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日記 2024/7/16 宵山

良い天気だったのでソフトクリームを食べた。

駅に向かう途中、何やら異臭がして周りを見回すと近くのベンチにおそらくホームレスのおじいさんが寝そべっていた。おじいさんは何やら読書をしていて気になってタイトルを見ると『粗食のすすめ』と書いてあった。ほほえんでいるような満足げな表情で、暑い日の日陰のベンチを陣取りカバンをまくらにして読んでいた。忙しく行き交う通行人の中、ただひとり気持ち良さそうに読書をしていて、その光景がなんだかいわれもなくカッコよかった。

私の日課は上演と自炊と買い出ししかない。たまにはその中でも違うことをしてみたくなる。昨年の夏からずっと作りたいと思っていた料理をようやっと作ることにした。トルコ料理のドルマ。なかでも香辛料をいれたひき肉をズッキーニに詰めたレシピを作ってみたかった。ズッキーニは一番好きな野菜。安くなり始めた時期なこともあり近いうちに作ろうと頭の中でシミュレーションをしていた。色々とスーパーのカゴに放り込む。クミンシードとクミンペッパーはどちらがよいのか。バスティカ米はパックご飯で代用してよいのか。とりあえず作ってみるしかない。パセリを買うためにスーパーをハシゴする。ついでに今ハマっている南高梅入りべっこう飴も買い足す。途中で見かけた「ぎょうざちゃん」のガチャガチャも回した。休みの日の大盤振る舞い。たまには良いのだ、と思うのを毎週やっている。

先週ワンピースを試着したお店にもう一度行って、今度は本当にワンピースを買った。前試着したやつではなく、ほぼ一目惚れの紫のフリルワンピース。よく見ると織り込まれた糸がキラキラ光っている。晴れの日に着るのが本当にたのしみ。ついでに指輪も買った。指輪を買うのは人生で初めてで、いつもかわいい指輪を見つけても「私にはなんか不自然じゃない?」とちくりと自分に言われて諦めていた。でも今日は大盤振る舞い。なみなみした細工の銀色の指輪。初めて買う指輪にお金をかけて何がわるいのだ。この指輪ならきっとまた少し呪いを解いてくれる。お洒落をすることに対しての強いコンプレックスを自分自身で解いていきたい。もう大人なのだし周りにあれこれ言う人なんて誰もいなくなったし、いても蹴散らせるのにまだ怯えてる。そんな自分に、自分で指輪をはめて、手を掲げて眺めてみるとなんだかそれは魔法みたいに綺麗で特別な指先に見えた。

夜になって共同生活メンバーとビアガーデンに行った。梅酒を3杯か4杯飲んだ。お囃子がなってわいわいとした歩行者天国を上から眺めた。提灯の灯りが綺麗で、そこではじめて今日は宵山だということを教えてもらった。

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