ランチデート

今日も変わらずの在宅ワークだ。

でもランチしに行きたいねということで近くの中華屋に電話。

緊急事態宣言中は土日のランチに限るとのこと。

残念…。

ということで、気になってたラーメン屋に車で行くことに。

席と席は離してある感じではあるけど満席だった。

2〜3分程待ってカウンター席へ。

2人でラーメン屋なんて息子が産まれる以前に行ったきり。

2年以上前ってことになるな、なんて思いながら注文の品が来るのを待つ。

初めに来たのは餃子。

他もすぐ来るのはわかっていたが待ちきれずに早速一切れ頬張る。

うまい。

そして程なくラーメン、そしてチャーハンが届いた。

そのラーメンの真ん中には青ネギがたんまり乗っていた。


たんまりのネギとラーメンといえばあれは忘れもしない5年程前のクリスマス直前。

22時過ぎ。

残業で疲れていた私は何か食って帰ろうと考えた。

行きつけのとこの美容師がよく行くと言っていたラーメン屋のことをふと思い出した。

そう頭の中で思った時には勝手に足が動いていた。

最寄り駅、家から逆方向に徒歩1分程。

疲れてはいるが問題ない距離。

すぐに着き、少し黒ずんだ赤い暖簾を手で避けながら店の中へ。

L字のカウンター席のみ。

先客は奥の方に1人。

座れるのは8人くらいか。

手前の入口から2席目に座りメニューを眺める。

店員が手持ち無沙汰にしてるのを感じたため長考はしない。

メニューを閉じるとすぐに

「いらっしゃい、ご注文は?」

「ネギラーメン大盛で」

「ネギ大一丁」

決して威勢は良くない、だが丁度いいくらいだ。

赤いカウンターテーブルに水の入った透明なコップ。

キレイでもなく、昔ながらの感じで落ち着きがある。

店内を眺めたり、まとめニュースをチェックしていると程なくしてラーメンがきた。

SNSにあげるわけでもないが写真を撮る。

キレイな白髪ネギがこれでもかとたくさん乗っていた。

スープを一口。

程よい辛味噌味でうまい。

麺も普通にうまい。

また食べに来ようなんて思っていたが途中から異変を感じ始めた。

ネギが異常に辛い。

口の中だけではなく飲み込んだあともイガイガするような嫌な辛みだった。

中盤からはやや気持ち悪くなりつつも無理矢理完食。

水を一気飲みし、

「ごちそうさまでした」

足早に店を出る。

嫌な感じが口、喉、胃に広がっていた。

これはダメだ。

コンビニでアイスを買い打ち消すことに。

歩きながら食って家に着いた。

若干薄まった気がしたがまだダメだ。

牛乳なら効きそうだと思いコップ一杯味わうようにゆっくり飲んだ。

飲み終えたら嫌な感じが蘇ってきた。

これは寝るしかないな。

そう思い、急いでシャワーを浴びて歯磨き。

いくらか爽やかになったものの収まる気配はない。

布団に入ると横になって丸まって寝た。

普段は仰向けのミイラポーズでしか寝ない。

よっぽど嫌な悪寒がしていたんだろう。

幸運なことにすぐに眠りにはつけた。

目を覚ますと辺りはまだ暗い。

それもそのはず、まだ4時くらいだった。

吐気と腹痛、熱に襲われていた。

汚い話だが上と下どっちを優先したらいいのか究極の選択を迫られていた。

頭はしっかり回ってくれ、ビニール袋を持ってトイレに座った。

1時間は経っただろうか。

辛くて時間の感覚はなかった。

途中からは頭痛にも襲われ始めた。

薬もないし、とにかく寝るしかない。

さすがにもう下痢は出ないだろうと思い寝た。


その日は12月23日、当時はまだ天皇誕生日で祝日だった。

彼女(現在の妻)とデートを予定していた。

勿論こんな状態でデート出来るはずがない。

結局しっかり寝ることは出来ずに早めに連絡を入れておいた。

心配してスポドリやらゼリーやらアイスやら看病セットを持って家に来てくれた。

ありがたかった。

そして、病院行った方がいいよという妻と、寝てれば治るよという私。

クソ辛いのによくそんなこと言えたもんだなと今思う。

甘えて病院もタクシーも手配してもらった。

祝日なため近場であいてる病院は小児科クリニックだった。

私は「大人なのに小児科は行かんでしょ」なんて意味不明なことまでほざいていた。

後になって病院もタクシーも手配できないなんてヤベー奴だと思った言われた。

そりゃそうだ(笑)。


そんなこんなで苦しみつつも病院に辿りつき子供達と横目に診察を待つ。

プラシーボ効果かどうかわからんがその頃には吐気、腹痛は治っていた。

診察結果は胃腸炎だった。

思い当たるのがネギしかないし、原因はネギなんだろう。

医者は夏とかは朝に用意したものを夜に食べてなることは割とあるみたいな話をしていた。

冬だけど?と思いつつ、運が悪かったんだろう。

薬を貰って帰宅。

寝るしかなかった。

結局次の日の24日も体調は戻らず会社を休んだ。

きっとクリスマスを3連休にしたなと思われたことだろう。

こっちは全然良いクリスマスなんかじゃなかった。

だが一生忘れられないクリスマスだ。



てなわけで話は今日のラーメンに戻り、たんまり乗っていた青ネギは妻の胃袋に入った。

スタンプカード貰ったし今度は息子と一緒に来ようねなんて言ってお店を後にした。

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