手術要件撤廃について性同一性障害の当事者間で賛否が分かれているという立場のGID.JPさんは子どもの福祉の観点から特例法未成年子どもなし要件削除の立場で日弁連も子どもの福祉の観点から特例法未成年子どもなし要件削除である事を伝える記事PDF魚拓

GID.JPさんの主張する特例法未成年子供なし要件削除は、性別適合手術は性同一性障害者自身が本人の意思で望んで受けている事実を明記しており脱病理化に反対しており性同一性障害者特例法に基づいて医師に性同意性障害と診断された性同一性障害者が、ホルモン治療、性別適合手術が受け続けられるように医療モデル継続を求めており、性同一性障害者の当事者で子供を持つ親が性別適合手術後の身体に合わせた戸籍の性別変更を特例法に基づいてできるように求めているだけで、セルフIDが目的ではないと旅券の性別Xである第三の性を認めてとの立場のGID.JPさんを支持する私の立場からフォローさせて頂きたい。
特例法の手術要件撤廃のニーズがあるのは、FTMでありMTFに対しては手術要件維持すべきだと特例法の未成年子どもなし要件削除を求めているGIDMTF当事者の中岡しゅん弁護士の記事にも明記されております。
ですから、特例法を改正する場合は、手術要件維持が必要な出生時に割り当てられた生物学的性別が生物学的男性のMTFと出生時に割り当てられた生物学的性別が生物学的女性の手術要件撤廃のニーズのあるGIDFTMで区別された内容である必要があり、特例法改正案で手術要件を撤廃するとすれば、手術要件撤廃可能な性同一性障害者をGIDFTMに限定する必要があるのです。
GIDMTFの場合は、SRS手術要件である生殖能力喪失要件と外観要件両方維持される必要があります。
GIDMTFの立場としては、トイレ公衆浴場プール更衣室等において生物学的性別による区別を維持する必要性と生物学的性別に合わせた医療アクセスの点とGID特例法の脱病理化や人権モデルに反対し医療モデルを維持する必要性から男性器ある女性を出現させないで下さいという点でGID団体と女性団体で協力関係を保っており、特例法守る会さんのGID当事者のホンネの記事にある通りであり、トイレ公衆浴場プール更衣室等での生物学的性別での区別維持に外観要件合憲維持が必要であり特例法改正案においてもGIDMTFの場合はMTF性別適合手術が必要不可欠な特例法生殖能力喪失要件と外観要件が維持される必要があるのです。



2、3月の経過報告(議連への参加、院内集会、冊子の配布・勉強会、当事者の生の声など)

署名活動から皆さまには日々力強い応援をいただき、心から御礼申し上げます。

① 2月27日自民「女性を守る議連」へ参加しました。

連絡会からは3名が参加し、それぞれ法律の観点、性同一性障害の当事者の観点、性暴力被害者支援の観点から、女性スペース・女子スポーツに関する法律を作る必要性について訴えました。

② 3月18日に院内集会を開催し、議員やメディア、この問題に関心を持たれている方々に向け発信を行いました。


国内外の問題をまとめた動画問題を分析・警鐘を鳴らす千田先生からの基調講演滝本弁護士による法律案の説明と濃い内容となりました。性同一性障害の当事者や、性暴力被害者支援の側からのリアルな声も届けました。議員さん秘書さんも含む延べ50名以上の参加者があり、来場された議員の方々からのスピーチも様々な危惧や重要な話がありました。

 当日の様子が分かる写真付きnote

  https://note.com/gid_tokurei/n/n98f5630b6df7

 当日流した国内外の問題をギュッとまとめた動画(13分)

  https://t.co/3Xo0pPY6oQ

 千田有紀先生の基調講演は、産経新聞の記事が分かりやすいものとなっていますのでご紹介いたします。https://www.sankei.com/article/20240325-CCBO54JDBRDJTP6QTSNHOMXAZE/

③ 3月29日自民「女性を守る議連」へ参加しました。

連絡会から数名参加し、滝本弁護士から女性スペース・女子スポーツに関する法律を急ぐべきであることを発言しました。

また、当日、同じく議連に参加されたジェンダー医療研究会(JEGMA)より、貴重な報告がありました。JEGMA様に承諾を得まして、こちらのリンクを紹介させていただきます。

「ジェンダー肯定医療をめぐる国内外の情勢について」
 https://www.jegma.jp/entry/news-jegma001

④ 冊子の配布・国会図書館収蔵・勉強会について。

冊子は希望者のほか、政令指定都市と都道府県、その他幾つかの自治体の議会議員様、首長・教育長様、JOC加盟団体、医師会、女子校、温泉銭湯組合などへ送付いたしました。計14,153冊です。

冊子は、ISBNが掲載されており、国会図書館にも収蔵されました。ぜひ、地域の図書館にも寄贈などしていただければ幸いです。

冊子を基に1月にこの問題を知ってもらうための勉強会を行いました。4月以降も同様の活動を行っていく予定です。

 引き続き冊子の配布を承っています!!
  >> https://note.com/sws_jp/n/n6793f7b3186a

 冊子PDF
  >> https://gid-tokurei.jp/pdf/booklet.pdf

 Kindle版
  >> https://amzn.asia/d/dOqkarx

⑤ 今回の署名活動でお寄せいただいた、公開可のコメントから「当事者のものを集め」noteにしました。

医療を必要としない「トランスジェンダー」と、医療を必要とする性同一性障害の当事者が望むものは異なっています。性同一性障害特例法は性同一性障害当事者のために生まれた法律です。「特例法の手術要件をなくさないでほしい」リアルな当事者の声がここにあります。ぜひ、ご覧ください。

『GID当事者のホンネ』
 https://note.com/gid_tokurei/n/na691075ac656

⑥ 2月27日自民議連で織田が話した内容を紹介いたします。「性暴力被害者を長年支援してきた」織田の短いながら重い言葉です。

「平等社会実現の会の織田道子です。本日はお時間をつくってくださり、ありがとうございます。

平等社会実現の会は1983年、40年前に日本で最初の性暴力被害者支援団体、東京・強姦救援センターの学習部会です。現在まで15,000件の被害相談を受けてきました。

LGBTの被害者の相談も含みますが、加害者はすべて身体的男性です。

女性の80%以上が一生のうちに強姦、痴漢、セクハラ、盗撮など何らかの性被害にあっています。性被害は表面化していないため、実際の数は「犯罪白書」には表れていません。

性暴力被害者はトラウマから被害後も男性に恐怖を持ち続けます。NHKの番組では、テレビの国会中継に男性議員が多数映るのを見て、体調を崩したり、盗撮されて登校不能になった被害者などがいます。

女性シェルター、トイレ、銭湯などプライバシーを必要とする女性専用の空間に身体的男性が出入りしないための立法化をお願い致します。

海外のシェルターや刑務所では自称トランス女性(身体的男性)によるレイプ事件が起きています。日本では東京の公衆女性トイレが62%も減少し、多目的トイレでの性被害(盗撮や子供へのわいせつ行為など)の増加につながっています。

女性専用は、誰かを排除するためのものでも、特権の行使でもなく、女性の安全、人権にかかわることをご理解頂き、女性専用を守る法律をお願い致します。

以上、2、3月の経過報告となります。
女性のスペースが守られるよう更に発信・活動してまいります。引き続き温かいご支援を賜りますと幸いです。




<<応援・ご支援のお願い>>

署名活動後も多方面へ訴えかけて参りました。冊子の郵送費など支出は大きく、厳しい状況です。更に活動に弾みをつけて活動を広げて参りたいところ、皆さまからの応援・ご支援がありましたら大変な力になります。今後も温かい応援を賜りますよう切にお願い申し上げます。

① 埼玉りそな銀行 ふじみ野支店(支店番号674) 普通 0852451

 「女性スペースを守る会 LGBT法案における「性自認」に対し慎重な議論を求める会」

② 三井住友信託銀行 難波支店(店番220)普通  0168884

 「性同一性障害特例法を守る会  セイドウイツセイショウガイトクレイホウオマモルカイ」

カード決済でのご寄付については、以下をご覧ください。
 https://womens-space.jp/ご支援のお願い/

2、3月の経過報告(議連への参加、院内集会、冊子の配布・勉強会、当事者の生の声など)



まずは海外と国内のさまざまな問題をまとめた動画から。判りやすく実例中心でのものです。性自認至上主義がいかに諸外国で混乱を巻き起こし、ゴリ押しでしかない権利主張が、女性たちの安全を侵害しているかを、リア・トーマスWiSPAなどの実例を挙げて説明。
 国内でもゴールドフィンガー事件や未手術外国人トランス女性の女湯突撃事件を挙げて「外国人のパスポートの性別記載は、すでに陰茎の有無を事前に判断できる状況にはない」という危険性が指摘されます。
 海外でもまさに「文化戦争」と呼ばれるほどの社会対立を巻き起こしている問題を、日本でも再現したいとLGBT活動家たちは考えているようです。このような事態を食い止めるために私たちは「女性スペースを守る法律」「女子スポーツを守る法律」を作るように、議員の先生方に訴えかけるために今日の院内集会を行ったのです。

