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【良書紹介】習得への情熱ーチェスから武術へー上達するための、僕の意識的学習法

開いてくださった方、どうもありがとうございます。
インサイドセールスを生業にしている「しのざき」と申します。
初めての「note」ですが、とても素敵な書籍に出会えたので投稿します。
これから"何かを極めようとされている方"
特に、私と同じく"インサイドセールスのチームを持たれている方"
読んでいただけると役に立つんじゃないか?と思っています。

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結論

まず本書を読んだ自分なりの結論は
”テクニックではなく、学習の本質がわかった"
と感じました。
"コールテクニック"や"営業テクニック"などではなく
それらを習得する為に、どんな状態を作り上げるのか?
詳しく書かれていました。

前提

後から紹介される内容に違和感のないように、前提情報を補足します。
■どんな人が書いている本なのか?
著者:ジョシュ・ウェイツキン氏
・16歳でチェスのインターナショナル・マスター
・太極拳(推手)の世界大会出場・達人
・異なる分野で最高到達点に上り詰めた人物

■自分がどんな人物か?
note書いた人:しのざき(Twitter
・株式会社ブイキューブ
・インサイドセールスグループマネージャー
・SalesEnablementを2018年から挑戦中

■本書に何を期待し、結果どうだったのか?
【期待】
メンバーオンボーディングのヒントが知りたい
・自分自身も、何かを極めるためのヒントがほしい
【結果】
”抜きん出るために押さえること”がわかった
メンバーオンボーディングのヒントがあった
「教育ってこれが正解かも」と思うことの壁打ちができた

以上のようなことを学ぶことができました。
もし、この内容に共感してくださいましたら
この先も読み進めていただけると幸いです。

本書で何を学んだか?

■負の投資  
~「量が質に転換されるということ」は「本質」だった。~

【抜粋】
学ぶ対象がなんであったとしても、同じ過ちを(技術的にも心理的にも)
二度と繰り返すことがないのなら、その人物は瞬く間にその分野のトップ
にかけ上がれることだろう。

【中略】

つまり目標にすべきことは、
コンスタントに起こる技術的な課題やミスを探して、それをしっかりと
見極め、一度見極めたら、その繰り返しを最小限にとどめることだ。

本書では、武術を極める最初のうちは
投げられそうになったら抗わずに
なんども投げられ続けることで、ミスしやすいポイントを自覚する
ということが例にあげられていました。

何かを始める時まずは「質」より「量」!ということは
多くの方が語る内容ですが、
それが何故大切なのか?をもれなく解説しているのがこの部分だと
強く感じました。

「心理的、技術的なミス」は人間である以上必ず発生しますが、
それを”最小限にとどめるため”に、量をこなし、
ミスを受け止めることから始めていくことの大切さをここで
改めて学ぶことができました。

■より小さな円を描く
~周辺情報からではなく、”本質”から学んでいくことが大切~

【抜粋】
たとえばフィギュアスケートの初心者に氷上でリラックスするための原理を教えるために、いきなりトリプルアクセルから始めるような馬鹿げたことはしないだろう。

【中略】

ごくシンプルな一連の技術を最初に体験することでようやく心の平静を保ったまま一歩一歩ごくすこしずつ複雑な動きを吸収できるようになる。
【抜粋】
僕は身体メカニズムを力強く凝縮させる道を選んでいた。実際の話、激しい競争の中で生き残れる者というのは、自身の持っている技術を相手よりわずかでも深く磨いた者だ。

【中略】

どんな分野でも深さは広さに勝る。
深く掘り下げることで、自分の中に隠れている
つかみどころのない無意識的でクリエイティブな潜在性を引き出すための道を切り開くことができるからだ。

「本質的」と言ってしまえば抽象度が高くなってしまいますが
その分野において、「勝利」や「成功」を収めるための要素を磨き続けるアプローチが大切であるということが、
ここから学ぶことができました。

「インサイドセールス」の領域で例えるなら以下のようなものが
ソレに近いと思います。

・事例からバリュープロポジションを把握する。
→他社が提供できず、お客様が求め、自社のみ提供できる価値
・"現場"で自身のトークテクニックに磨きをかける
→ペーシング、相槌、SPINのテクニック、etc これらを実際にコールの量をシッカリとこなしながら習得する
・ライティングの技術
商談を送り届ける時のピッチメモの表現方法に拘る

■ソフトゾーン

まず、”ソフトゾーン”とは一体何なのでしょうか?

