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#2000字のホラー

【小説】幽霊

幽霊が、死んでいる。朝目が覚めて一番に思ったことがそれだった。
ベッドから上半身を起こして自分の左隣を見る。“それ”はこちらを背にして身体を丸め、俺の隣に横たわっていた。ベッドについたはずの左手が横になった幽霊の背骨のあたりを抵抗なく貫通していたので、慌てて手を引っ込める。顔を覗こうにも、伸びた髪の奥に黒くドロドロとしたものが見えるだけで、観察しているうちに気分の悪くなった俺はゆっくりとベッドを降

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