 そして武蔵大学の千田有紀先生からの基調講演。「女性の定義をめぐって~制度的解決の必要性」という演題です。
 フェミニズムの立場から「今までは女性たちとGID当事者と比較的うまくやってきたが、それが破綻してきた」状況をうまく説明しています。特例法が出来て20年、私たちは「気の毒な人たち(まあ、当事者としてはいろいろ思うこともありますが)」として、あるいは「手術という関門を乗り越えた安全な人たち」として、「(妊娠・出産・性被害」という)ままならない身体」を持つ者同士としての共感がベースにあって、共存してきたと指摘します。

 しかし「性同一性障害からトランスジェンダーへ」、性別の基準を「身体から心(ジェンダー・アイデンティティ)」に変えようとすることで、20年間の共存関係が破壊されたと千田先生は話します。あろうことにか、この性自認至上主義によって「性自認を認めないのは差別だ」とし、なおかつ女性たちの安全に関わる場面では世論の反発を掻い潜るために「女性スペースに入り込みたいトランスジェンダーはいない」などと、明白なダブルスタンダードを主張しているとさえ指摘するのです。

千田有紀先生の基調講演

 まさにこれ、特例法の手術要件がMtFの場合でも違憲になったら、「手術していなくても、性自認を優先しろ!」と前言を覆してゴリ押しをしてくるのではないのでしょうか?現在はまさに待ったなしの状況にあるのです。違憲判決を下した裁判官の言葉もいかにも事態を理解しない、頼りない無責任な発言ばかりです。

 女性たちは自分たちの安全と権利が侵害されることとなりますから、対立しないための合意による線引きといった、制度的な解決を求めます。しかしそれさえも「差別」と呼んで過激な活動家たちは議論に応じようとしません。このような政治的な対立が、欧米では政治イシューの域を超えた社会対立と分断を巻き起こしていることを指摘します。

 問題を座視すれば、社会対立を生むだけです。それによって私たち性同一性障害当事者は、女性たちから非難と警戒の目に晒されています。これが私たちの望む世界でしょうか?私たちも「トランスジェンダー」が引き起こした性犯罪にはいい加減うんざりしています。私たちは「トランスジェンダー」とはもはや一緒にされたくはありません。

 そして、滝本太郎弁護士が登壇します。滝本先生が女性スペースを守るための法案女子スポーツを守る法案趣旨を説明しました。しかし「多様性の尊重」という美しい言葉で、法的な定義が社会的にも重大なものとなる「女性」という言葉が極めて恣意的に使われていることが大きな問題であると指摘します。そして最高裁の経産省事件の判断、そして手術要件の一部違憲判決によって、もはや待ったなしの問題として浮上してきたということを強調しています。

法案の趣旨を説明する滝本太郎弁護士

 しかし、現状では女性スペースの正確な定義もありません。活動家の側も「女湯はダメ」としていますが、このような違憲判決が出てしまうと、さまざまな女性保護のための施設・制度についても、個別に「どれがOK」「どれがダメ」という議論を細かく決めていかないといけないことが、喫緊の課題となるわけです。ですので、現実的な行動としては、女性スペースを守る法律を作ることがまず大事であり、特例法の改正に優先すべきだと主張しました。

 その後、ご来場の議員さんのスピーチがありました。
杉田水脈議員はご自身の遭遇した「新潮45」事件が、LGBT活動家が「議論は差別」という態度を露にした最初の事件だとご指摘されました。

ご来場された議員の方々のスピーチ 杉田議員

 石橋りんたろう議員は、この問題が雰囲気だけで正確な定義もせずに議論していることに強い危惧を感じていることをお話されました。

ご来場された議員の方々のスピーチ 石橋議員

 片山さつき議員は「女性を守る議連」として、特例法改正のための特命委員会への法律案の検討を始めている、とのことです。
 そして、議連の中で特例法制定に御助力いただいた専門医である針間克己先生をお呼びして、針間先生自身が「性自認」ベースでの診断基準では専門家としての判断に責任を持つのは難しく「なりすまし」の排除が難しいとを認めていることを、お話されました。
 また制定当時の関係者から、手術要件廃止で特例法に「穴があく」ことを全く想定せず検討もしていない事態だ、と伺っていると明言されました。

ご来場された議員の方々のスピーチ 片山議員

 そして私、美山みどりの番です。私は手術済・戸籍変更済の当事者の立場から、特例法の手術要件の意義を話させていただきました。特例法は「手術をしたい人のため」の「特例」である法律であり、けして「手術をしたくない『トランスジェンダー』のための法律」ではないこと、そして私たちが手術を「自分たちを守る盾」であり、新しい性別に適合する決意を示すものだと考えていること、そしてそれが客観的に確認可能な条件であるから守らなくてはならないことをお話しました。
 さらに、活動家が主張するような「過酷な条件」ではなく、MtF なら最低なら100万円の費用と大した身体負担もないこと、FtMならホルモン投与で肥大した「マイクロペニス」で外観要件がクリアできる事実を話させていただきました。明らかに手術をなくしたい活動家の主張は事実と離れて「過酷」を誇張した「ためにする」主張なのです。
 まさにこの特例法の改正については、医療と法律と社会とが複雑に絡みあった問題であり、拙速な改正には問題が多いのです。当事者の考えをしっかりと受け止めて慎重に議論していただきたいのです。そして特例法改正よりも「女性スペースを守る法案」「女子スポーツを守る法案」を優先すべきと訴えました。

特例法の手術要件の意義を話す当会代表の美山

 私の後は平等社会実現の会、織田道子さんからのお話で、性暴力被害者をサポートする団体の責任者として、女性スペースの重要性と、その場に未手術の「トランス女性」が入り込むことが引き起こす問題とを、実例を交えてお話しました。女性が抱く恐怖心は、活動家が主張するような「理解」「研修」では解決不能なものであることを、強く強調していました。
 そしてとくに東京都で公共の場での女子トイレが「共用トイレ」に回収されて減っている問題について指摘し、女性にとって「女性スペース」が持つ大きな意義を説明しました。

性暴力被害者をサポートする団体の責任者として話す織田さん。
女性が抱く恐怖が研修で解決不能であることを強調されました。

 本当に皆さん熱の入った発言が続き、予定では発言は1時間ということでしたが、1時間40分ほどにも延長し、時間に追われて会場からの質疑応答の時間を取りづらかったのが反省点です。しかし、各発言者が終わるたびに盛大きな拍手に迎えられるほどの、議員さん秘書さんも含む延べ50名以上の参加者。議員さんご本人では7名(自5国1維1)、議員秘書さんなど8名(自3維3国1立1)、加えて国民民主党の区議さんのご参加を頂きました。
 このように有意義な院内集会になったことを、ここに皆さんに報告いたします。ちなみに当会の副代表はご挨拶を頂いた杉田水脈議員のファンでもあり、ツーショット写真を撮らせていただいて舞い上がっておりました(苦笑)

 ご出席いただいた方も、そうでない方にも無事開催できたことに感謝の気持ちを表します。

院内集会を終えて





性同一性障害特例法を守る会

2024年3月20日 23:51



武蔵大の千田有紀教授(家族社会学・ジェンダー論)が国会内で講演し、生物学的な性差から性自認(心の性)を重視する流れが強まっているとして、「性別の基準に性自認の尊重を置けば、『女性に見えないけど、あなたは本当に女性なの』と疑うこと自体、差別とされかねない。女性は数は多くてもマイノリティーだということを分かってほしい」と述べ、警鐘を鳴らした。女性の権利保護を目指す「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」が今月18日に開いた集会でも講演した。千田氏の発言要旨は以下の通り。



見られる存在になることに不安

女性は、心と体が一致しない性同一性障害(GID)の人たちの「体を変えたい」との思いに対し、温かなまなざしを送っていた。自由な社会を目指す思いはGIDも女性も同じだ。戸籍上の性別を変更するために男性器を取ってしまうほど女の人になりたいと思っているならば、その人は女性だと思い、共存していた。

《昨年10月、最高裁大法廷は性同一性障害特例法が戸籍上の性別を変更する上で求めていた「生殖腺がないか生殖機能を永続的に欠く状態」(生殖不能要件)の規定を憲法違反と判断した。「変更後の性別の性器に似た外観を備えている」(外観要件)との規定については広島高裁に差し戻し今後、憲法適合性の審理が予定される。双方の要件を合わせて「手術要件」といわれる》

判決では「女性は男性器を見たくないのだろう」(=異性の性器を見せられる羞恥心)といった指摘があった。そうではない。女性は自分の身体を(元男性に)見られることに対し不安を感じている。ここが理解されていない。

手術要件がなくなれば性別変更する上で司法や医療の関与が薄まる。性同一性障害特例法は自己申告に基づく性別変更を可能とする『ジェンダー・セルフ・ID』の制度に近づくことになる。短時間で性同一性障害の診断を下すべきではない。診断基準を厳しくするのが解決の道だろう。

