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『silent』聖地 -巡り巡られ-

ドラマ『silent』にどっぷりとハマってしまった。
病気・障がいを物語のアイテムとして使うのはあまり好きじゃないけど、セリフや演出がさりげなく凄まじくて、気づけば毎週それを摂取しないと生きていけない体になってしまった。

ハマってしまった要因のひとつとして、ドラマの舞台が近所にあるという点がある。1話で湊斗と紬が歩いていた道は自宅から5分足らずのところにある私がいつも使う道で、「あ!」と友達がテレビに映ったときのような興奮を覚えた。
その後もどうやら近所のような場面が続き、具体的な駅名が出るようなシーンもあった。最寄りから2駅先のところだった。

平日に振替休日があり暇だったため、「行っちゃお」と軽々と決めた。その駅へは自転車で10分程度のところにあり、調べてみると駅の周辺にもロケ地が多くあるらしい。いわゆる”聖地巡礼”だ。気持ちいい晴天でどうにかして外へ繰り出す理由を作りたかったため、絶好の巡礼チャンスだった。

目的の駅は世田谷代田という駅で、1話から何度も紬が駅前にいるシーンが流れていた。自転車で駅前につくと、スマホを駅看板に向け写真を撮る人々が5.6組いた。皆考えることは同じである。

当たり前だが世田谷代田駅の看板はドラマで観た通りで、駅前のベンチや橋、道路は確かに画面の中で見たものと同じだった。人々が行きかう何の変哲もないベンチや橋に対して、「あ~ここでイヤホンを、、」とか「うわっここ紬と想の、、」とか特別な感情を覚える初めての体験だった。
どことなくオシャレかつきれいに整備されていて、ロケ地としてはかなり使いやすいところであるように感じた。

1話ラストの橋。天気がめちゃくちゃ良い

聖地巡礼的なことをするのは初めてだったが、とても不思議な感覚だった。ドラマが放送されるずっと前から存在する駅・橋・道路がひとたび舞台として使われることで聖地となり、ファンはそこへ足を運ぶようになる。
もちろんドラマを知らずに普段からそこを使っている人も大勢いて、その人たちにとっては自分のテリトリーが聖地として神格化されるという状態になる。

冒頭で書いた1話で湊斗と紬が歩いていた道もそうで、私が普段何気なく使っている道が一晩で聖地にグレードアップしたことになる。まんまと私はその聖地侵略にハメられてしまい、ドラマのファンになっている。

聖地巡礼が視聴者→ドラマの方向だとしたら聖地侵略はドラマ→視聴者の構図となり、「あなたの知ってるとこで撮ってるから来週も観てくださいね」と耳元で囁かれているような感覚がある。とにかく何があっても最終回まで見届けたいし、みんなが幸せで終わってほしい~!

聖地巡礼⇔聖地侵略を同時に味わえる貴重な体験をした。近所の方はぜひ。

奥のスロープとか階段のあの感じ伝われ~

脳内の引き出しが足りないので外付け脳みそとして活用しています。