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HamCup 俳句教室

HamCupの俳句教室 〜ハム祭に向けて〜

真夏の陽射しが照りつける7月23日、HamCupの28匹のメンバーたちが、いつもの集会所に集まってきた。リーダーのじゃがが、みんなの前に立って話し始める。

「みんな、聞いてくれ。今年のハム祭で、俳句の披露会をすることになったんだ。一人一句ずつ、夏の季語を使った俳句を作ろう!」

クルーの間でざわめきが起こる。

「俳句?難しそう...」とプリンがつぶやく。

「大丈夫だよ、みんなで協力して作ろう!」とさくらが励ます。

そこで、文学に詳しいべにたんが立ち上がった。

「みんな、俳句の基本を教えるよ。5・7・5の音数と季語を使うのが基本だけど、何より大切なのは自分の感性を表現することだよ」

べにたんは黒板に向かい、俳句の基本を書き始めた。

1. 俳句の構造:5・7・5の音(モーラ)
2. 季語の使用:俳句には必ず季節を表す言葉を入れる
3. 切れ字の活用:「や」「かな」「けり」などを使って余韻を作る
4. 写生:自然や日常の風景を生き生きと描写する
5. 余白の美:すべてを言い切らず、読み手の想像力に委ねる部分を残す

「例えば、夏の有名な俳句を見てみよう」とべにたんは続けた。

「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」(松尾芭蕉)