海外では性自認を尊重するあまり、女湯や女性トイレでさまざまなトラブルが起きている。

女性スペースの安全は身体で担保

国連が定義したトランスジェンダーには異性装者やノンバイナリー(男性にも女性にも当てはまらない人)といった属性に加え、女性のアイデンティティーを主張するのに、外見上はひげを生やしたままなど女性にみられる気がない属性もある。その人の性自認を疑えば、「差別」とされる世界が広がりつつある。

性自認を認めるなというのではない。これまで女性スペースの安全性や女性スポーツの公平性は身体によって担保されてきたが、性自認の尊重が過ぎれば社会のシステムが崩れる。例えば、女子トイレは女性が社会参加する上で基本的なインフラだ。女性はトイレでの安全性が担保されないと外に出られない。性自認は自由だが、別に制度的な解決が政治に求められる。

LGBT活動家の主張には「女子トイレや女湯に入りたいというトランスジェンダー女性はいない」という声に加え、「手術要件が廃止されれば、その時に話し合えばいい」という声もある。「女子トイレを使いたい」と主張するトランスジェンダー女性(生まれつきの性別は男性、性自認は女性)がSNS上で女性に対して暴力的な言葉を使っているケースもある。

(トランス女性の権利を優先する)LGBT活動家から「女性はマジョリティーだ」といわれている。女性は妊娠する身体を持ち、相対的に脆弱(ぜいじゃく)だ。数が多くても女性はマイノリティーだということを分かってほしい。(奥原慎平)

KADOKAWAジェンダー本の刊行中止「委縮させるのは卑怯」 千田氏

女性スペース守る連絡会 外観要件議論に危機感

「女性は人数多くてもマイノリティー」武蔵大・千田有紀教授 性自認尊重のトレンドに懸念

2024/3/25 13:55







性同一性障害特例法を守る会

@GidTokurei

#手術要件の撤廃に反対します #外観要件は維持を 【再掲】



連絡会は昨年、男性器ある「女性」を誕生させないで!と署名活動をしました。 その後も女性スペースを守る活動は継続しています。 過去の経過報告はPCでは画面右上、スマホでは下へスクロールしてください。

さらに表示



voice.charity

2、3月の経過報告(議連への参加、院内集会、冊子の配布・勉強会、当事者の生の声など) |【日本初!署名活動&クラファンのVoice】

オンライン署名活動の経過報告です。

午後9:56 · 2024年6月22日

https://x.com/GidTokurei/status/1804498791346864632




最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。

提出先:最高裁判所戸倉三郎長官&各国政政党代表 担当者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会(性同一性障害特例法を守る会、女性スペースを守る会、平等社会実現の会、白百合の会、性別不合当事者の会、性暴力被害者の会、No!セルフID女性の人権と安全を求める会及び有志) ※担当者は提出先の機関内の担当者や関係者を想定しており、提出先を想定しています。本活動と直接関りがない前提でのご記載です。

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作成者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

活動詳細
経過報告11
コメント3857

活動詳細

署名終了 2023年10月23日(月)23時59分→10/24提出します
2023年10月25日が最高裁の判決日と決定しました。前々日23時59分までで締め切りとし、翌24日に第一次集約分とともに、まとめて全ての署名を提出します。


★ 第一次集約分
2023年9月25日23時59分に集約し、合計14,935 名の署名を、2023年9月26日に最高裁裁判官宛に提出いたしました。秘書官を通じて、速やかに各裁判官へ資料とともに配布されました。(署名計14,935 名のうち、オンライン署名14,652名、用紙署名283名)

特例法の手術要件について、
違憲と判断して効力を失わせたり
これを外す法改正をして、
「男性器ある女性」を出現させないで下さい!


 2023年9月27日、最高裁大法廷は、性別適合手術をしていない男性の「戸籍上の性別の変更」について弁論を開き、その上で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の手術要件が憲法に違反するかどうかの判断をします。

 原告はこれを違憲だと主張し、その論者らは法的な性別を変えるのに手術をしなければならないのは酷だ、「断種手術だ」といいます。

 事案は、性同一性障害と診断されている男性で、高額の手術費や後遺症への不安から、精巣の摘出手術さえ受けていないということです。

―朝日新聞6月27日 https://www.asahi.com/articles/ASR6W3JM2R6RUTIL02Q.html


しかし、特例法は、身体違和が耐えがたい性同一性障害の人のうち、性別適合手術を終えた人が生きやすくするための法律です。法的性別を変更したいから手術をするのではなく、望んで受けた後に生活のために戸籍の性別も変えるのです。過去、知的障害者らにされた「断種手術」とはまったく違います。法的な性別を変更した当事者は、「手術要件があるからこそ社会から信頼される根拠になっている」と実感し、かつ公に主張しています。

 違憲の余地はありません。


 万一、特例法の手術要件が違憲と判断されると、男性器があるままの法的女性が現れます。性別が変わった後に「生物学的には父となる女性」「生物学的には母となる男性、出産する男性」もあることにもなります。

 法的女性となれば、女子トイレはもちろん女湯などあらゆる女性スペースに男性器のあるまま入れる権利があることになります。手術要件をなくしてしまった諸外国と同様に、社会的に大きな混乱が起きることは明白です。

 法を改正することは不適切です。


○ よって、最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。


■ マンガですぐ分かる!
https://gid-tokurei.jp/pdf/comic.pdf
『今、目の前に迫る危機』手術無しで性別を変えられる?



■ 漫画チラシをポスティングなどしてみようという方は、ぜひご連絡ください。

漫画チラシをお知り合い等に渡す、各戸にポスティングしていただく場合は、200枚単位で無料送付もいたします。ご協力いただける方は、送付先のご住所・お名前・希望枚数を

save@womens-space.jp(女性スペースを守る会)

へメールでお送りください。「漫画チラシの送付希望」というタイトルでお願いします。

※局留めも可能です。希望される方は郵便局の住所と名称、それにご自身の氏名をお知らせください。局留めの場合は受け取りの時に身分証明が必要ですので、本名でないと受け取れません。

※頂いた住所・氏名など個人情報の秘密は厳守致します。


■ 郵送での署名も受け付けております。

署名チラシのダウンロードはこちらのURLから。

https://gid-tokurei.jp/pdf/shomei.pdf



■ 連絡先

女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

 【E-mail】 info@gid-tokurei.jp

 【FAX】 046-263-0375

 【WEB】 https://gid-tokurei.jp

 【郵送先】 〒242-0021 神奈川県大和市中央2-1-15-5階 大和法律事務所内


■ SNS

性同一性障害特例法を守る会
 https://gid-tokurei.jp
 https://note.com/gid_tokurei

女性スペースを守る会
 https://womens-space.jp/
 https://note.com/sws_jp

平等社会実現の会


白百合の会
 https://note.com/morinatsuko

性別不合当事者の会
 https://note.com/ts_a_tgism/

性暴力被害者の会
 https://reliefkids.wixsite.com/---------victim-surv
 komaken602@gmail.com

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
 https://no-self-id.jp/wrws/
 no.self.id.jp@gmail.com


【署名活動およびエール(寄付金)の経費精算についてのご報告】

2023年11月12日配信 経過報告

求署名にご協力いただいた皆様、こんにちは。
女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会です。
署名活動およびエール(寄付金)の経費精算についてのご報告をいたします。

このたびの署名につきまして、数多くの署名に加え、エール贈呈者様 813名、また、銀行振込9名と、たくさんのエールをありがとうございました。

【経費報告】
 エールは署名サイトからのほか、銀行振込も合わせて 計 1,557,400円をいただきました。
署名サイトの手数料を控除し、当連絡会へ1,142,136円が入金されました。
そのうち1,026,183円を経費として使用し、残金合計 115,953円となります。
残金についてはロビイング用の小冊子を作成し国会議員を中心に配布する予定となっておりますので、そちらの費用にも充てさせていただきます。

以下、署名活動の経費内訳です。

コピー代 ¥214,630
印刷代 ¥225,576
郵送費 ¥124,232
交通費 ¥293,094
通信費 ¥51,810
物品購入費・その他雑費 ¥116,841
合計 ¥1,026,183
残金 ¥ 115,953


【活動報告】
署名活動は、2023年8月10日から始まり、第一次集約を2023年9月26日、署名終了を2023年10月24日とし、最高裁には署名の2度の提出行動・要請行動を行いました。
また、これに基づいた記者会見を計3回、さらに政党あての活動を随時行いました。

署名数は、オンライン署名19,756名、紙署名346名を含め、合計で20,102名です。メッセージは非公開分も含め7,261名の方からお寄せいただきました。これも最高裁裁判官と、国政政党すべてに提出しました。

紙署名チラシ54400枚、漫画チラシ26400枚を希望者など各所に郵送し、ポスティングなどで配布して頂きました。また、有楽町の街頭で計3回、チラシの配布を行いました。これは世論を盛り上げるため、またその世論の動きを議員らに伝えるためです。


