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対面販売のこれからについて

私は、耳の聞こえにくくなったひとのサポートとして、補聴器を販売しています。

補聴器は医療機器です。ネットなどで販売されていたりしますが、集音器とは違い対面販売が基本です。なぜなら医療機器だからです。
(大事なことなので2回書きました。note「補聴器を買うときに気を付けること」をご参照ください。)

ひとと会えない条件でのサービス

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新型コロナウイルスにより、ひとの移動が制限され、これまでは当たり前のようにしていたことができないようになっています。
(2020年4月27日現在@東京)

この移動の制限によって飲食業界やエンタメ業界は非常に厳しい状況です。その一方で、テレワークやオンライン飲み会など、これまでの延長をネット上で続けることができてその恩恵を受けている業界もあります。

ウイルスとは、ひとの命を奪うだけにとどまらず、ひととひとの繋がりも奪っていってしまう恐ろしい魔物なのだと改めて知りました。

ひととひとの繋がりを奪われ、ひとが自由に移動・行動できることを大前提に設計されたビジネススタイルは、今度、どうなるのでしょうか?

できることは何か?

移動を制限しなければならない厳しい条件の中、飲食業界はテイクアウトやデリバリーを始めたり、エンタメ業界はオンライン配信でエンタメを届けることを始めたりしています。

この新たな形態でのサービス提供は、おそらく ”当座しのぎ” として考えてはじたように見えます。今のような移動を制限されている状況が、数年間続いてもこの形態のサービスでしっかりマネタイズできるというは厳しいように思います。

ひとと会うことを制限された条件の中で、対面で販売するサービス業界は存続できるのでしょうか?

補聴器業界で『できること』と『できないこと』

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補聴器って意外にすごい機械なんです。

補聴器は、デジタル処理が行われるDSP(Digital Sound Processor)は内蔵されていて、そこでマイクから入力された音声の分析や解析、変換などが行われて、処理された音声信号をスピーカー(補聴器の業界ではレシーバーなどという)から出力されて耳に届けてくれます。

音声が入力されてから、諸々の処理をして、レシーバーから出力されるまでの時間、1000分の5秒!!

まさに一瞬とは、このことです。

おそらくひとの感覚の中では、この「処理時間」を感じられることはないはずです。

音響関係の方はご存知かと思いますが、音声データって結構、大容量です。それをいろいろな処理をした上で超短時間でアウトプットするのって、結構すごくないですか!

最近の補聴器は、さらにいろいろなことができるようになってきております。ガジェット好きな方にも喜んでもらえるような機能があります。この点につきましては、今後のnoteに記していきますので楽しみにしていてください。

「できること」

話を戻します。
補聴器は、聴力レベルや使用者の好みに合わせてカスタマイズして、使ってもらいます。そのカスタマイズすることを”フィッティングする”と言います。

このフィッティングには、フィッティングするためのアプリケーションソフトとパソコンと補聴器をつなぐインターフェースが必須です。そのため、そのインフラが整っているところ、つまり補聴器販売店の店内、もしくは補聴器販売員がそれらの機材をご使用者の方がいらっしゃる場所に持参して、「対面応対」が必須でした。

これまで対面でしか応対していなかったフィッティングが、ネットを介して自宅で受けることができるサービスを提供する補聴器メーカーが出てきました。

GNリサウンド 遠隔サポート → 詳細はこちらから
シグニア補聴器 テレケア 詳細はこちらから
オーティコン補聴器 リモートケア 詳細はこちらから

対面応対でなければならないとされていたフィッティングは、ネットさえ整備できれば、実際に合わなくても届けられるようになります。
これは好材料です!

「できないこと」

では、できないことはあるでしょうか?

補聴器をしっかり使えるようにするのは、『現状を知る』ことと『結果を確認する』ことの2つが重要であると私は考えています。(note「補聴器を買うときに気を付けること」をご参照ください)

現状を知ることの聴力測定(検査)は、お近くの耳鼻咽喉科で検査してもらうことができます。そこで検査測定してもらったデータを補聴器販売店に持っていけば、必ずしも補聴器販売店で測定しなくてもいいわけです。

では、結果を確認することの装用効果測定はどうでしょう?

残念ながら、現時点では遠隔で装用効果測定するためのインフラが整っていません。ここが課題です。

装用効果測定を遠隔でも対応可能になるようなサービスを開発できれば、移動せずに仕事の合間に対応してもらうといったようなことも可能になり、より多くの方が恩恵を受けられるでしょう。

とはいえ、リアルなひととひとの繋がりも大切

以前の記事に書いたことがありますが、補聴器をお買い求められる方は、補聴器が欲しくて買うのではなく、ひととおしゃべりしたいから、それを実現させてくれる手段として補聴器を買って使うのであります。

補聴器販売店に来られる方の中に、ただ単におしゃべりだけしてお帰りになる方もいます。

お店は、「あそこに行ったら知っている〇〇さんがいる」という安心で、お越しになって、なかなか家の中では話しにくいことも話しちゃえる、そんな場所であったりもします。

たぶん飲食業界も同じなんじゃないでしょうか。

リアルな対面応対が自由にできる日を心待ちにしながら、リアルと同じくらいの品質で遠隔サポートができるようにアップデートしていこうと思った、今日この頃です。

補聴器のプロ として、いろいろな質問にお答えしたい。聞こえに関する悩み 相談ももちろんですが、
補聴器業界に関しての質問、
補聴器メーカーの最新機能 に関して、なんでも承ります。
ぜひ、ご質問ください。
https://reserva.be/jino33/contact?mode=edit

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