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牛丼屋で味噌汁から豚汁への変更にガチ悩みするオトコが、意気揚々と3kmのマラソン大会のため遠征して参りました

昨日、牛丼屋で昼食をした。
アラフォー、サラリーマン。
なんてことはない。ボクの日常である。

ふと思い付いて、味噌汁を豚汁に変更しようか券売機で迷った。
百円と少し追加すると変更できる。

悩む。

後ろに並んでいる人に申し訳ないなと思いながら15秒程度、押す指が画面の前でフリーズした。

ボクは味噌汁も好きだが、
豚汁の方が大好きである。たまに“贅沢ぜいたく”気分を味わいたいときにだけこの変更をする。

しかし、

あとになって思う。
今になっても思う。

いくらなんでも、
贅沢ぜいたくのスケールが小さすぎるんじゃないか、って。たしかに味噌汁を豚汁に変えることはうれしい。だが、自分にとっての日常の贅沢の代表がこれになっているのはどうなのか。

我が家は共働きである。
たいへんありがたいことに、嫁さんがバリバリ出世していてくれているので、亭主が平凡であろうと、さすがに味噌汁を豚汁に変えるくらいで生活が傾くなんてことはない。

それなのに日常生活では
完全に贅沢のスケールが縮んでいる。脳内で、贅沢と百円玉が強烈に結び付いてしまっているのだ。

日本海側でキャンプをしてきた

キャンプのついでにマラソン。
マラソンのついでにキャンプ。

どちらも正解である。

我が家の旅行は、
決まってキャンプ場のテントかコテージに宿泊する。冬場を除いて、ホテルや旅館を選択することは、よほどのことがない限り、ない。

前夜の食事は、道の駅やスーパーで地元の生鮮食材を買い出してからのBBQバーベキュー
みんな岩牡蠣いわがき、大好き。
思いっきり豪快にぶち喰らう。

むすめ二人がわずか3kmを走るために
150km先で開催される大会にエントリーし、高速をぶっ走り、地産地消の豪華な食事に、朝晩2回の温泉に、テントで寝泊まり。

総額6万円なり

なんという贅沢なんだ。
味噌汁を豚汁にするかを迷ってるオトコには到底に思えない。

そう。
ここには、金銭的なものでは表せない
充実感、満足感があるのだ。

食事をはじめる。
明るいうちからビールを飲む。
広大な日本海の波音と潮風の匂い、水平線の彼方かなたに見える離れ島の光と船の汽笛きてき
目の前で焼かれる新鮮な海産物の香りと音。

最高すぎる。

炭火で焼かれた新鮮な魚介類の旨さは、
ちょっと他にはない。

締めの具だくさん味噌汁に、
ダメ押しで、
地元のバカ高いいちごもモリモリ食べた。

もう満腹だ。
自然に囲まれながら、酒と飯で思考能力が低下して、ゆるい多幸感に包まれとこにつく。

「○○を知らないだなんて、人生の半分は損してる」

世の中にはこの手のフレーズで表現されるものが色々あるが、ボクは○○に、
“キャンプ”を入れたい。

ボクの経験してきたキャンプのほとんどが、普通に暮らしているとまず遭遇そうぐうしないようなものばかりである。

以前は、旅行というもの自体がコスパの悪いものにみえて仕方がなかった。
わざわざ高い航空券を予約して、あれこれ計画を練って、旅先で散財する。

「旅行に使ったお金で、他にもっと色々できる事があったはず」

と考えた。

しかし、キャンプを知ってからというもの
旅行は“金銭的に元を取る”っていう考えには向かないものだと知った。

「元を取る」という考え方

学生時代に、食べ放題によく行った。
今でも子どもを連れて行くことがたまにある。

“放題システム”を前にすると、
いつだって尋常じんじょうではないほどにみなぎる野心やしん

「これは原価が安そうだから、もっと原価の高そうなものを食べないと。」

普段の食事では原価なんて気にもかけていないくせに、なぜだかそれが急に気になりだす。我ながら恐ろしい。

もはや
「食べたいものを食べる」ではなく、
「金銭の元が取れそうなものを食べたい」
そんな自身の中に宿る“野蛮やばんイズム”とでも呼ぶべき欲望がひょっこりと顔を出してくるのだ。

しかしそこにきて

必ず誘惑してくるのが、
比較的安価な料理のカレーである。
コスパ思考の強敵きょうてき、カレーである。

こいつが、匂いと香り強めでバイキングの中でもとりわけ存在感を発揮する。

食べ放題を提供する店側の立場に立ってみると、金額と時間が確定している一方で、食べるものと量が客任せで未確定。
この未確定のリスクをどう扱うかが運営のカギになる。

だから店側からすると収益を良くするために、ステーキや、ローストビーフが占めるであろう客の胃をカレーライスでバンバン埋めてしまいたい。

お金をかけて美味しくて嗅覚を刺激するカレーを開発して、客を惹きつける。そうやって客の満足感と胃袋を満たすようにするだけで確実に収益は改善するのだ。
つまりバイキングのカレーはおまけではあるけれどもおまけではない。

店と客。

“胃袋”を巡る仁義なき戦い。
ボクらは常に暗黙のルールの下で、
“元をとりたい、いや、とらせない”
の終わりなき戦いを強いられているのだ。

あ。2000文字通過…。話を強引にまとめよう。

牛丼屋で、
味噌汁を豚汁に変更するか真剣に悩む。

食べ放題で、
原価の高いものを食べようと、
必死にあらがう。

そうやって今まで生きてきた。

しかし、キャンプを知ってからというもの旅行については、“金銭的に元を取る”っていう考えにはまったく向かないものだと知った。

「航空券に30万円払ったんだから、30万円分の価値のある経験をしよう」

なんて思ったところで、旅行から帰ってしまえば薄れゆく思い出のなかで、
それが“高性能ドラム式洗濯機”を買えるだけの価値があったかなんて、金銭的指標を持ち出して冷静に問いただすと、

大体、損なものだったと結論づいてしまう。

だから旅行はコスパを
考えたらダメなものなのだ。きっと。

「ここに行ったらえるかな?」
「遠いけど、安いチケットが手に入ったから行かなきゃ損」
と考えながら行くのと、 

「ここ行ってみたい!」
「これ食べたい!」って思って行くのでは、似ているようで全然違うんだよな。

やっぱり旅行って、
お金じゃ買えないよね。

と、そうやって
マラソンで散在した後ろめたい事実にうまく理由つけて、妻を説得するのであった。


マラソン終わりに疲れた足を足湯で癒やす。
最高っすね。

不良少女じゃないよ。オシャレランナー賞を狙った“エクステ“だよ。

5時半起床。
2年ぶりに土曜日を“1時間、おそ起き”決行。
今日から2000文字以内と決めてやってみたがやっぱり難しい。字数制限ってボクの一番苦手なことなのだ。
《2644文字》


 


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