【活動の結果】
 最高裁あての署名の目的「手術要件を合憲とせよ」ということに至らず、思い通りの判断をいただくことはできませんでしたが、特例法の5号の外観要件については違憲と確定せず、高裁へ差し戻しとなりました。しかしながら、女性スペースの重要性は少しずつメディアにも出るようになり、この問題に気づいてくれる方が増えてきました。ようやく国民的な関心事になってきたと実感しております。

 連絡会は、こちらで見られる2023.10.30付の連絡会の声明にある考えであり、10個の活動などを提起しています。これからも国民的な議論を進めて参ります。

 様々なご協力を誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

2023.11.10 女性スぺースを守る諸団体と有志の連絡会

最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。


GIDFTMの場合は、特例法生殖能力違憲判決の身体の侵襲されない自由に基づき、また生物学的性別で同性愛者が望まぬ性別適合手術を強制されないように特例法の生殖能力喪失要件を撤廃する必要がありますが、GIDFTMに対する男性ホルモン治療によるマイクロペニス形成による生物学的男性の外性器に変化に基づく戸籍の性別男性への戸籍の性別変更家裁承認に必要な事、生物学的性別でのトイレ.公衆浴場等での区別で特例法外観要件は、維持される必要性があります。
立民の婚姻平等法を成立させて同性の法律婚認めるならば、特例法未成年子どもなし要件を削除すると共に、同性の法律婚を禁止する規定となっている特例法の非婚要件も削除する必要があります。






性同一性障害の人が戸籍の性別を変える際、現在の日本の法律では、生殖機能をなくす手術が必要だ。この「手術要件」が憲法に違反するのではないかと訴える声が複数の当事者からあがっている。2022年12月には最高裁が大法廷で審理することを決定した。戸籍の性別変更に生殖腺の除去手術は必要なのか。2人の識者に考えを聞いた。(取材・文:長瀬千雅/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)

手術をせずに戸籍の性別変更を望む

審理の対象となっているのは、生まれたときに割り当てられた性別は男性で、女性として社会生活を送っている人が、手術なしで戸籍の性別変更を認めるように求めたもの。1審、2審ともにこれを認めず、性同一性障害者が戸籍の性別を変更するのに、生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする「性同一性障害特例法」の規定は、個人の尊重や法の下の平等を定める憲法に違反すると、最高裁に特別抗告した。 この規定については、最高裁が3年前に「合憲」とする判断を示している。その際の申立人は、生まれたときに割り当てられた性別は女性で、男性へ性別移行した当事者だった。 しかし今回の申し立てについて、15人の裁判官全員による大法廷での審理が決まったことで、異なる判断が出るか注目が集まっている。 法的な性別変更をめぐる法制度は国によって異なるが、手術を要件としない国は少なくない。戸籍の性別変更に生殖腺の除去手術は必要なのか。

手術要件をなくすには、法的・社会的な調整が必要 仲岡しゅんさん(弁護士)

なかおか・しゅん/弁護士。うるわ総合法律事務所代表。会社におけるSOGIハラスメントや、トランスジェンダーである人とその子どもの親子関係など、性的少数者の権利をめぐる訴訟や審判で代理人を務める。(撮影:宗石佳子)

今の日本では、戸籍の性別を変更するためには、2人以上の医師に性同一性障害の診断を受けた上で、「性同一性障害特例法」に定める5つの要件を満たさなくてはなりません。その要件とは、①18歳以上であること、②婚姻していないこと、③未成年の子がいないこと、④生殖腺がないことまたは生殖機能を永続的に欠くこと、⑤他の性別の性器に近い外観を備えていること、です。 ご質問の「手術要件」以外にも、「非婚要件」「未成年子なし要件」が憲法違反かどうかが最高裁まで争われたことがあり、反対意見はありましたが、いずれも合憲と判断されています。 生殖腺がない(④)、外観が変わっている(⑤)といういわゆる「手術要件」をなくすのであれば、法的にも社会的にもさまざまな調整をしなければなりません。それができていない段階において、無条件に要件をはずすのは、慎重になるべきだと思います。 前提として、MTF(male to female、出生時は男性だが女性として生きる)にとっての手術要件と、FTM(female to male、出生時は女性だが男性として生きる)にとっての手術要件は、同じではありません。 MTFの場合は、手術をして性器の形を変えれば生殖腺もなくなりますから、④と⑤は連動します。 一方、FTMの場合、生殖腺は体の内側にありますから、生殖腺をなくしても外観は変わりません。本人は手術を望んでいないのに、④を満たすためだけに、体にメスを入れなければいけないということが起こる。ですから、手術要件を廃止してほしいという声は、どちらかといえば、FTMのほうが強いんです。
その上で、手術要件を廃止するとしたら、どんな調整が必要になるか。 法的には、手術要件をなくすと、「非婚要件」(②)、「未成年子なし要件」(③)と抵触します。例えば、男性のパートナーがいる性同一性障害の男性がいるとします。手術なしで、戸籍の性別を女性に変更しました。二人は結婚できるようになります。でも、身体的には男性同士です。それって、同性婚を望む性同一性障害ではない方とのあいだに、著しい不均衡が生じませんか? あるいは、性同一性障害の女性が、手術なしで戸籍上男性になったとします。その人には、子どもを産む能力が残ります。すなわち、性別変更後の男性が出産することを想定しなければいけなくなるんですが、「男である母」が戸籍の運用上どのような扱いになるのか定かではありません。 また、性別変更する前に子どもを産んだ人は、③の「未成年子なし要件」によって(その子が成人するまで)性別変更できないのに、性別変更してからなら子どもが産めるという、著しい不均衡が生じることになります。 そういった法律上の矛盾をどうするのか、よく考えないといけない。 社会的には、手術なしでの性別変更を認めると、お風呂や更衣室などの身体をあらわにする場面で、書類上の性別と齟齬が生じる可能性が出てきます。 例えば、更衣室などで、たとえその人が戸籍上女性だとしても、男性器が見えたら嫌じゃないですか? そういう議論をするだけで「トランス差別だ」と言う人もいますが、いやいや、議論は必要でしょう。むしろ、そういった議論をしないまま手術要件撤廃だけが注目されてきたことが、今、偏見を煽っている人たちに利用されているともいえます。手術要件を撤廃するということは、これまで棚上げされてきたことを、議論の対象にしなければならないということを意味します。 そこで生じうる混乱を防ぐにはどうするか。仮に手術要件を撤廃するのであれば、例えばガイドラインを定めるなどして、身体をベースに男女が分かれているような場所では、戸籍上の性別とは違う取り扱いが可能になるようにしておく。そういった形で、社会的な調整をはかる必要が出てきます。
この国が想定する保守的な家族像。そこから一歩踏み出すためには?

仲岡しゅんさん(撮影:宗石佳子)

そもそも当事者のニーズは多様です。戸籍の性別を変えなくてもそれほど不都合はないという人もいます。だいたい、あちこちの書類に性別を書かせるから、かえって混乱が生じるわけで、性別にかかわらず、不自由なく生活できる世の中になるほうが重要だと、私は思うんです。実際、例えば運転免許証には、性別の記載がないんですから。 しかし、婚姻や親子関係は、法的効果を発生させるのに性別が必要ですから、性別を書かないわけにはいきません。 そういう意味では、私は、現在の特例法で最も問題があるのは、③の「未成年子なし要件」だと考えています。 トランスジェンダーは「性別移行」を伴います。ある日突然、性別が変わるわけではありません。自己が認識する性別に、身体や外見を少しずつ合わせていく。なかには、親のすすめで結婚して、子どもももうけたけれども、やはり自分は反対の性別であるというアイデンティティーから性別移行を始める人もいます。その人なりのプロセスがあるんです。 性別移行を終えて、子どもも受け入れている。それに戸籍を合わせてほしいと求めているだけなのに、子どもがいるからダメというのは、合理的な理由といえるのでしょうか。 「子の福祉」という理由づけは、性同一性障害の親を持つと子どもが不幸になると言っているようなもので、その決めつけは明らかにおかしい。 ある人に性別違和があって、性別変更したいかどうかと、子どもを持ちたいかどうかは、別のベクトルの話です。パートナーがいて結婚もしたいけど、子どもは考えていないという人もいれば、子どもは欲しいけどパートナーはいらないという人もいる。当然ですよね。 日本は、家族のあり方がとても保守的です。この国が想定している家族像は、婚姻関係にある夫と妻がいて、そのあいだに子どもがいるというもので、それをベースに考えすぎている。そこから一歩も動かせない。 けれども、同性同士のカップルに子どもがいてもいいし、親子の関係はどうするんだというなら、婚姻という横の関係とは別に、親子という縦の関係をつなげばいいと思うんですよ。 そういう多様な家族のあり方を考えないで、特例法の要件だけをうんぬんするのは、あまり建設的ではないんじゃないかなと思うんですね。 トランスジェンダーや同性カップルの当事者でなくても、国が想定する図式に当てはまらないために不幸になっている人はたくさんいます。でも本当は、その図式は、家族のあり方のごく一面でしかないんです。 当事者たちは、その属性を除けば、多様で平凡な個々です。ふつうに働いて、ごはんを食べて、泣いたり笑ったりして日々を過ごしています。 そして、私は法律実務家ですから、当事者たちをいかに幸せにできるかを考えます。そのための議論が必要だと思っています。
「厳格な要件のもとで認められるべき」という考えは周回遅れ 渡邉泰彦さん(京都産業大学教授)

