友人との箱根旅「成人式から逃がれて気づいた生きる希望」
成人式に私が抱いていた暗い気持ち
「成人式に行きたい」
そんなふうに、心から思える学生生活が送れていたら、どんなによかったでしょうか。
同級生全員と仲良しで、嫌な思い出なんて、なにひとつなく、懐かしい顔に会えば、心が落ち着いて、この上なく幸せを感じる。
そんな人生に、私だって、憧れていた日がありました。
だけど、私には消したいくらい恥ずかしい思い出がいっぱいで、後悔していることも数え切れないほどあり、それに、なんといっても、「会いたくない」と思ってしまうくらいモヤモヤとしたなにかができてしまった同級生もいました。
だから、私は、成人式が怖くて、あの儀式を楽しみにしている人を心底羨ましく感じていました。
「行きたくない。行きたくない。行きたくない」
成人式が近づくずっと前から、私はそう心の中で唱えていました。
成人式が嫌なのは一人ではなかった
成人式を控えた年齢が近づいてきたある日、私は、そんな心の奥底に暗く漂っている本音を、数少ない友人に打ち明けました。
すると、私の友人たちも、口々に、成人式に対する恐怖心のようなものを語り始めました。
私は、あのキラキラしたイベントに、同じような気持ちを抱いていた友人がいたことに、とてもほっとした気持ちになっていました。
そして、気がつけば、私たちは、成人式を一緒に欠席しようという約束を交わし、どうせなら最高の思い出にしようと、旅行の計画まで立て始めたのです。
税金を使って行われる人生のビッグイベントに対する後ろめたい気持ちに共感を示し、一緒にそれを乗り越える術まで考え、共に行動を起こそうとまでしてくれた友人がいたことは、私の人生において、とてつもなく幸運な出来事のひとつです。
だから、成人式を欠席しようと一緒に言ってくれただけで嬉しかったし、旅行の計画を立てている最中もとても楽しく、それだけでも、私にとっては、十分過ぎるくらいに幸せなことだったのです。
そんなふうに思っていたからこそ、この夢のような計画が、本当に実現する日が来るなんて、自分には贅沢過ぎるような気がして、素直に信じれませんでした。
でも、その日は、やってきたのです。
夢が叶った日
そして迎えた成人式当日の朝。
私は、もしかしたら、友人が駅に現れないかもしれないという、根拠のない不安を抱いていました。
そんなことばかりを考えて、私は、待ち合わせ場所の東京駅へ向かっていました。
暗い妄想ばかりしていたため、あの日、あの朝、東京駅で友人二人と合流できた瞬間、私は、まるで夢が叶ったかのような喜びに包まれました。
一緒にいれる幸せをかみしめる
しかし、人生とは予想外の出来事に満ちているものです。
東京駅を出発し、旅先の箱根に着くと、友人の一人が体調を崩してしまいました。
当初予定していた観光プランは、ほとんど全て白紙になり、旅行中のほとんどをホテルの部屋で過ごすことになりました。
予定していた観光地に行けなかったことは、もちろん残念ではありましたが、それでも、そんなハプニングがありながらも、ベッドに横たわりながら、お喋りをしたり、テレビを見たりと、私たちは特別な時間を過ごしました。
成人式を欠席した旅で学んだこと
この旅を通して、私は、気づいたことがあります。
それは、何も特別なことをしなくても、ただ一緒にいるだけで幸せを感じられることもあるということ。
成人式を欠席した挙げ句、旅行先でもほぼ全ての予定をキャンセルした私たちは、それでも、これが自分たちの幸せなのだと、その穏やかでゆっくりな時間を心地よく感じていました。
部屋の中でゴロゴロしながら笑い合う時間は、私たちにとって、かげがえのない幸せな瞬間でした。
そして、この夢が叶ったような幸せな経験は、私たちに、どんな困難にも立ち向かえるという自信を与えてくれました。
嫌なことからは、逃げてもいい
この旅行を通じて、私が学んだことは、嫌なことから逃げることも、ときには必要であり、それができるようになっていくことこそが、大人になっていく過程なのではないか、ということです。
自分の意志で嫌な場所や状況から逃れることができることも、大人になった証のひとつであると、あの旅で強く感じたからです。
人生においては「成人式に出席すること」よりも、辛いことから逃げつつも「生き延び続けること」のほうが、ずっと大切なことです。
だから、私はあの旅に行って本当によかったと心から思っています。
おわりに
私たち三人の忘れられない旅は、ただの逃避行ではありませんでした。
それは、未来への希望をみつけた旅でした。
成人式を迎えることに対する不安から逃れるために始まった旅でしたが、最終的には私たちに勇気と希望を与えてくれる経験になったからです。
辛い日々が続くこともありますが、この旅の思い出がある限り、どんな困難も乗り越えられると、私は信じています。
そして、もし、あの頃の私たちのように、成人式や二十歳の集いに行きたくないと思っている方がいたら、自分の気持ちを大切にするほうの選択を応援してあげたいです。
どんなに辛くても、生き続けてさえいれば、いつか幸せな瞬間がくる可能性は残っています。
だから、嫌なことからは、とことん逃げてほしいです。
いつか、その逃げ続けた経験も、あなたを支えてくれるはずだからです。
少なくとも、成人式から逃げて旅行をするという小さな夢を叶えた私は、そう信じています(◍•ᴗ•◍)
最後まで読んでくださり
ありがとうございました♪