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ラブソングを聴く理由:06


初恋は報われないというけれど、この恋はどちらに値するんだろうか。


この盲目的な恋を、人は駄目なものだと片付けてしまうのかな。

紛れもなく私の中の1ページで、木枯らしと共に飛ばされたくはない想いが、今もその時間を生きているかのように募る。


これまで、私は自分を守ることしか考えられない子供だったのだと思う。


明日は早いのに、携帯を100%に充電しておいて、いつかかってくるかわからない電話に備えてベッドに入る。その瞬間、どうにも苦しくなってしまって、涙が溢れるのを止められなかった。

イヤフォンを耳にかけて、誰かに電話をかけようとするけれど、こんなこと誰にも話せない。

ただ勝手に流れてくるラブソングだけが、私の胸をどんどん締め付けていく。


きっと、永遠に続くんだろう。


それは、私が好きとは言わなければ、必要以上に踏み込まなければ、週末に会いたいなんて言わなければ、きっと。

日付をまたいで居酒屋を出て、彼と手を繋いで、タクシーの空車のライトに照らされた歩道を歩く。その瞬間がどうしようもなく好きで、まるで私たちだけ、その空間にいるみたいに冷たい夜の空気が愛おしかった。

眠る街の中、肩を並べて歩く瞬間を切り取って、何度だってリプレイした。

分かっている。分かっている。

電話越し、顔を合わせていないからか、落ち着いたトーンの声が揺れるのが好きで。
彼に家の下にある自販機で、どちらが買うかじゃんけんをするのも、
肌寒い日でも変わらず温かい手も、抱きしめられるとわかる高い体温も好きだった。


この関係をやめようと思えば思うほど、「好き」の数だけが増えていく。
もう逃れられない、いや、逃れたくない恋に染まっていた。


誰もが羨むような恋をしたかったはずの私は、誰にも言えない恋をしている。
美しいものでもなく、ただ、自分を正当化するための、プライドを守りながら。


念入りに化粧をして、髪を巻いて、お気に入りのスカートを履いて、家を出る。
ひっつめ髪の私はもういない。明日は雪が降るって天気予報が騒いでいた。


「お待たせ」

0時を過ぎた待ち合わせも、二人だけの秘密のような気がして嬉しかった。でも最近は彼に会うたびに、次を取り付けてしまいたくなる。

縋らないなんて、嘘もいいところで、すっかり嵌ってしまった都合のいい女。恋人でも友達ですらない私たちの関係には始まりも終わりもない。

どちらかが勝手にいなくなるのを、待つだけ。



この頃にはもう、約束もないのに呼び出されるたびに、さよならを言われている気分だった。



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最終回へ続く。


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