わたなべ・やすひこ/京都産業大学法学部教授。専門は民法(家族法)。性的マイノリティーと家族に関する問題、同性婚、同性の両親、性別変更などの問題を研究テーマとする。(写真:本人提供)

特例法の要件については、全部いっぺんにやめてしまえ、というのが私の立場です。どこからでもやめていったらいいよ、と。それは、立法の際に「厳格な要件」が必要だと思ったことに対する反省ですよね。 立法当時(2003年)の社会的な情勢や、学問的な水準に鑑みれば、一定の要件を課すのは当然と思われたのですが、わずか数年後にその状況がガラリと変わりました。まったく予想できませんでした。 諸外国から遅れること20年、ようやく日本でもトランスジェンダーの性別変更に関する法律ができたと思ったときには、ヨーロッパではすでに、要件の削除に向かって進み始めていたのです。 例えば、ドイツの連邦憲法裁判所は2008年に、トランスセクシュアル法に定める「婚姻していないこと」という要件を違憲と判断しました。さらに2011年には、「継続的に生殖不能であること」「性別適合手術を受けていること」という要件についても、違憲と判断しました。 日本の立法当時の、我々専門家も含めた「トランスジェンダーの性別変更は例外的なことなのだから、厳格な要件のもとで認められるべきだ」というスタンスは、振り返れば周回遅れだったのですね。 当時は、戸籍の性別を変えられるだけでも、当事者の方たちにとっては大きな一歩でした。その頃の社会情勢の中で、我慢するところは我慢して、法案を成立させることを優先したというのが、実情だったと思います。

戸籍の性別変更は、スタートではなくゴール

法律上の「男」「女」は、出生届に添付される出生証明書の記載で割り当てられる(写真:イメージマート)

授業で性別の問題を取り上げるときに感じるのは、女性の格好をする男性はすべてトランスジェンダーなのだとか、「自認する性別」をいつでもころころと変えられるものみたいな意味でとらえている人が、まだまだ多いということです。 そうではなくて、自分がアイデンティティーを持つ性別と、生まれたときに割り当てられた性別が一致せず、違和が続いているということです。 このような違和は、当事者でない者にはわかりにくいものです。私もきちんとわかっていないと思うのです。 にもかかわらず、身体だけを基準に性別を考えてしまうと、「性別が変わること=性別適合手術」という感覚になるのだと思います。手術は性別違和を除去するために行われるものです。手術以外の方法、例えば服装や生活、ホルモン治療などにより自認する性別に合わせることで違和がやわらぐ当事者もいます。 戸籍上の性別が変わると同時にすべてが変わるというのは幻想にすぎません。性同一性障害特例法による性別変更は、社会的な性別が自認する性別に合わせられたあとに、最終段階として登場するにすぎません。スタートではなく、ゴールです。 これらのことを理解していないと、手術要件を廃止してほしい当事者は性同一性障害ではないという誤解が生じるわけです。 日本の場合は、公衆浴場の文化がありますから、手術要件を廃止すると、温泉施設などの事業者は、はじめは対応に苦慮するかもしれません。ですが、戸籍上の性別は一つの基準ではあるけれども、絶対的なものではないので、なんらかのルールを作ればいいと思います。少なくとも、公衆浴場の利用を理由に要件を維持するのは、本末転倒な気がします。 では、特例法の要件をなくした場合に、何を基準に戸籍上の性別変更を認めるか。性同一性障害の診断という条件は残ります。次は、診断書の必要がなく、自己決定でよいのかです。大事なのは、当事者が、性別変更によって生じる重大な効果を理解し、きちんと責任を持って自己決定できる環境を整えることです。最近でもスペインやスコットランドで診断書を不要とする法律が可決されました。これらは、女性トイレに侵入した男性が「自分の性別は女性だ」と主張して、すぐ後に「やはり男性でした」というようなことを許すものではありません。 少数派の権利のような多数決に乗らないものについて、どうやって正義を実現するかというときには、法とか裁判所というものが力を貸すべきで、それは民主主義を補完する大事な機能です。最高裁も当然、多数派や社会というものを考えながら判断するときもあるけれども、原則論としてどうあるべきかということを、見ていく必要はあるでしょう。 --- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。

「手術をしないと性別変更できない」は憲法に違反するか #性のギモン

2023/6/3(土) 17:00配信



2019年(平成31年)1月23日、最高裁判所は性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下性同一性障害特例法)が定める性別の取扱いを変更するための「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」と「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」という条文(以下手術要件と呼びます)が、憲法13条などに違反するとして、戸籍上は女性である岡山県在住の臼井崇来人(たかきーと)さんが手術を行わないで男性への性別の取扱いの変更を求めた家事審判で、「現時点では憲法に違反しない」との初判断を示し、性別の取扱いの変更を認めない決定を出しました。

これは裁判官4人全員一致の意見ですが、うち2人は手術なしでも性別変更を認める国が増えている状況を踏まえて「憲法13条に違反する疑いが生じている」との補足意見を示したとのことです。

私たちは最高裁判所判断を妥当である考え、支持します。

以下、性同一性障害特例法の手術要件について、当会の考えを表明いたします。



1.性別適合手術は、強制断種手術ではない

性同一性障害特例法に手術要件があることを「断種要件」と呼んだり、旧優性保護法下において、遺伝性疾患や知的障害、精神障害の方の一部が国によって強制不妊手術を受けたことに関連づけて、国による不妊手術の強要であるとか強制断種であるかのように報道されたり主張する人が存在します。
しかし、性別適合手術や手術要件は、強制不妊手術でも強制断種でもありません。
まず、国による強制不妊手術は、本人の同意無く行われたものです。しかし、性同一性障害における性別適合手術は、本人の強い希望によってのみ行われ、しかも全額自費です。
性同一性障害の当事者の多くは、手術を受けたいために懸命にお金を貯めて、精神科や婦人科や泌尿器科に(場合によっては何年も)通って診断書をもらい、更に手術まで何年も待たされたり時には海外に行ったりしてまで受けます。
元々性別適合手術は、手術を嫌がる医師を懇願の末になんとか説得して、ようやく始まったという歴史的経緯もあります。このように強制性は存在しません。
確かに一部の当事者に「手術は受けたくなかったが特例法によって戸籍の性別の取扱いを変更するためには受けざるを得なかった。これは一種の強制である」と主張する人もいるようです。しかしながら、これはおかしな話と言わざるを得ません。
そもそも性別適合手術は、身体に対して強い違和感があり、それを解消するために行われます。精神科医が患者を診察して、本人が強く希望し、性別に対する違和感からくる苦痛・苦悩を取り除くためには手術をするしかないと判断して初めて行われるものです。しかもその診断が間違いでないように2人以上の精神科医が診ることになっていますし、更には専門家による判定会議も行われます。
当然、戸籍変更したいからというような個人の利得のために行うものではありませんし、それを理由として手術を希望しても、本来精神科医の診断は得られないし判定会議も通りません。
もし、本当は手術をしたくなかったけれど、戸籍の変更のために仕方なくやったという人がいるなら、その人は精神科医も判定会議のメンバーも騙したということに他なりません。
また性同一性障害特例法は「性別の取扱いの変更を行うには、手術をしなさい。」と定めているわけではありません。
この法律は、手術を行い、男性として、あるいは女性として生きている人の戸籍上の性別を、そのままだとあまりに不便だろうから現状に合わせて変更しましょうというものです。
つまり、「特例法の要件を満たすために手術をする」のではなく「手術をした人の性別を追認する」ための法律なのであり、順序が逆なのです。

2.性同一性障害の当事者の中でも意見が分かれている

そもそも、この手術要件の撤廃を性同一性障害の当事者が全員望んでいるのかというと、そうではありません。特に当会に所属している当事者の方には、手術要件の撤廃に反対の立場を取る人も多く存在します。
性同一性障害の当事者のうち、特に身体に対する強い違和感がある中核群と呼ばれる人たちは、手術を必要としています。従って中核群の当事者にとっては、手術要件があったとしてもそれ自体は大きな障壁とはなりません。

