虫嫌いな私が期待する事#未来のためにできること
「土いじりはしますか?」
突然、声が出なくなった。徐々に話ができるようになってもそれ以上の回復が実感できなかった。このまま元に戻らないのではないかという不安が過り、医者嫌いの私は意を決して受診した。検査結果を伝えられた時に医師から言われた言葉が「土いじりはしますか?」であった。どうやら私は、非結核性のVirusに感染しているらしい。他者に感染はしない慢性の気管支炎なのだそうだ。そのVirusは土の中に潜んでいて、家庭菜園やガーデニング、生業とする農作業など、土と関わる人に多く見られる症状だという。つまり、私のような咳の症状を訴える人のうちおよそ3割は、非結核性のVirusに感染しているのだと説明を受けた。「そう言えば、爺ちゃんや婆ちゃん、おじさん、おばさんみんなよく咳してたよね」と、かつて農家だった甥っ子が仰ぐような表情をして言った。お年寄りが飴を持ち歩くのは咳が出るからという理由は関係あるのだろうか。
私は日焼けによるシミやシワ、肌の老化が怖くて陽射しを避けている。加えて、虫が苦手だから土いじりも殆どしない。それなのにVirusに感染してしまった。元々気管支が丈夫ではなかったことも要因ではあるようだ。だからといって自然の中で新鮮な空気を思い切り吸って新鮮野菜を頬張ることを躊躇しなければならないなんて。なんとも情けない限りである。
「草むしりの時も必ずマスクしてくださいね」そう医師から指導を受けた。冬は防寒用に夏は照り返しによる日焼け防止にと医師の指導を受ける前からいつもマスクを離さない日常を送ってきた。だが、これからはマスクを外さない理由がもうひとつ増えてより明確になった。マスクを離さない生活が定着しそうだ。
虫嫌いな私が虫とは関係のない体験をお話ししたのは、地植えでは無い農業が今以上に発展していけばいいのになあと考えたからである。虫食いだらけの野菜を見て「虫も美味しいとわかってるのね」なんて言いながら無農薬なんだから仕方ないと安心したくないのである。虫が口に入るかもしれないと考えただけで鳥肌が立ってしまう。無農薬は安心だけれど虫食いだらけの野菜は怖い。虫が裏に隠れているかもしれないから口にできない。私は虫がついていない野菜の方が嬉しい。だから、虫が嫌いな私でも自給率アップの一助を担えるように家庭菜園の方法さえも改善されることを期待したいのである。
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