「この句では、『蝉の声』が夏の季語です。そして、静寂と蝉の声のコントラストが見事に表現されていますね」

メンバーたちは熱心にメモを取り、質問を投げかける。

「季語って、どんなものがあるの?」とハムりんが尋ねた。

うずらが即座に答える。「夏の季語なら、朝顔、花火、浴衣、風鈴、かき氷、夕立など、たくさんあるよ。季語辞典を用意したから、みんなで参考にしよう」

次の日、実践的な俳句作りが始まった。メンバーたちは集会所の周りを散策し、夏の風景をスケッチブックに描いたり、メモを取ったりした。

さくらは庭の朝顔を見つめ、色とりどりの花びらにインスピレーションを得ていた。一方、くべしは冒険心を発揮し、近くの山に登って自然の中で俳句を考えていた。

3日目には、お互いの俳句を批評し合う時間が設けられた。

「じゃあ、誰か発表してみてくれる?」とじゃがが声をかけた。

くべしが元気よく手を挙げた。「はい!私の俳句を聞いてください!」

「富士登山 頂上目指し 転げ落つ」

部屋中が笑いに包まれた。

「くべしらしいね」とじゃがが笑いながら言った。「でも、もう少し夏らしさを出せないかな?」

さくらが提案した。「『富士登山』の代わりに『真夏の富士』はどうかな?季節感が出るよ」

くべしは目を輝かせた。「おお!それいいね!」

次はリーゼント丸(通称リゼ丸)が恥ずかしそうに前に出た。

「僕のはまだ完成じゃないんだけど...」

「花火見て あっと驚き 尻もち」

またしても笑い声が起こる。リゼ丸は照れくさそうに頭を掻いた。

「リゼ丸らしい可愛らしさがあっていいと思うよ」とあんみつ姫が優しく言った。

「でも、『あっと驚き』と『尻もち』が重複してる感じがするな」とハムまろが指摘。「『花火見て 目を奪われて 尻もち』とかどうだろう?」

「おお!それいいね!」リゼ丸は嬉しそうに頷いた。

最後に、もみじが深呼吸をして自信たっぷりに俳句を詠み始めた。

「星空や あひゃあひゃあと 笑う夜」

「あひゃあひゃあ」という独特の擬音に、一瞬静まり返ったあと、大きな笑いが起こった。

「もみじらしい面白い俳句だね」とじゃがが笑いながら言った。「でも『あひゃあひゃあ』って、ちょっと俳句には珍しい言葉かもしれないね」

「そうだね」となないろが言った。「でも、この雰囲気は残したいな。『星空や くすくす笑う 夏の宵』とかはどうかな?」

もみじは少し考えてから、「うんうん、それもいいね!でも『あひゃあひゃあ』も捨てがたいなぁ」と言って、みんなで笑い合った。

その時、普段はあまり目立たないハムまろが静かに立ち上がった。

「僕も、ちょっと変わった俳句を作ってみたんだけど...聞いてもらえるかな」

みんなが興味深そうに耳を傾ける中、ハムまろは落ち着いた声で詠み始めた。

「真夏の陽炎
 揺らめく空気に溶ける
   蝉しぐれ」

部屋の中が静まり返った。

「えっ、これって俳句なの?」とハムりんが首をかしげた。

べにたんが説明を始めた。「これは自由律俳句というんだ。従来の5・7・5の音節にとらわれず、自由な形式で詠む現代的な俳句だよ」

「へぇ、そんなのもあるんだ!」とみんなが驚いた様子で声を上げる。

じゃがが感心したように言った。「さすがハムまろだね。伝統的な形式にとらわれず、新しい表現を探ろうとしているんだ」

「でも、ちょっと難しくない?」とプリンが心配そうに言った。

ハムまろは少し照れくさそうに答えた。「確かに少し難しいかもしれない。でも、夏の暑さで揺らめく空気と、その中で響く蝉の声を表現したかったんだ。従来の形式じゃ、どうしても伝えきれない気がして...」

「なるほど」とアクアが頷いた。「確かに、この形だと蝉の声が空気の中に溶けていくような感覚がよく伝わってくるね」

「私も好きだわ」とあんみつ姫が優雅に言った。「でも、ハム祭では伝統的な形式の方が良いかもしれないわね」

ハムまろは少し考え込んでから言った。「そうだね。じゃあ、もう少し工夫してみるよ。17音は守りつつ、自由な形で表現できないかな」

「その調子!」とじゃがが励ました。「みんな、ハムまろの挑戦を参考にしつつ、自分なりの表現も大切にしていこう」

こうして、HamCupのメンバーたちは、伝統と革新、個性と協調のバランスを取りながら、さらに俳句づくりに励んでいった。時には笑い、時には真剣に考え、それぞれの個性を活かしながら、より良い俳句を目指して努力を重ねていった。

そして、8月6日のハム祭当日を迎えた。28匹のHamCupたちは、緊張しながらも誇らしげに自分たちの俳句を披露した。

じゃが「夏の空 仲間と見上げ 未来誓う」
さくら「朝顔に 七色の夢 咲きにけり」
プリン「風鈴や 法の響きの ごとくさわやか」
かぷちーも「すいかわり 包丁さばき 腕の見せどころ」
とっとこハム娘「熱中症 予防の知恵を 風に乗せ」
くべし「真夏の富士 頂上目指し 転げ落つ」
リョータ「水遊び 笑顔はじける 夏の日に」

そして、ハムまろの番が来た。彼は少し緊張した様子で前に出ると、ゆっくりと俳句を詠み始めた。

ハムまろ「蝉しぐれや 七月の空 溶けゆく」

会場が静まり返った後、大きな拍手が沸き起こった。

「すごい!」「なんだか新鮮!」という声が聞こえる。

べにたんが説明を加えた。「これは17音の自由律俳句です。伝統的な5・7・5の形式ではなく、6・6・5という新しい音の配分で表現しているんですね。見事です」

じゃがも感心したように言った。「ハムまろらしいね。伝統を守りつつも、新しい表現を探る。音の配分を変えることで、蝉の声が空に溶けていくような独特のリズムが生まれているよ」