3.権利を侵害されることになる側(特に女性)への配慮が必要

手術を必要としないとなると、男性器を持った女性、女性器をもった男性が存在することになります。
世の中にはトイレ、更衣室、浴場、病室、矯正施設など男女別の施設がいくつもありますが、これらの施設が男女別になっていることには意味があります。特に、性的被害を受ける可能性が高い女性にとっては「安心・安全な環境を提供する」という意味合いがあります。
しかし、手術を必要とせずに戸籍の性別変更ができるとなると、男性器をもった人、しかも場合によっては女性を妊娠させる能力を持った人がこうした女性専用の施設に入場してくることになります。
世の中に女装した人の痴漢行為や盗撮などの性犯罪が多く存在する昨今、これで本当に女性の安心・安全な環境を提供することができるのでしょうか。
実際、手術要件の存在しないイギリスやカナダでは、女性用刑務所に収監された未手術の受刑者による強姦事件も発生しています。
もちろん、そうした罪を犯す人が悪いのであって、それによって無関係の人にまで累が及ぶのはおかしいという考えもあるでしょう。
しかし、罪を犯す人が悪いだけという論法であれば「女性専用車両」というものは必要ないわけです。痴漢は、それを行った人だけが悪いのであって、他の男性は無関係です。しかし女性専用車両が必要となった背景には、そうでないと女性の安心・安全な空間を確保できないと判断されたからです。
女性は、多くの人が小さいときから性的関心を受けたり怖い思いをしたりしています。触ったり盗撮したりという明らかな犯罪まではいかなくても、じろじろ見られたり、迫られたりしたこともあるでしょう。
それを考えれば、これはやはり男女別施設によって安心・安全な環境を提供されるという権利を侵害していると考えられます。となれば、当事者側の権利の主張だけで物事を通すことはできません。
それでは、入れ墨のように施設によって未手術の人を排除するということは可能なのでしょうか。
これも難しいでしょう。特例法では、第4条第1項に「法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」と定められています。従って性器の有無だけで法的に性別が変わった者を排除することに合理性は見いだしにくく「差別」にあたることになります。数年前に静岡で性別の取扱いを変更した人がゴルフ場への入会を拒否された事件では、差別にあたるとしてゴルフ場側が敗訴しました。
それでは「法律で別段の定めを作れば良い」という話になるでしょうか。例えば「未手術の人は特定の施設の利用を制限できる」とか。これもどうでしょう。これではある意味「あなたは完全な女性(または男性)ではない」と言われているようなものです。二等性別のように扱われることで当事者は傷つくことになります。

4.戸籍変更後に、変更前の性の生殖機能で子どもができる可能性

妊娠したFTMの人は生殖器をそのまま持っている訳ですから、当然男性に性別変更した人が出産したり女性に性別変更した人が妊娠させたりすることがありえます。つまり男性が母、女性が父ということがありうるということです。
実際、海外の事例で男性に性別変更した人が出産したという事例があり、ニュースにもなっています。
別に男性が母になってもいいのではないかという議論は確かにあるでしょう。が、こうなってくると男とは何か、女とは何かという定義というか哲学や宗教の扱う範囲になってしまいます。現状の法律や行政の体制はもちろんそれを前提としておらず、いろいろな制度で手直しが必要になってくるでしょう。
更に「家族観」も問題です。世の中には、保守系の方を主とする家族観に厳しい人が大きな勢力として存在しています。夫婦の選択的別姓が実現しないのも、代理母出産が実現しないのも極端に言えばこの人たちが反対しているからと言われています。特例法の「現に子がいないこと」要件の削除が実現しないのも「子どもの人権に配慮して」というよりはこうした人たちの家族観に反するというのが大きな要因と言えます。
そうした家族観からすれば、男性が母、女性が父となる要素は受け入れ難いと考えられます。私たちの存在は、そうした「家族観」を壊すものではあってはなりません。

5.要件の再検討が必要

現行の特例法から手術要件が無くなると、20歳(成人年齢が変更になれば18歳)以上、婚姻していないこと、現に未成年の子がいないこと、性同一性障害の診断を受けていることの4つが要件として残ることになります、果たしてこれでいいのかを考えなければなりません。
世界にはアルゼンチンのように、医師の診断書も必要なく申請だけで性別変更ができる国もありますが、日本もそこまで行くのでしょうか。
私たちは不十分と考えます。これだとホルモン療法も全くやっていない、身体の状態は完全に男性のまま、女性のままという人も対象になるからです。性同一性障害であるという確定診断は、身体の治療を始まる前に出ます。項目3に書いたように、権利を侵害されることになる側への配慮が必要ということを考えると、さすがに身体の状態が出生時の性別のままというのは厳しいと言わざるを得ませんし、社会適応できているとは言えません。髭もじゃの人を女性として扱うことに抵抗感があるのは当然でしょう。
とはいえ「性自認の性別で他者から見て違和感がないこと」のような基準は、客観性が無いため設けることは困難です。イギリスでは Gender Recognition Act 2004(性別承認法)において Been living permanently in their preferred gender role for at least 2 years(少なくとも2年間は望みの性別で日常生活を送ること)というように、性自認に従った性別での実生活体験重視の発想をしています。しかし、これもどうやって、誰が検証するのかという問題がでてきます。
基本的に法律は裁判官に判断を丸投げするような形ではなく、明確に判断できる基準を設けなければなりません。そのためには客観的な誰でもが評価できるような判断材料が必要となります。
それでは精神科医が判断するということではどうでしょうか?いや、これだと精神科医が完全に門番になってしまい、現在のガイドラインで唄われている当事者にサポ-ティブに接するということと反しますし、精神科医に人生の大問題を決める権限があるのかというのも疑問です。というわけで、手術を外すのであれば代わりにどのような基準を設けるのかについて、今後検討が必要でしょう。

6.性別の再変更の可能性の検討が必要

手術要件を撤廃すると、変更へのハードルはが大きく下がることになります。逆に言えば安易に性別変更を行う人が出てくるということです。現行の特例法では再変更は全く考慮されていませんが、手術要件を撤廃するとなると考えておかなければならなくなります。
もちろん自由に変更できて良いでは無いかという考えもあるでしょう。が、性別というものを、その時々の都合でそんなに変えて良いものなのか、私たちは疑問に思います。


7. 結論として

結論的に、現時点で手術要件を外すということについては議論が不足しており時期尚早と考えます。
少なくとも、当事者のニーズがどれくらいあるのか、実際に外した場合影響を受ける(特に女性)側の受け入れは可能なのかなどの調査が必要でしょう。また、上記項目5で書いたような要件をどうするのかという検討も必要です。
GID学会や日本精神神経学会には、まずはこうしたアカデミックなエビデンスを揃えていただくよう要望いたします。また、今後の性別変更の要件についても試案を提示すべきでしょう。
さらに、手術要件撤廃を訴えている人は、国に対してその要望を行う前に、世間に対して男性器がついていても女性、子どもが産めても男性なのだということについて、理解と支持をとりつけるべきでしょう。
以上より、私たちは「性同一性障害特例法からの現時点での性急な手術要件の撤廃には反対。撤廃するかどうかを含め、今後更なる意見収集や国民的議論が必要」と考えます。
これに基づき、今後国会議員や関係省庁にも議論をスタートするよう求めていきたいと思います。
私たちは、社会の一員です。当事者の主張がわがままになってはなりません。この問題は、みなさんで大いに議論をし、納得をした上で進めようではありませんか。

2019年2月 運営委員一同

性同一性障害特例法の手術要件に関する意見表明

手術要件の撤廃には、更なる議論が必要

2019年2月20日



2003年(平成15年)6月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(以下特例法)が成立し、同年7月16日に公布され性別の取扱いの変更が可能となってから15年が経過しました。その間、2008年(平成20年)に一度改正が行われましたが、その後は検討が進んでいません。
特に性別の取扱いの変更要件を定めた第3条の中で、1項3号は成立時の「現に子がいないこと」より「現に未成年の子がいないこと」に改正されましたが、まだまだ不十分です。
私たちは、この第3条1項3号「現に未成年の子がいないこと」条文の早急な削除を求めます。

なぜこの要件ができたのか

そもそも「現に子がいないこと」という要件は何故付けられたのでしょうか。
2005年(平成17年)2月25日、衆議院予算委員会第3分科会で、今野東議員(当時)が「何故このような要件がついたのか」との質問に対し、特例法制定の中心的役割を担った南野法務大臣(当時)が以下のように答弁しています。

現に子どもがいないことの要件というのは、性別の取り扱いの変更の制度が、親子関係、さらにこれは家族秩序に混乱を生じさせ、あるいは子どもの福祉に影響を及ぼすことになりかねないことを懸念する議論に私たちは配慮しているわけであります。
それを設けられたものでありますが、すなわち、現に子どもがおられる場合にも性別の取り扱いの変更を認めるとなると、女である父ができる、男である母が生じる。これによって、これまで当然に前提とされてきた、父は男、母は女という概念が崩れてしまうのではないかな、そのように思いました。さらに、属性との間に不一致が生じるということにもなります。これを法あるいは社会で許容できるのかどうかということがもう一つ問題になってまいりますので、社会がどうそれを包含してくれるかという課題にもなると思います。 また、現に子どもがおられるという場合にも性別の取り扱いの変更というものを認めるようになれば、親子関係に影響を及ぼす、さらにまた子どものいじめということにも私は配慮をいたしております。
即ち、社会への影響ということと、親が性別変更を行えば子どもにその影響が出るということを問題点として上げています。しかし本当にそうでしょうか。



