自分が見出したもの

 昔から人の役に立つことが好きだ。だが、高校生の時の自分は将来何がしたいのか分からなかった。高校生の時の3者面談の前、叔母からの「看護師はどう?」という言葉がきっかけだった。

 昔から人の役に立つことは好きだった。しかし、自分は当時、工業高校に通っていたため、就職する同級生がほとんどだった。その中で自分はどうすればいいのか分からなかった。その時にかけてもらった言葉に、背中を押された。

 自分が進学したのは、電車で約1時間の、大学卒業の資格も取れる看護専門学校だった。看護の世界がどのような世界か当時は、分からなかった。当然、優しいものではなかった。毎日の授業や実習、初めての遠距離通学で慣れるまでには時間がかかった。4年間通った電車からの風景は忘れられないだろう。
 春は桜、夏は緑、秋は赤や黄色、冬は雪景色。四季の景色は今でも忘れられない。辛い毎日もそれを見て、頑張った。

 時がたち、晴れて看護師になったわけだが、もちろん就職した後も優しい世界ではなかった。毎日、業務を覚える日々、疾患の勉強や、患者さんの情報収集など大変であった。看護師は病棟間の異動があると思うが、自分は奇跡的に同じ病棟に居させてもらっている。

 自分のいる病棟は、循環器内科と言って主に心臓系と言われる病棟だ。疾患で言うと、心筋梗塞、狭心症、高血圧などである。

 就職して今年で6年目であるが、まだまだだ。その中で自分が見出したものは、心不全患者さんの看護だ。

 心不全についてご存じない人もいるだろう。心不全とは一言でいうと心臓がだんだん弱っていきやがては死に至る、病気ではなく様々な病気が重なって起こる症候群のことだ。

 心不全の患者さんは良くなったり、悪くなったりを繰り返していく。一度良くなったと言って病気が治ったわけではない。簡単に言うと、がんと一緒だ。たくさんの患者さんとの関わりを通して、良い思いもしたが、一方で悪い思いもした。思うように治療が上手くいかず、そのまま亡くなる人もいる。そのほとんどは患者さんの思いや、願いが叶わないことが多い。どのような願いが多いのか。あくまで自分の経験だが一番は「家に帰りたい。」だ。

 自分は家に帰りたいを叶えるために奔走している。近年できた新しい資格である、心不全療養指導士を目指している。一人でも多くの患者さんの思いや、願いを叶えられるように、そして寄り添えるようにこれからも精進していきたいと思う。

#私の仕事

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