【抜粋】
静かに深く集中し、外見的には穏やかな表情でリラックスしているものの、その心のなかでは精神的活力が渦を巻いている状態だ。

どんな事態が起こったとしても、その心理状態のまま意識が流れ続け生活上のどんなざわめきでさえも、想像力に富んだ一瞬一瞬に組み入れて利用することができる。

このソフトゾーン状態の弾力性は、たとえばハリケーンの強風にさらされても、それに合わせてしなやかに動いて生き延びる草の葉に似ている。

こんな状態に、”自分が意図した時に入れる”ようになることを想像すると、これ以上無い!と感じました。
この状態を作り上げるには中長期的に自分を高めること。
そして、”ソフトゾーン”に入るためのルーティーンを作り上げることが重要だと本書から学びました。

中長期的に自分を高める学習法として、
「達人が相手の動きが遅く感じる理由」を元に解説されていました。
達人は、平均的な人よりも、
情報処理のスピードが圧倒的に早いそうで、
その秘訣は「塊(チャンク)化」だそうです。

【抜粋】
チャンキングと神経経路の開墾をイメージして考えるのが一番わかりやすい。チャンキングとは、大量の情報を融合させ、
その分野における特定のパターンや原理を接着剤にして
ひとつの塊(チャンク)にすること
だ。

【中略】

チェスのグランドマスターとエキスパート(グランドマスターに比べればずっと弱いが、ある程度の能力を有する層)の思考プロセスを
比較すると、グランドマスターのほうが意識的にものを見ている比率がずっと少ない。

【中略】

グランドマスターのほうが情報のチャンクが頭の中でより
まとまっているので、少ない意識的思考で多くのものを
見られるということ、少ない視線で多くを理解できるということだ。

“判断が早い”というのは一つの事柄だけでなく、それに関連する事柄を自動的に引き出せる能力であるように感じました。
インサイドセールスに例えるなら、「製造業のお客様ならこの事例は必ず提出するべきだな」といったような頭の中のいくつもの引き出しがお問合せをきっかけに自動で開かれるような状態を指すように思います。

ただ、この引き出しも”ソフトゾーン”と呼ばれる「心理状態」であるが故に発揮されるものだと思います。
その状態を作るための「引き金」についても本書では解説されていました。

■引き金=リラックスした状態の作り方

【抜粋】
モチベーションを高めてくれる都合の良いツールが宇宙のどこかに
フワフワと浮かんでいて、じっと見つけられるのをまっている発送だ。

しかし僕が提案する方法は、これとは正反対で、自ら引き金を作ってしまうというものだ。

僕はまずデニスに、日常生活の中で一番心静かに集中できるのはいつかという質問をした。

【中略】

これまでいろいろなタイプの人たちを見てきたが、ほぼすべての人が自分をそういう心理状態にしてくれる活動を一つや二つは持っているのに、当の本人は「こんなのは単なる息抜きにすぎない」と言って見過ごしている場合が多い。

その息抜きがどれほど価値あるものになり得ることか、それに気づかないものはもったいなさすぎる!

この部分を補足すると、
本書では「息子とのキャッチボール+瞑想」などが上記の”デニスさん”におけるリラックスを作り上げるアクションでした。

自分に置き換えてみると、ソファーでお気に入りのPVを見ているときがもっとも心休まる時だったので、何か集中力をはっきしたいタスクの直前にあえてソファーに座り、PVを見て、軽く瞑想することで、一気に没頭することができました。

更に本書では、これをソフトゾーンに入る前のルーティン化し、
少しずつ各項目を短くしていくことで、短期間でゾーンに入ることもできる と解説されていました。

■「今・ここ」に注意を置くことの大切さ

人生、毎日色んなことが起きると思います。
悲しい別れがあったり、急に体調を崩してしまったり。
そんな時でも(もちろん休むことが一番ですが)パフォーマンスを発揮しなければ行けないのがプロというものです。

本書では、そんな心理状態でも”冷静さ”を心に留めるための
教訓
のようなお話がありました。

交差点事故の話
【抜粋】
僕が彼らに教えたことの一つは、重大なミスをした後でも澄んだ精神状態をすぐに取り戻して、しっかりと今という瞬間に気持ちを据え続けることの大切さだ。

【中略】

混雑したニューヨークの中心部で、まもなく始まる授業で生徒たちと何を話し合おうかと考えながら僕は信号を待っていた。ほんの数フィート離れたところには、若くて可憐な女性がヘッドホンの音楽に合わせて体を揺らしながら、やはり信号待ちしていた。彼女の存在に気づいたのは、ヘッドホンからドラムビートが漏れ聞こえてきたからだ。

【中略】

右だけを確認しながら車道に出た彼女の左側から自転車が突っ込んできた。この自転車乗りは間一髪のところで咄嗟に自転車を傾けた。彼女に当たりはしたものの、軽い接触だけで無傷のままことなきを得た。そこから先の出来事を、僕はまるで時間が止まったかのように記憶している。それは彼女の生命にかかわる重大な出来事だ。

