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警察官が架空請求に騙された時の話

1、はじめに

 まだ世の中に架空請求と言う言葉もなく、私がまだ交番にいた頃の話です。


 架空請求の前身となる手口を紹介します。

 いかに今の架空請求が

「数撃ちゃ当たる」

になってきているのかがわかります。



2、誘拐の届出

 携帯電話で会話をしながら一人の中年男性が交番に入ってきました。

 ジェスチャーで筆談を要求してきました。


 そこには

【娘が誘拐されました。今犯人と電話しています】

と書かれました。


 そして少ししてから奥さんが来たので、電話に聞こえない場所で経緯等を聞きました。



3、娘と連絡が取れない

 自宅で男性が携帯電話に掛かってきた電話を受けました。

 誘拐犯を名乗る男家族構成、家族のフルネームも知っていました。


 本当に誘拐されたのか確かめるため、近くにいた奥さんが娘に連絡を取りました。


 しかし、何度掛けても

「電源が切れているか、電波の届かない場所にあります」

で繋がらない。


 「これはいよいよ本当かもしれない!」

と言うことで、そのまま会話を繋いで何とか犯人に勘付かれないように交番まで来たと言う状態でした。



4、架空請求だった

 その後の途中経過は省略しますが、最終的には今で言う架空請求だったことが判明します。


 つまり、娘さんは誘拐されていませんでしたし、犯人と接触も一切していませんでした。


 娘さんと連絡が取れなかった理由は、大学の学食が地下にあり、その娘さんはいつも地下の学食で食事をしていたとのことです。

 昔の携帯電話は少しでも地下にいると圏外でしたからね。


 つまり、娘さんの携帯電話が昼食中は圏外になることを犯人は知っていたわけです。


 これはその家庭の構成だけではなく、日常的な行動まで把握していないと実行できません。

 つまり、犯人はそこまで徹底的にターゲットについて調べ上げていたと言うことですね。



5、今の架空請求との比較

 今の架空請求の質は圧倒的に劣化していますよね。

 もちろん、金銭目的で昔のような方法では割に合わないのでしょうが、正直今の架空請求はそれを考慮しても、あまりに幼稚過ぎます。


 犯罪に仕事観を持ってくるのも変な話ですが、今の犯人達はあまりに努力をしなさすぎです。


 1時間も勉強すれば、もっとキチンと法的な手続きに沿った方法や文章が作れるはずですが、その程度すらやる人がいないわけですからね。


 そんな人達だからキチンとした仕事では成果が出せず、安易な詐欺と言う手段を選ぶんでしょうけどね。


 キチンとした仕事人は、自己研磨をして成長していくので仕事で頼りにされる存在になっていくのですから、それを全くやらない人では仕事でも、詐欺でも使いものになりませんよね。



6、最後に

 私が未熟だったこともあるかもしれませんが、昔の架空請求には完全に騙されました。

 本物の誘拐だと思いこんでしまいました。


 今でも思い出すと恥ずかしい思いです。



 今の架空請求は、知識がある人からすればあまりに幼稚です。

 知識がない場合、一端冷静になることです。


 あと多くの人が意識していませんが、本心での信頼度を見測ることになります。

 電話口の言葉を信じるか、今目の前に居る人の「詐欺だよ」と言う言葉を信じるかと言うことです。

 つまり、信頼度合いが測れてしまうんです。


 そのため、電話を信じると人間関係も壊しかねないんですね。


 あと細かいことですが、オレオレ詐欺の場合、内容的にその内容が本当だった場合、それは犯罪の隠ぺい行為なので、貴方自身が犯罪者になります。


 偶然オレオレ詐欺で、内容が本当ではないから貴方は犯罪者ではなく、被害者になっているだけです。


 息子や孫の犯罪行為を隠蔽する手助けは犯罪です。


 そのため中には

「よく犯罪を犯そうとした奴が、被害者面して警察に来れるよな」

との声も聞いたことはあります。


 今の架空請求程度なら、冷静になれば全部わかることです。

 一度冷静になって下さい。


 貴方の周囲の人間関係を壊さないためにも。

 貴方が犯罪者予備軍であると警察に情報提供してしまわないためにも。



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