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「させて頂きました」で丁寧さは伝わらないのでやめた方がいい

僕は昔から活字を読むのは好きだが、それにしては文章が下手である。
このnoteは1記事を作成するのにおよそ1時間半~2時間。朝起きてから時間がある時に頭の中で文章構成を考えて思いついたことを携帯にメモする時間なども含めるとおおよそ1日に4時間程度はnoteに時間を費やしていることになる。そして仕事が終わってからザーッと文字に書き起こして取り合えずアップロードするが推敲もなされていないので後で見返すと文章が読みにくい。

大きな理由は「書きすぎ」である。

書きすぎによって言葉が膨張してしまい主張したいことのインパクトが悪化する。読み手にとっては、で結局何が言いたいの?となってしまう。
解決方法はいたってシンプルで不要な内容をバッサリとカットしてしまえばいいのだが、いつもせっかく文字に起したのでもったいないという心理が働いてしまう。

毎日「させて頂きます」メールが届きます

一日に土日祝日関係なく社内・クライアント含めて最低でも70~80通はメールが届く。多いときは100通を超える。毎日多くのメールを受け取るが「気持ち悪い」と気になる敬語がある。

「・・・させて頂きたく、どうぞよろしくお願いします。」
僕は中年なので会社でのポジションがそこそこであるが、他部署の年少者や取引先(我々が買っている側)からのメールでこれが連発する。昨日他部署からきたメールでこんなのがあった。

「本日メールさせて頂いたのは、来週月曜日の会議時間の変更の件です。(中略)事前に資料を送付させて頂きますのでご確認の程、どうぞよろしくお願い致します。尚、コロナの影響で再度スケジュール変更となりましたらメールにてご連絡させて頂きます」

これどういう心理で「させて頂く」という敬語を繰り返し使うのだろうか。
①僕が怖すぎて一言一句敬語を使わなければ生意気だと怒られるかもしれない。
②嫌なことを伝える際に少しでも相手に与える衝撃を緩やかにするため
③特におかしいと思ってない

①かもしれないけど、僕はガミガミ怒る性格ではないし敬語について指摘したことは一度もない。だからといって①ではないと言いきれないが、おそらく②だと思う。
「主張はしたいけど、失礼と思われたくない。偉そうに伝わらないように」という気遣いの心理だろう。嫌なことを伝えなければならないときなどに、少しでも衝撃を和らげようと敬語を重ねてしまっているわけだ。

少しググった。
するとやっぱりこの「させて頂く」が気持ち悪いと思っている人の主義主張がたくさん出てくる。

「させていただく」「させていただきます」「させていただきました」「させていただいております」これらはすべて、「させてもらう」の謙譲語です。
「相手の許可を得て行い、そのことで恩恵を受ける」場合に使える謙譲表現です。

これは知らなかった。
確かに「させて頂く」でも気持ち悪くない時と気持ち悪い時があって、改めて調べてみると納得する。相手の許可を得るときは正しい使用、そうでない時は誤った使用ということだ。先ほどのメールをみてみる。

本日メールさせて頂いたのは、来週月曜日の会議時間の変更の件です。(中略)事前に資料を送付させて頂きますのでご確認の程、どうぞよろしくお願い致します。尚、コロナの影響で再度スケジュール変更となりましたらメールにてご連絡させて頂きます」

①メールは許可を得ることもなく一方的に送っているので誤り
②この場合も資料を一方的に送付してくるので誤り
③これも一方的に送るといっているので誤り

しかし③については「ご連絡させて頂いてもよろしいでしょうか?」とするのであれば許可を得る聞き方なので正解となる。うん、日本語って難しい。だけど受け手に立てば理由は分からなかったけど「気持ち悪さ」だけは残る不思議。

正解のメールは

「本日メールいたしましたのは、来週月曜日の会議時間の変更の件です。(中略)事前に資料を送付致しますのでご確認の程、どうぞよろしくお願い致します。尚、コロナの影響で再度スケジュール変更となりましたらメールにて連絡申し上げます(いたします)」

悪い連絡ほどバッサリいった方がいいのだ

これ↓実際に届いたメールを少し編集したものである。

「先日は貴重なお時間を頂戴しご商談させて頂きましてありがとうございました。社内で確認をとりましたところご提案内容について上司から課題を与えられましたので、あらためて再検討させていただきたいと考えております。従いまして商談時に約束いたしました回答納期を延期させて頂きたいです。現場の人間からすると〇〇様のご提案には大いに賛同しておりこの企画にこだわりを持っておりましたので粘り強くプッシュさせて頂こうと思っております。そのためにも貴社からのご提案内容を再度拝見させて頂きます。」

意味がダイレクトに伝わってこない。「させる」が気になって気になって頭に入ってこないって。
たぶん社内で検討した結果、丸っきりダメだったのは分かる。こちらが提案したことが通る可能性はゼロってことでしょ。粘り強くプッシュなんだから。

一見すると紳士的な態度であるようにも思えるが、悪い見方をすると仕事より自分が嫌われないことを優先しているように感じるのだ。

先ほどのメールのどこが悪いのかをみていきたい。
①ご商談させて頂きまして
→過去の話であるがこの時は先方からの粘り強い交渉により商談日を設定したので許可を得た上での意味があるので「させて」の使い方自体は正解だと思う。しかし「ご商談させて頂く」というのは日本語として不自然。普通に「商談のお時間を頂戴し、ありがとうございました」とシンプルにして良いと思う。

② 再検討させていただきたい
→再検討は許可を求めないので誤り。

③ 従いまして商談時に約束いたしました回答納期を延期させて頂きたいです。
→ここがこのメールの一番重要なポイントであり、メール送信者もかなり気を遣ったのだろうがその気遣いが「延期させて頂きたい」というところに集約してしまった。「させて頂きたい」という使い方自体は間違っていないが、ここでは相手に許可をもらってはダメなので一方的に言い切らなければならない。「従いまして大変恐縮ですが、商談時に回答期限を提示いたしましたが、現状ではお応えすることはできません」と文書の冒頭で謝罪して、結論を述べる方がシンプルでわかりやすい。

④現場の人間からすると〇〇様のご提案には大いに賛同しておりこの企画にこだわりを持っておりましたので粘り強くプッシュさせて頂こうと思っております。
→ 「プッシュさせて頂こう」がおかしいだけでなく、 このような悪い報告をボカすための文章はダラダラと長くしているだけで無意味(受け手の感情に何も働きかける効果もない)である。※あくまで私見

⑤再度拝見させて頂きます。
→「拝見」と「させて」が二重敬語で初歩的な誤り。

じゃあ、手本みせてよ

いや、無理。文化庁の敬語の指針は82ページもある。これを読み取って誰からも指摘されない手本となる正確な綺麗な文章にする自信はない。それができないから文章が下手なのである。
ただ先ほどのメールよりかはマシにはできる。

「先日は商談のお時間を頂戴し、ありがとうございました。
ご提案頂いた内容を上司に報告したところ、多くの課題を与えられた次第です。従いまして大変恐縮ですが、商談時に回答期限を提示いたしましたが、現状ではお応えすることはできません。申し訳ございません。
貴社からのご提案内容を再度確認し、社内への働きかけは粘り強く行ってまいりますので引き続きどうぞよろしくお願い致します。」

いや、まぁこの程度です・・・笑
それにしてもまた書きすぎて「で、結局何が言いたいの?」になってしまってるが、「させて頂きます」と使うときは少し気にして欲しいということです。

これからは少しまとまりがあって書きすぎない記事にさせて頂きます。

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