の"健全な朝"にもはっきり出ている気がします。

(健全かどうかは分からないが、)後悔のようなものを持つ、朝。

そこから新たなyonigeワールドに引き込まれてしまいました。

上記2曲は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのゴッチこと後藤正文さんがプロデュース。

といっても、所々にゴッチ感は感じたりします。過去にアジカントリビュートで"ソラニン"を歌っているし、相性は良い。

もう一人のプロデューサー、福岡晃子さん(ex.チャットモンチー済)が当たった、M5往生際、M6あかるいみらい。

yonigeには珍しい変拍子。

あかるいみらいについては、ちょっと前に配信された際、感想を書いてます

ゆったりイントロから惹かれ、
仲間と日常の光景、先の自分の昔の場面を切り取り、
今の寂しさと前へ進む。
だんだんとわかっていく感覚が寂しさを感じる名曲。
ポップ寄りだったyonigeでしたが、こういうのも良いなと感じる一曲

みたいなことを書きました。

この曲の間をつなぐのが、yonigeらしいポップな一曲、M3"ここじゃない場所"

場面の切り取り、思い出しては忘れる。

M4はここじゃない場所と往生際を繋げるインスト曲、"intro"。ギターとドラムだけでセッションをしているよう。

ここまでで、

「過去の思い出」、「忘れる」というのも、このアルバムのキーワードということに気づく。

「忘れる」ことについては、公式インタビューでも触れています。

-全体として「忘れる」というワードが鍵になっている印象がありました。
牛丸:昔のことを思い出すときに、何となく切なくなる感じってあるじゃないですか。「忘れる」っていうこと、思い出せなくて「あれ、何だったっけ?」ってなる瞬間は、日常的によくあることだけど、悲しいことだなと思って。
オフィシャルインタビュー公開! | yonige https://yonige.net/medianews/488 (最終閲覧日5/20)

M1-6で一つのピークが来て、

M7"メリークリスマスイブ"で、クリスマスイブの賑やかな瞬間を切り取り、M8"春一番"。

この弾き語りの一曲でさらにピークが来る。

誰にも人生がある。そんなことを思う。

おっとりした愛、ポップなM9"みたいなこと"

※映画「おいしい家族」主題歌

そしてM10"ビオニー"で〆。

この曲で終わらせることで、終始「何もない日常」というテーマをより引き立たせる。

繰り返しになっていますが、一貫して日常を表現した1枚になっています。方向転換したとはいえ、yonigeらしさがすごくにじみ出ている作品です。

全体的にゆったり曲が多いので、聴いてみて、少しびっくりしてしまいましたが、聴けば聴くほどよくなっていく1枚と思います。

ぜひ聴いてみてください。




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