ハムまろは照れくさそうに頭を掻きながら、「みんなのアドバイスのおかげだよ。17音という伝統は守りつつ、自由な表現を試してみたんだ」と言った。

続いて、他のメンバーも個性豊かな俳句を披露した。

リーゼント丸「花火見て 目を奪われて 尻もち」
もみじ「星空や くすくす笑う 夏の宵」
アクア「扇風機 改造しては 主張する」
うずら「夏祭り 企画書片手に 準備忙し」
すいめい「汗の滴 忍びの技で 拭いにけり」
ハムりん「宝くじ 当たれば涼し 南の島」
ラッキー「夏商戦 利益を求め 汗をかく」
なないろ「新発明 扇子になる 傘できた」
くり坊「腕立てを 百回こなし 夏を待つ」
みたらし「蚊遣り火に 形を変えて 影法師」
タンゴ「夏の恋 クールに装い 胸は熱く」
ついてる「浴衣着て 七変化の 夏の宵」
バク「手品して 消えた暑さよ 夏の日に」
このは「残暑かな 効率よく働き 涼を得る」
たいあん「海原を ドライブしつつ 涼を呼ぶ」
ハムレット「正義の剣 夏の悪退く 英雄かな」
クリオネア「盆踊り 輪になり結ぶ 夏の絆」
むらむすめ「日焼け肌 自撮りしたなり 夏大好き」
あんみつ姫「風鈴や うちわであおぐ 夏の宴」
べにたん「夏の月 俳句に込めし 芸術魂」

俳句の披露が終わると、会場は大きな拍手に包まれた。それぞれの個性が光る俳句に、みんな感動していた。

じゃがが前に出て、こう締めくくった。「みんな、素晴らしい俳句をありがとう。一人一人の個性が光る俳句を聞いて、改めてHamCupの多様性を感じたよ。料理好きなかぷちーもの包丁さばき、くべしの冒険心、リゼ丸の愛らしさ、もみじのユーモア、ハムまろの知性...。みんなの個性を活かしながら、伝統を大切にし、新しい表現に挑戦する姿勢。これこそがHamCupの絆であり、強さだね。来年はさらに素敵な俳句が詠めるように、一年頑張ろう!」

こうして、HamCupの俳句教室は大成功のうちに幕を閉じた。それぞれのカップに戻りながら、ハムスターたちは既に来年の俳句のことを考え始めていた。中でもリーゼント丸は、「来年は俳句だけじゃなくて、川柳も挑戦してみたいな。でも、また恥ずかしいことにならないといいけど...」とつぶやいていた。一方、ハムまろは「次は季語を使わない無季自由律俳句にも挑戦してみようかな」と考えていた。

HamCupのメンバーたちは、この経験を通じて俳句の奥深さと、互いの個性の素晴らしさを再確認し、さらに絆を深めたのだった。

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HamCupメンバーの俳句一覧

- じゃが:夏の空 仲間と見上げ 未来誓う
- さくら:朝顔に 七色の夢 咲きにけり
- プリン:風鈴や 法の響きの ごとくさわやか
- かぷちーも:すいかわり 包丁さばき 腕の見せどころ
- とっとこハム娘:熱中症 予防の知恵を 風に乗せ
- くべし:真夏の富士 頂上目指し 転げ落つ
- リョータ:水遊び 笑顔はじける 夏の日に
- ハムまろ:蝉しぐれや 七月の空 溶けゆく
- リーゼント丸:花火見て 目を奪われて 尻もち
- もみじ:星空や くすくす笑う 夏の宵
- アクア:扇風機 改造しては 主張する
- うずら:夏祭り 企画書片手に 準備忙し
- すいめい:汗の滴 忍びの技で 拭いにけり
- ハムりん:宝くじ 当たれば涼し 南の島
- ラッキー:夏商戦 利益を求め 汗をかく
- なないろ:新発明 扇子になる 傘できた
- くり坊:腕立てを 百回こなし 夏を待つ
- みたらし:蚊遣り火に 形を変えて 影法師
- タンゴ:夏の恋 クールに装い 胸は熱く
- ついてる:浴衣着て 七変化の 夏の宵
- バク:手品して 消えた暑さよ 夏の日に
- このは:残暑かな 効率よく働き 涼を得る
- たいあん:海原を ドライブしつつ 涼を呼ぶ
- ハムレット:正義の剣 夏の悪退く 英雄かな
- クリオネア:盆踊り 輪になり結ぶ 夏の絆
- むらむすめ:日焼け肌 自撮りしたなり 夏大好き
- あんみつ姫:風鈴や うちわであおぐ 夏の宴
- べにたん:夏の月 俳句に込めし 芸術魂

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