性暴力で苦しむ人に無料のセラピーを届けたい――。性暴力被害者らを支援する一般社団法人日本フォレンジックヒューマンケアセンター(NFHCC、事務局・名古屋市)が、性暴力被害者にセラピーを無料提供するためのクラウドファンディング(CF、https://readyfor.jp/projects/nfhcc
)への協力を呼びかけている。
性暴力を受けた人の半数以上が心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を抱え、長く苦しんでいると言われる。被害者は学校や仕事に行けなくなるなど生活もままならなくなる一方、だれにも相談できずにいることが多い。医療現場での無理解や対応不足で、未治療のまま社会に適応できなくなっている人も少なくないという。
NFHCCは、被害者が費用負担が原因で治療を受けられない現状を少しでも変えたいと、トラウマやPTSDの専門家による相談・セラピーを無料で提供するため、CFを始めた。PTSDに特化したセラピーは、通常、週1回60~90分で平均15回、計約15万円かかる。20人分にあたる300万円を目標にする。期限は4月12日午後11時まで。
NFHCCは、2019年に設立。精神科医、臨床心理士、公認心理師、性暴力被害者支援看護職などの資格をもった専門家約10人が活動する。長江美代子副会長は「早く治療をすれば早く回復する。できるだけ早く相談・セラピーにつながることは社会復帰の一歩につながる」と話している。(編集委員・大久保真紀)