見出し画像

フリーランスになる前・なった時に注意すべきこと(事前準備と税金編)

先日、「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」という長いタイトルの本を読みました。

会社員だと税金などは天引きされてから受け取っているので、どういう税金をいくら払っているのかよく分からない、というのはよく聞く話ですよね。
僕もよく分かっていなかったです。

この本には「知ってないとマズいこと」「知っておいた方がいいこと」がたくさん書かれていたので、どんなことが書かれていたのかに加えて、自分で追加で調べてみたこともまとめてみました。

内容が結構盛り沢山なので、何回かに分けて記事にしようと思いますが、今回は「事前準備と税金」編です。

それでは早速いってみましょう。


フリーランスになる前にやっておいた方がいいこと

会社員の経験しかない人には実感がないかもしれませんが、少なくとも日本においては「会社員」はめちゃくちゃ信用の高いものだったりします。
(ここでいう「信用」とは、この人はちゃんと「安定的にお金を払えるかどうか」という意味が強いです)

フリーランスになると、その信用が一気に失われてしまいます。
それなりに名の知れた芸能人でも、部屋を借りようとしたら断られたという話もたまに目にしますしね。

信用を築いていくのにはどうしても時間がかかってしまうので、事前準備として信用の高い会社員である間にやっておいた方がいいことがあります。

  • クレジットカードを作る

  • 引っ越しの予定があれば予めやっておく

  • 翌年の住民税を支払うだけのお金を用意しておく

  • レシートや領収書を集めておく(開業準備の経費として扱えるので)

特に上2つのクレジットカードと引っ越しは、できるだけやっておいた方がいいことです。
どうせやることであれば、先にやっておくことに越したことはありません。

3つめの住民税は結構忘れがちですが、社会人1年目と2年目の頃を思い出してください。
1年目は住民税が引かれないけど、2年目からは引かれるから1年目よりも手取りが少なくなったという経験をしませんでしたか?

そうなんです、住民税は前年の所得に合わせて支払う税金なので、会社員最終年分の住民税をフリーランス1年目に支払わないといけないわけです。

フリーランス1年目からまとまった売上を見込める場合は気にしなくてもよいかもしれませんが、そうでない場合は住民税分ぐらいは支払えるお金を会社員の間に残しておいた方がよさそうです。

4つめのレシートや領収書は、どうせ買わなきゃいけないもので開業の準備の経費として扱えるものであれば、経費にすることで節税の効果があるので残しておきましょう、ということですね。


そもそも税金ってどんなものがあるの?

どんなものがあるの?の前に、そもそも税金ってなんやねん?という話から。

苦労して働いた結果としての報酬を何故か国にがさっと持っていかれてしまう無慈悲なもの、といった印象もあるかもしれません。
しかし、道がちゃんと舗装されていたり、ゴミを処分してくれたりと、生活している上で当たり前だと思っていることをやるために必要なお金が税金で賄われているわけです。

中には「税金をそんなことに使わないで欲しい・・・」というようなこともあるかもしれません。
もっとこういうことに使って欲しい!という考えがあるのであれば、「選挙」という制度があるので、同じような考えを持っている候補者に投票しましょう!

少し脱線してしまいましたが、皆が生活していく上で必要と思われることをやるための軍資金が税金ということです。
なので、自分が住んでいる場所に合わせた税金は払わないといけない、ということになっているのです。


「税金ってどんなものがあるの?」という話に戻りますと、フリーランスになることによって意識すべき税金は大きく4つあります。

  • 所得税

  • 住民税

  • 事業税

  • 消費税

これらについて、1つずつ取り上げてみましょう。

所得税

お金を稼いだら払わないといけないものの代表ですね。

確定申告は、この所得税がいくらなのかを計算した結果を提出して、国に納税するものになります。

そもそも「所得」とはなんぞよ?というのは、ざっくり
「収入(売上)」から「経費」を引いたもの
と考えておけばOKです。

所得税は、所得から控除分を引いた金額に対してかかってきます。
これを「課税所得」といいます。

「課税所得」=「収入(売上)」ー「経費」ー「控除」

なので、「収入(売上)」が同じだったとしても、「経費」や「控除」が多くなると、「課税所得」が少なくなるので、結果として所得税が安くなるわけです。(「節税」と呼ばれているものはだいたいこのパターン)

『収入が多くなると、所得税率が高くなる』というのをよく耳にしますが、こんな感じになっています。

課税所得と税率の関係

ただし、境界を越えたら急に税率が高くなるから損!というわけではなく、超えた分だけその税率になる、みたいな仕組みになっています。
(「累進課税制度」といいます)