親が性別変更しても子どもに影響はない

まず「社会生活の性別移行」と「戸籍の性別変更」を混同した大きな誤解があります。

確かに、親が性別を変えるのを目の当たりにすれば、子どもが混乱を起こすことは充分考えられます。しかしながら、それは男→女または女→男という社会生活上の性別を変えることによって起こる混乱であり、戸籍の性別を変更したために起こる混乱では無いのです。
「昨日までお父さんだった人が、今日から急にお母さんになる」「昨日までお母さんだった人が、今日から突然お父さんになる」わけではありません。
性別を移行するには、カウンセリングから始めてホルモン療法、性別適合手術とそれなりの時間がかかります。これに伴って社会生活も徐々に移行していきます。子どもと同居している場合は、その間にも家族と向き合い、新しい関係を構築していくことになります。そして性別役割を変え、実態として新しく「お父さん」「お母さん」に変わっていくのです。そうなれば、そこにはもう混乱は存在しません。
逆に、性の移行が子どもにとって混乱をもたらすから認めないというのであれば、性別移行そのものを禁止しなければならないということになってしまいます。

更に、本来親が子どもに対して求められているのは監護・養育する義務であって、それ以上ではありません。例えば両親の離婚は子どもに対する影響という意味では大きなものがありますが、だからと言って離婚が禁止されることにはなりません。
子どもの幸せは当然大事ですが、親の幸せも大事です。逆に、親が幸せでなくて、どうして子どもが幸せになれるのでしょうか。

社会の混乱は、性別変更していない方が起きる

通常、外見上男性であれば父と認識され、外見上女性であれば母であると認識されます。しかし実際は父だと思われた人物が戸籍上女性、母だと思われた人物が戸籍上男性となっているわけです。これこそ父=男、母=女であるという社会常識に反し、混乱を引き起こすことになります。
つまり、社会生活上の実態と戸籍の性別が異なっていることによって、子どもはそのことを理由に嘲笑されたりいじめに合う可能性があるということなのです。
これこそが子の福祉に反し、また社会が混乱する状態であると言わざるを得ません。

性別変更できないことで受ける不利益

戸籍の性別と実態が異なることによって、当事者は様々な社会生活上の困難を受けることがあります。例えば就業でも、希望の職業につけずアルバイトや契約社員など不安定な生活を強いらることが起こります。
親の精神状態や生活が安定していなければ、子どもを健全に育てるには困難が伴います。このように戸籍の性別と実生活上の性別が一致していることは、家庭にとって欠かせない要素なのです。
また、現に未成年の子がいないという、現在の自分ではどうにもならないことによって戸籍の性別変更を認めないと言うことは、性同一性障害であることの苦しみを持続させるということに他なりません。これは、憲法13 条でいう「幸福の追求権」や、25 条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」にも反していると言えるでしょう。

子どもを持つことができたのに性同一性障害なの?

子どもを持つ性同一性障害の当事者がいるということに対して、性同一性障害は性別に対する違和感であり性器に対する違和感も大きいはずだから、異性と交際して子どもを作ることができたということが理解できないという声を聞くことがあります。しかし、これも誤解や偏見に基づいていると言わざる得ません。

人によって違いはありますが、当事者といえども小さい頃から性別違和があっても、まずはそれを隠し、出生時に割り当てられた戸籍上の性別で生きようと努力します。その結果、自分のことを理解し受け入れてくれる人に巡り会うことができれば結婚という選択肢もあり得るでしょう。あるいは、結婚して子どもができれば、性別違和感を解消できると期待するかもしれません。
しかし、コップに水が少しづつ溜まっていけばいつかは溢れてしまうように限界を超え、それ以上努力することが難しくなってしまいます。
このように、結婚をし子どもを持つ当事者は、意思の力でなんとか生まれたときに割り当てられてしまった性別で生きようと努力をし、ここまでなんとか持ちこたえた人であるに過ぎません。性同一性障害の当事者に子どもがいることは、なんら不思議なことではないのです。

諸外国では

ILGAというNGOが、Trans Legal Mapping Report という報告書を出しています。この報告書では世界111ヵ国と13の地域の性別変更に関連する法令等を調査していますが、性別変更を可能としている国で、法律によって子どもの有無やその年齢を要件としている国は日本以外にはありません。
更に過去の国際会議や学会でも、親の性別変更によってその子どもが悪い影響を受けたと言う事例は1例も報告されていません。
国が違っても、親が子を思う気持ち、子が親を思う気持ちは同じはずです。

15年前の約束

実は15年前、特例法の審議がちょうど始まる時、この「現に子がいないこと」という要件の賛否を巡り当事者は2つに割れていました。お子さんをお持ちの当事者の方が、この法案に反対の立場を取ったからです。それはそうでしょう。自分たちは排除された訳ですから。
しかし反対の声が大きくなるにつれ、特例法の成立自体が危ぶまれる事態も想定できました。そこで、国会議員や当事者の間で協議がもたれ、
1.特例法の附則に見直し条項を入れる。
2.この条文の削除にむけ、今後特例法改正の努力をしていくこと。
が約束され、反対を取り下げてもらった経緯があります。
しかし、未だ改正できていません。
ですので特例法からこの条文を削除することは、15年前からの約束なのです。私たちは、その約束を果たす義務を負っています。

特例法改正の実現を

子のことを思わない親はいませんし、親の幸せを願わない子どもはいないと言っても過言ではありません。当事者はもちろんですが、子どものため、家族のためにも戸籍の性別変更は必要です。
私たちは、性同一性障害特例法から「現に未成年の子がいないこと」条文を削除することを強く求めます。

性同一性障害特例法から「現に未成年の子がいないこと」条文の削除を求めます

2018年7月16日





2003(平成15)年7月8日
日本弁護士連合会




本意見書について

第1 はじめに

1 1997年7月、日本精神神経学会の性同一性障害に関する特別委員会から「性同一性障害に関する答申と提言」が公表され、1998年、同提言にまとめられた治療のガイドライン(第1版)に基づき、性別適合手術が行われた。これにより、性別適合手術を行った医師が処罰された、いわゆるブルーボーイ事件以来、母体保護法第28条(同法に規定した以外の不妊手術を禁止する規定)により困難とされた性別適合手術を含めた性同一性障害に対する治療の道が開かれ、ガイドライン公表後、多くの人が性同一性障害の診断を受けると共に、性同一性障害の存在自体が社会に認知されるようになった。




一方、性同一性障害に関して関心が向けられるようになったことから、性同一性障害を有する人の置かれた社会的な状況、とりわけ、戸籍を中心とする身分証明に関して生じる問題状況についても明らかになってきている。




2 こうした中、2001年5月、日本弁護士連合会に対し、日本精神神経学会より、性同一性障害を有する人の医学的性別と法的性別の一致を求める要望書が提出された。




この要望書を受け、日本弁護士連合会人権擁護委員会において調査を行い、今般、戸籍訂正に関する意見書をまとめた次第である。




特に、現在国会に提出されている「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案」について、一定評価しつつも、戸籍変更の要件に問題があると考え、意見を述べるものである。




第2 性同一性障害者の現状、戸籍変更の必要性

1 性同一性障害とは「生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に属しているかをはっきり認知していながら、その反面で人格的には自分が別の性に属していると確信している状態」を言い、同障害を有する者は、正確な把握は困難であるが、日本において数千人存在すると言われている。




性同一性障害を有する者は、幼少の頃より、自らの性自認に従った行動を取る様になることが多いとされるが、とりわけ第2次性徴を受け入れることができず、自傷行為を行うなどの状態にまで至ることもある。こうしたことから、1997年、日本精神神経学会は、「性同一性障害に関する答申と提言」を発表し、性別適合手術を含めた、性同一性障害に対する治療の指針を示し、性同一性障害に対する医学的救済の道を開いた




2 しかしながら、性同一性障害を有する者が、治療によって性自認に従った性としての外見を獲得し、それに基づいた社会生活を確立しようとする際に、戸籍を中心とする身分証明上の性別、いわば法的な性別が依然として変更できないため、社会適応を阻害されているという事実が認められる。具体的には、身分証明書の提示によって性同一性障害を有することが明らかになることをおそれ、職場に戸籍謄本を提出できず、安定した職を得られない、同様に保険証の提示もできないため、保健医療を受けることができないといった事例が存する。当会においても、性同一性障害を有する者からの戸籍訂正を求める声を受け調査した結果、その人権侵害の深刻な実態を認識し、戸籍訂正の方法、その要件を検討してきた。




第3 戸籍変更の要件

1 戸籍変更の基本的要件




当会はこれまでの検討を踏まえ、戸籍変更の要件を以下のとおり考える。




(1) 生物学的性と異なる性としての、強固、かつ、長期間にわたる性自認
(2) 性別適合手術による、生物学的性と異なる性に近い外見の獲得
(3) 生殖能力の欠如
(4) 変更後の性自認の持続の蓋然性
(5) 婚姻していないこと
(6) 子がいる場合には、子の福祉を害しないこと