【中略】

自転車乗りの背中に向かって叫んでいるあの女性の姿を僕はしっかりと覚えている。あの光景は今でも僕の頭の中で凍りついたままだ。その時猛スピードでタクシーが角を曲がってきた。このタクシーに背後から衝突された彼女は、宙に三メートルほど放り出され、その勢いで街灯に激突して気を失い、大量に血を流した。

とてもショッキングな文章ですが、
ここで本書からは「一度ミスが起き、ミスに気を取られることで、
流れる時間の中から自分が置いてきぼりにされてしまう怖さ」

学びました。
ひとつのミスにより、今・ここに集中できなくなることで、後々の大きなミスを生んでしまうということです。

■不利な状況をアドバンテージに変える方法

ミスというものは必ず発生します。
ただそのミスを引きずったままで、戦いを続けるのは
目をつぶりながらスクランブル交差点を突っ切ろうとするようなもの
です。ただ、本書では一見ミスと思われるような状態も、自身を成長させる機会であるというように解説されています。

【抜粋】
頂点を目指すのであれば、他の人なら回避するようなリスクも背負
い、その瞬間にしか学べないことを最大限に利用して、逆境をアドバンテージに変えなければならない。

もちろん確かに、治癒に時間を必要とするケースだってあるが、そういう時期は、競技における精神的、技術的、心理的な部分を深めるためのまたとない機会としてとらえる。

 トップを目指すには、対象に心をシッカリ据えた鋭敏な心理状態が必要だ。障害ができたら、学習プロセスに新たなアングルを生み出すためのきっかけとしてそれを利用する。

なかなか厳しいメッセージだと感じられるかもしれませんが
アクシデントがあったからといって、全てにさじを投げてしまうのは確かにもったいないように感じました。
困難を目の前にした時、自身の成長の機会として捉えられる前向きさを持ち、今・ここにすべてを”困難に即した形で”捧げることで一皮むけることができのだと思います。

■感情をコントロールするために取るべきアクションプラン

局所的に心理に対して変化をもたらす事象として、
「怒り」というものがあると思います。

本書で解説された、”ソフトゾーン”を駆使するだけではなく
突如として襲ってくる理不尽に対抗するアプローチ
として
以下のようなことがアクションプランとして考えられると
思いました。

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常に冷静でいるために、出来ることというのは沢山あるものだと学ぶことが出来ました。

本書で学んだことをどう活かしていけそうか?

読書は読むだけでなく、それを活かすことで意味を成すと思っています。
「インサイドセールス」という業務でどんな風にいかせそうか?
自分なりに考えていました。

チャンク化を使った情報ポータルサイトを作る
理解が深まっているという状態は
その物事に関連する情報に深い知識をもつこと
だと理解しました。

弊社ではSalesforceのChatterを使っているのですが
「学んだことをChatter上でアウトプットし、振り返った時に
関連情報も合わせてインプットできる」
その世界観に近いのが
「ハッシュタグ」だと思いました。

個人が学習したことを
共通したハッシュタグを接着剤のように使い
つなぎ合わせる
ことで、そのことについて振り返った時に
周辺情報も取得できるようになると、関係するメンバーの
知識がチャンク化されるように思っています。

■感情コントロール=リーダーに求められる素養
リーダー職というのは、上位の役職者から
突如、理不尽な依頼などが発生します。

そんな無茶振りの中、仲間のモチベーションをキープしつつ
よどみない連携をしつづけるには、突発的な感情の起伏は
障害でしかありません。

メンバーみんなが健やかに過ごせるよう
先導するリーダー職としては、さまざまなアプローチを駆使して
心の余裕を保って行く
必要があると感じたとともに
本書を通じて、その方法について学ぶことができました。

■ゾーンにはいるために何をするか?
身を持って、ソフトゾーンに入ることを体験できたので
「よし!重たいやつ片付けるぞ!」というときは
普段のデスクではなく、ソファーに腰掛け、ルーティンを
行ってから行動する
ことを習慣づけていこうと思っています。

■「小さな円を描く」=「深さを意識して学んでいく」
強いインサイドセールスになるためには
プロダクトに対する深い理解が必要だと思います。

ただ、学ぶべきことが多くありすぎて何から学ぶべきか?迷ってしまうこともあると思います。

その迷いを最小限にするために「本質的なこと」
意識して、学習プロセスや機会を構築していきたいと
思っています。
個人的に思っているのは上記にもありますが以下です。

1:事例を通したバリュープロポジションの理解
2:製品を直接触る機会の創出
3:自責の念を持った上でのインプット(営業体験)

まとめ

ここまでお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。
本書は、「テクニック」ではなく「学習プロセス」と「学習に必要な心理状態の鍛え方・つくり方」が紹介されていた書籍でした。
非常に参考になる書籍だと感じましたので、これから何かを極めたい!という方はご一読の価値があると思います!


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