例えば、課税所得が500万円だったとしたら、

195万円×5%=9.75万円
(330万円ー195万円)×10%=13.5万円
(500万円ー330万円)×20%=34万円

9.75万円+13.5万円+34万円=57.25万円

という計算になるので、約11.4%ということになります。

実際に課税所得を計算する時は、いちいち算するのが面倒なので、速算表というものがあります。
(一律の税率で計算して、引きすぎた分をあとで戻す、みたいな計算方法です)

下記のリンク先に詳しく書いてあるので、そちらを参照してみてください。


ちなみに、課税所得に対して、所得税が実質何%になるのかをグラフにしてみるとこんな感じです。

課税所得に対しての実質税率

実勢税率が20%になるのは課税所得が1200万円ぐらいです。

1000万円までのところを拡大してみるとこんな感じです。

課税所得に対しての実質税率(1000万円まで)

『実質税率よりも実際に支払う金額が知りたい!』という方が多いと思いますので、そちらも載せておきます。

課税所得に対しての所得税額

これだとほとんど直線に見えてしまうので、1000万円までのところを拡大してみると

課税所得に対しての所得税額(1000万円まで)

こんな感じで、少しずつ角度が急になっていく形になります。


住民税

フリーランス1年目の時に忘れがちなものとして、先ほども出てきた住民税です。
自分が住んでいる都道府県や市町村に課税所得の10%を納税する形です。

「課税所得」と書きましたが、住民税の課税所得は所得税の課税所得と一致しないことがあります。
(住民税の方が所得税よりも控除の金額が少ないものがある)

確定申告していれば、住民税の課税所得も計算された上で住民税の金額が決まりますが、住民税が思ったよりも控除されてなくて高くなるということにはご注意ください。

また、最近流行りのふるさと納税
「ふるさと」というぐらいなので、住民税に関係するものだと思われがちですが、実は所得税にも関係があります。
ただ、メインは住民税であることは間違いないです。
詳しくは下記ページをご覧ください。

(所得税と住民税の控除の違いについてと、ふるさと納税の仕組みについては別の記事でまとめるかも)


事業税

事業税も所得に対して、職種によっては払わなくてもよい場合もある税金です。
マンガ家やイラストレーターなど芸術系のフリーランスの方も多いと思いますが、この場合は非課税になります!

非課税でない場合、税率は3~5%になります。

どの職種が何%かなど詳しく知りたい場合は、東京都主税局の該当ページのリンクを用意したので、こちらを参照してみてください。

芸術系でフリーランスになる方も多いと思いますが、その場合は非課税になります。

最近はいろんな職業が出てきて、どれに当てはまるのかわからないというパターンもあるはずですが、どの職種として扱われるかは役所の人の判断次第なので、嘘をつかない範囲で税率低い職種として扱われるのを狙ってもよいかもしれません。


消費税

税金の中で一番名前が知られているものではないでしょうか。

ただ、消費税ってモノを買った時にそのお店に支払っているだけで、税務署に納めてないですよね?

というのも、消費税はモノを買った人からお店などの売った側が代理で預かって、まとめて支払ってくれているのです。

ということは、フリーランスになって、モノを売る側になった場合は消費税を預かって、それを納めなければいけません。

では、売上が100万円で、全て税率10%のものだったとしたら、消費税として10万円納めればいいのでしょうか?

経費が一切発生していないのであればそれで問題ありませんが、実際は経費の支払の際に消費税を払っているはずです。
その経費で支払った分の消費税は、それを売った側が支払ってくれるので、その分は自分で支払う必要はありません。

売上100万円(税抜)で、経費が20万円(税抜)、消費税率が全て10%だとしたら、売上の消費税100万円×10%=10万円から、経費の消費税20万円×10%=2万円を引いた10万円ー2万円=8万円が納税額になります。

受け取った消費税額と支払った消費税額の差額が納税額になるので、売上と経費で8%と10%の消費税がどんな組合せで混じっていたとしても利益は変わりません。

と書いてきましたが、実は消費税を納めなくていいパターンがあります!
(前々年度の)課税売上が1000万円以下だと『免税事業者』となり、消費税を納める必要がありません!

しかも自分が売る側の場合に税込金額で受け取るのは問題ないので、消費税分がプラスの利益になります。

既にこの恩恵にあずかっている方はたくさんいらっしゃると思いますが、残念なことに、この恩恵がなくなってしまう制度が2023年10月から始まってしまいます。

その名は「インボイス制度」

インボイス制度については以下の記事にまとめてあるので、詳しく知りたい方は参照してみてください。


ということで

この記事では、フリーランスになる前にやっておいた方がいいことと、主要な税金についてまとめてみました。

最初は1冊分のまとめを1記事として書こうと思っていたのですが、全然まとめきれなかったので、複数記事に分けて書いていくことにします。

週に1記事は書いていく予定ですが、記事できるまで待ってられねーよ、という方は、先に本を読んでみてください。

分かりやすく書かれているので、内容もすんなりと頭に入ってくるはずです!

ではでは。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?