2  (1)ないし(4)の要件について




(1)ないし(4)の要件は、基本的に、日本精神神経学会の治療に関するガイドライン(第2版)における、第3段階治療を終了した段階と一致する。




まず、性自認の強固さについては、第3段階治療に至るまでに、生活歴の聞き取り等を伴った性同一性障害の診断がなされ、治療と並行して精神科領域の専門家によるカウンセリング等も行なわれており、それらを通じて、性自認の安定性が検証されている。各段階の治療が「前段階の治療では社会適応が得られないこと」を条件に進められていることからすれば、第3段階治療を受けるに至る者が、性別訂正判断時の基準である「強固な性自認」を有していると判断できるのである。




また、第3段階に至った場合、すでにその治療によって、生物学的性と異なる性に近い外見の獲得、生殖能力の欠如という条件も満たされる。




さらに、第3段階治療の条件として、一定期間、性自認の揺らぎがないかを検討する期間も設けられており、第3段階治療を経ている場合、性別変更後の性自認の持続性についても、十分満たすものであると思われる。




もっとも(1)ないし(4)の要件は、単に「ガイドライン(第2版)の第3段階治療を経ていること」自体ではなく、個別の要件として考えるべきである。




なぜなら、1つには、ガイドラインの第1版から第2版では、第3段階治療に至るまでの治療内容が変更されているため、今後も治療的な側面から、第3段階の治療条件が変更される可能性も十分考えられるからである。(1)ないし(4)の要件は、少なくとも現在のガイドラインの程度に、慎重な手続きを経て性別適合手術を行った場合に満たされると考えるべきである。




2つ目には、現在でも、ガイドラインから外れた治療が行われており、そうした治療を受けたとしても、直ちに戸籍訂正の道を閉ざすべきではないからである。少なくとも、ガイドラインと同程度の慎重さをもって、性自認の強固さ等を確認することにより(具体的には、複数の専門家による診断や、一定期間の性自認の変動のなさの調査を行うことによって)、上記要件を満たす場合があると考える。




3  (5)、(6)の除外要件について




さらに、家族法等との調整も勘案し、 婚姻していないことも要件とすべきである。この要件を満たさない場合には、同性婚を認めるか、離婚や婚姻無効といった法的な処理までを行わねばならないからである。




これに対し、子がいないことは、それ自体を要件とすべきではなく、「子がいる場合には、子の福祉を害しないこと」を要件として求めるべきと考える。




確かに、子がいること自体は、戸籍訂正を求める以前の性自認の安定性について、疑問を生じさせる点ではある。




しかしながら、性自認の安定性については、それ自体が要件として検討されるのであるから、子を持つに至った経緯をも含めて、性自認の安定性を認めることができるかどうかを判断すれば良いのであり、子がいることが直ちに性自認の安定性を否定するとまでは言えないと考えられる。




これに対し、「子の福祉」の観点は極めて重要であり、この点から「子がいないこと」を要件として求める意見が出されることは理解できる。しかし、性同一性障害を有する者に子がある場合、戸籍訂正による子の福祉への影響を考えざる得ないことは確かであるが、それは、戸籍訂正を求める者と子の関係、具体的には、子の年齢、親権・監護権の有無、子を含めた親族等の意識、戸籍訂正以前の生活状況等、個別に判断すべきことであり、全ての場合において、戸籍訂正が子の福祉を害するとは言い得ない。




よって、子がいることを一律に除外要件とすることは適当でないと考える。




第4 外国法制の検討

1 諸外国においては、性別変更について、立法による対応を行っている国が多数見られるが、司法による対応を行っている国もある。




2 スウェーデン(立法による対応)




スウェーデンにおいては、すでに1972年に性別変更の手続きを含めた「性の転換に関する法律」が制定されており、変更申請の要件として、「(1)申請者が18歳に達している。」「(2)不妊手術またはその他の理由による生殖能力を有しないこと。」「(3)未婚であること。」の3点を定めている。




3 ドイツ(司法及び立法による対応)




ドイツも、1980年に性転換に関する法律を定め、性別変更の問題に立法的対応を行っているが、この法律の制定に先立って性別変更を認める判決もなされている。




1980年に制定された法律では、(1)「性転換症的性格のため、出生届に申告された性とは別の性に所属する自覚をもち、かつ、少なくとも3年以上、その自覚と一致した生活を求め強い圧迫感のもとに置かれている」性自認と、(1)結婚していないこと、(3)長期の生殖不能者であること、(4)外的性徴表を変更する手術を受け、それによって他の性の表現形と明らかに類似するに至っていることを要件としている。また、性別変更の効果について、性別に由来する権利義務は、新たな性に従うとされるが、親子関係についての法律関係には、遡及的な影響がないことも規定している。




4 フランス(司法による対応)




フランスでは、性別変更に関して特別な立法はなく、判例によって身分証の性別表記の訂正が認められている。




判決で示された要件は、(1)性同一性障害であること、(2)治療目的による医学的・外科的治療の結果、元の性の特徴を失い、他の性に近似する身体的な外見を獲得していること、(3)別の性による社会行動をとっていることの3点である。




第5 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案について

1 今般、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律案が国会に提出され、参議院では全会一致で可決されており、今国会で法律が制定される見込みである。




かような法案が国会に提出されたことは、性同一性障害を有する者の置かれた状況の改善への重要な一歩として積極的に評価できるところである。




2 しかしながら、上記法案は、戸籍変更を認める要件として、「現に子がいないこと」を要求しており、その点について疑問があると言わざるを得ない。




その理由は既に述べた通りであり、現在の法案において定められている「現に子がいないこと」という要件を「現に子がいる場合には、子の福祉に反しないこと」と改めるべきだと考える。




性同一性障害を有する者の置かれている現状を考えれば、戸籍変更を認める立法は早期に制定されるべきである。しかし、それがかえって一部の性同一性障害者の権利を不当に阻害することになってはならない。そのため、戸籍変更要件について、当事者や専門家の意見も十分に聴取して、議論を尽くすことを求める次第である。




また、仮に「現に子がいないこと」を戸籍変更の要件とする法律が成立したとしても、同立法によって全てが解決したと判断するのではなく、それが十分な救済となっているか、不備はないか等を調査し、必要な見直しを行なっていくべきである。もちろんその際には、戸籍変更の要件の点にとどまらず、性同一性障害を有する人々が、雇用や社会保障その他生活全般の局面に亘り不利益・差別を受けることがないよう、検討していくべきである。




以上




参考「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に関する会長談話

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性同一性障害を有する人々は、現在日本において数千人存在すると言われている。




性同一性障害を有する人々は、幼少の頃より、自らの性自認と生物学的性との間に違和感を持ち、とりわけ第2次性徴を受け入れることができず、自傷行為を行うなどの状態にまで至ることもある、と言われている。1997年、日本精神神経学会は、「性同一性障害に関する答申と提言」を発表し、性別適合手術を含めた、性同一性障害に対する治療の指針を示し、性同一性障害に対する医学的救済の道を開いた。




しかし、性同一性障害を有する人々が、治療によって性自認に従った生物学的性の外観を獲得し、それに基づいた社会生活を確立しようとする際、大きな阻害要因になるのが戸籍を中心とする法的性別である。具体的には、身分証明書の提示によって性同一性障害を有することが明らかになることを恐れ、職場に戸籍謄本などを提出できず、安定した職を得られない、同様に健康保険証の提示もできず、保健医療を受けることができない、といった事例が存する。当連合会においても、性同一性障害を有する人々からの戸籍訂正を求める声を受け、戸籍訂正の要件や抜本的解決の方向性を検討してきた。




こうした中、今般、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が制定され、一定の範囲で戸籍変更の道が開かれたことは、性同一性障害を有する者の置かれた状況の改善への重要な一歩として高く評価するところである。




しかしながら、同法律において、戸籍訂正を認める要件として、「現に子がいないこと」を要求している点については、疑問があると言わざるを得ない。なぜなら、性同一性障害を有する人々に子がある場合、戸籍訂正による子の福祉への影響を考えざる得ないことは確かであるが、それは、戸籍訂正を求める者と子の関係、具体的には、子の年齢、親権・監護権の有無、子を含めた親族等の意識、戸籍訂正以前の生活状況等、個別に判断すべきものであり、全ての場合において、戸籍訂正が子の福祉を害するとは言い得ないからである。




それゆえ当連合会は、戸籍変更の要件として、「現に子がいないこと」ではなく、「現に子がいる場合には、子の福祉に反しないこと」とすべきであると考えるところである。




性同一性障害を有する人々の置かれている現状を考えれば、戸籍変更を認める法律が早期に制定されたこと自体は評価されるべきである。しかし、それがかえって一部の性同一性障害者の権利を不当に阻害することになってはならない。したがってこの度の法律の制定によって全てが解決したと判断するのではなく、法律により十分な救済が図られるのか、不備はないか等を調査し、今後も必要な見直しを行っていくべきである。




もちろんその際には、戸籍変更の要件の点にとどまらず、性同一性障害を有する人々が、雇用や社会保障その他生活全般の局面に亘り不利益・差別を受けることのないよう、検討されるべきである。




2003年(平成15年)7月10日




日本弁護士連合会
会長 本林 徹

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