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バッシング・サマー①

2020年8月24日、人生の転機は突然やってきた。

「頭、いて~~~~~~~~」
朝目覚めた瞬間から激しい頭痛が襲った。眠気と痛みで朦朧とする中、「脳?脳のアレ的なやつ?」「えっこれはセルフ救急車?」「もうすぐバイトの時間じゃない?」「バイト先に連絡しようよ」「いやいやサボっちゃえよ」と天使やら悪魔やらが次々と語りかけてきた。

体を起こし少し落ち着くと、頭痛の原因が分かった。奥歯だ。
奥歯に物が詰まって歯ぐきが少し痛むことが昔から時々あり、その日はそれの集大成みたいな激痛が頭までまわってきたのである。

その日は午前中バイトが入っており、出勤の時間が迫っていた。
落ち着いてみると救急車レベルの痛みではなかったため、鎮痛剤を飲みバイトに向かった。
バイト中もぼんやりとした意識のなかで、「ここらへん歯医者あったっけ」「どうやって予約するんだろ」「財布にお金入ってるかな」「裏の金庫から盗んじゃえよ」「10万盗んじゃえ」と悪魔中心のささやきが繰り広げられていた。

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12時にバイトを終え家に帰り、蒸し暑い部屋ですぐに『歯医者 予約』で検索した。
茨城に引っ越してきてから歯医者なんて行ったこともなかったし、そもそも予約してすぐ行けるものなのかも疑問だった。
近所の歯医者が表示されたが、予約日程が一番早くて3日後と書かれていた。他の歯医者も、大体が2,3日先まで予約でいっぱいという大人気ぶりだ。近所、みんな歯磨かずに暮らしてる??

そんな中、ある歯医者に13時半から予約可能の◎がついていた。
場所を調べると、自転車で30分ほどの距離。もう迷ってはいられない。予約ボタンを連打し、どうにか即日歯痛治療権を獲得した。

痛みと暑さに悶えながら自転車をこぎ、なんとかその歯医者にたどり着いた。
ボロ医者を覚悟していたが、建物自体はキレイかつ新しめでとりあえず一安心した。でも周り一面田んぼ!!!!!!
揺れる田んぼに真夏の日差しが注ぎ蝉が鳴き叫んでいるその光景は、どこかサマーウォーズを想起させるものがあった。

ギラギラとした太陽に照らされた歯医者の扉を開き、私と歯医者のサマーウォーズも開戦した。

②へ続く

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脳内の引き出しが足りないので外付け脳みそとして活用しています。