どうにも消化できない

最近、子供が被害者となる痛ましい事件が
前より起こっているように思う。
虐待やいじめや誘拐…
どれも耳を疑うようなものばかりだ
そう、もしかしたら心のどこかで「耳を疑っていた」のかもしれない
自分たちの身に起こるまでは

我が家の子供はアイドルが好きだ。
それまではおもちゃを買って与えてもすぐに飽きてしまうタイプの子だった。だから、アイドルについてもそのうち飽きるだろうと思っていた。
でもキャラクターを好きになり、曲を好きになり、外国語を覚えて、踊れるようになった。親ばかだがなかなかの出来だ。

そんな子がずっと「ライブに行きたい」と言っていた。だけど何度も連れていけるような余裕はないし、三人いる子供のうちその子だけ機会を与えるわけにはいかない。同じように分けてあげられるように配分を考えると、時期ではなかった。そんなこんなで、あっという間に約三年、ファンでいる季節は過ぎた。

そのうち家族もそのアイドルの歌を鼻歌で歌えるようになったし、末っ子も音に合わせて踊るようになった。それだけ毎日聴いているんだね。
ある日ファンイベントが開催されることが分かり、また行きたいと言われた。しかももしかすると近い将来休業する可能性が高いとわかった。

それであれば会えないうちに公開するのは私としてもかわいそうに思い、遂にチケットの申し込みを承諾することにした。
一枚約1万円。やっぱり子供の道楽(いや、おとなでも)高い!
だけど、後悔よりは「あの時は高い買い物をしたねー」と笑いあう方がいい。そう思って抽選、何倍だかわからないような確率のチケットをゲットできた(ちなみにファンクラブしか入手できないものなので、事前にファンクラブ会員費約7千円も払っている)

お金ばかり気にしているようにも見えるが、グッズなども含めるとなかなかの額。普通の家庭な我が家にはぜいたくなのかもしれない。

チケットを手にしてから4カ月。季節も過ぎて気持ちも高まってきた。

風邪に気を付け、当日着るものなどにも気を配り、子供はその日の為に頑張ってきた。


だけど


行けなかった。


スタジアムの目の前で

道行く知らない人たちに蹴られたり、傘で突かれたりして暴力を受けたのだ。




はじめ電話をもらった時には「耳を疑った」
何言ってるの?大人が知らない人を蹴る?そんなことあるわけない。
泣きながら電話をかけてくる我が子のことをこともあろう母親が疑ったのだ。

最低だよね。


あれだけ楽しみにして
あれだけ頑張って
あれだけ夢を見たんだ。
ちょっと足が当たったんじゃないの?
大げさなんじゃないの?

そう思ってしまったんだ。


また私は子供に一生忘れられない過ちを犯してしまった。


「誰にやられたかわからない、たくさん人が行き来する中で、最初は私もぶつかっただけだと思った。だけど


小学生のクセに
アイドルに貢げもしないくせに

そう言われて蹴られて、周りは笑っていた」

って


疑いはジワジワと怒りと不安に変わり、すぐに迎えに行った。

雨の中傘もささずに濡れた猫のように
娘は泣いていた。
周りの人々は忙しそうに移動するだけ


誰か守ってくれるだろう
そんなこと思って見送ってはいない
だけど最低限何人かが故意に暴力を振るう様子があるなら誰かが声を出す、それは日本人がうっすら心にある「日本である安心感」なんじゃないだろうか

最近朝のテレビで若者が高速道路を自転車で走ったり、冷蔵庫の中に入って動画を撮ったりというニュースがあふれている。
でも私は「なんだかおかしいね、でも番組としてそういう一面だけを強く取り上げているんじゃないの?」という気持ちで見ていた。


だけど我が家に起こったことはそんな思いを一瞬で蹴散らした。


怪我をするほどでもなかったので娘を車に乗せて帰路についた
まだ受け入れられなかった
でもこれ以上怖い思いをするかもしれない
だからライブに行くことはできないという娘の考えを優先することにした



それから一週間が経とうとしている

毎日の生活はやってくるからこなす
学校にもいっている
月曜日仕事終わって帰ったら髪を肩までバッツリ切っていたのはビックリしたけれど
それ以外はなんとかつないでる。

なんとかね

私は不甲斐ないから一人になると泣けてくる
夢を叶えてやれなかったこと、娘が怖い思いしたのにすぐ信じてやらなかったこと、これからこんな日本で子供たちが過ごしていかなければならないこと

どうにも消化できなくて、裏垢作って書き込むかなって子供につぶやいたら

「そんなんしたって届かないよ。もうそこには居たくないからやめな」

と言われて

心強いやら寂しいやら

子供も毎日泣いている。
もちろん私より切ないのは本人だ。
でも切り替える努力をしている

凄いやつだ

その視点を教えてきたのは私のはずが、いざとなったら私の方が小っちゃかった。



みんな
隣にいるのは誰ですか?
その人を関係ないと思う人生と、一緒に笑いあう同志だと思う人生と
どちらが実りあるものでしょう

隣人を愛せ、とはどこかの誰かの言葉だけど
何かを信仰していなくてもわかることはある
人を傷つけてはいけません
自分を大事にしましょう
あなたは愛せるし、愛される人なの
寂しいならまず話しかけてみようよ

そんなことを考えてしまう。
だって私の中には女の子同士が蹴りあったり、いがみ合ったり、自分のイライラを解消するために誰かを傷つけるなんてないよ。


どうか

どうか

日本の子供が、世界の子供が
明日を楽しみにできる世界であってほしい



切に願います

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