イスラム土葬墓地で揺れる大分・日出町長選告示 「容認」現職と「断固反対」の新人が激突「移民」と日本人2024/8/20 11:10.多文化共生か将来リスクか イスラム土葬墓地で一騎打ちも地元関心薄く 大分・日出町長選「移民」と日本人.国保から墓場まで 在日イスラム教、土葬の現場に立ち会う.「安価」な移民 人生を丸ごと引き受ける覚悟はあるか等イスラム土葬問題と自動運転の記事PDF魚拓


任期満了に伴う大分県日出(ひじ)町長選は20日告示され、いずれも無所属で、3選を目指す現職の本田博文氏(71)と、新人で元町議の経営コンサルタント、安部徹也氏(56)の2人が立候補を届け出た。町内では大規模なイスラム系土葬墓地の建設計画が進んでおり、本田氏は容認、安部氏は断固反対を訴えている。投開票は25日。

町では同県別府市のイスラム系宗教法人が、町有地約5千平方メートルを購入し土葬墓地79区画の建設を計画。すでに町有地の売却手続きが進んでいる。

地元住民らからは水質汚染や風評被害などへの懸念から根強い反対の声が聞かれるが、町長選の争点としては表面化していないという。地元紙は「進む計画、思いさまざま」などと報じている。

立候補した2氏のうち、現職の本田氏は「要件を満たせば許可せざるを得ない」との立場。一方で新人の安部氏は「将来的なリスクを考えれば建設すべきでない」と断固反対を表明しており、選挙の結果は建設計画の行方を左右しそうだ。

町選管によると、選挙人名簿登録者数は19日時点で2万3282人。

多文化共生か将来リスクか イスラム土葬墓地で一騎打ちも地元関心薄く 日出町長選

イスラム土葬墓地で揺れる大分・日出町長選告示 「容認」現職と「断固反対」の新人が激突

「移民」と日本人

2024/8/20 11:10


分県日出(ひじ)町で、任期満了に伴う町長選が20日告示される。3選を目指す現職の本田博文氏(71)は容認、一騎打ちとなる見通しの新人で同町議の安部徹也氏(56)は断固反対を訴えている。国内に移住するイスラム教徒は年々増加しており結果が注目されるが、地元ではほとんど争点になっていないという。

遺体の上に重ねて埋葬

この墓地は、別府市にある立命館アジア太平洋大教授で、パキスタン出身のカーン・タヒル氏が代表を務める宗教法人「別府ムスリム教会」が計画する「別府ムスリム霊園」。テニスコート約20面分にあたる町有地約5千平方メートルを購入、深さ2メートルの土葬墓地79区画を建設する。



イスラム教徒は、預言者ムハンマドが土葬されたことや、聖典コーランにそのような教えがあることから、死後は土葬を望む。ただ、火葬率が99・9%を超える国内に土葬可能な墓地は極めて少なく、カーン氏らの主導で平成30年ごろから計画が浮上していた。

当初は名水で知られる湧き水の水源近くだったため住民の反対が強かった。町は、キリスト教の土葬墓地がある修道院の隣接地に計画地を変更させ、調査などを進めていた。

すでに昨年5月、宗教法人と住民の間で合意が成立し、協定書を締結。九州各県の遺体を受け入れることや、区画が足りなくなった場合は埋葬20年後に、遺体の上に重ねて土葬できる―ことなどが条件になっているという。

しかし正式な売却や墓地建設の許可申請などの手続きが残っており、一部住民には反対の声が根強いという。

水質に「影響なし」

安部氏は町議2期目で、「現在の日本では土葬は公衆衛生上や土地の制約という問題がある」と主張。さらに、遺体を重ねて埋めることについて「墓標もなく、79区画が埋まれば上から上から埋め続ける。日本にはいまだかつてなかった土葬墓地だ」と指摘し、「将来的なリスクを考えれば建設すべきでない」と話している。

一方、現職の本田氏は「要件を満たせば許可せざるを得ない」との立場を崩していない。住民側が懸念していた水質汚染の問題についても現地や国内の他の土葬墓地なども調査した上で「影響なし」と結論づけている。

6月の町議会で担当の住民生活課長は「町や近隣市などのイスラム教徒の墓地不足が解消され、宗教的平穏の中で土葬を行うことができる。多文化共生の一助になるとは考えている」と述べた。

報道なく関心薄い

日出町は人口約2万7千人。町長選は現職と新人の一騎打ちになるとみられるが、地元関係者によると現職の「信任投票」の色合いも強く、「イスラム墓地と関係のない地域の住民も多いため、争点になりにくいのではないか」。

別の関係者は「マスコミ報道も少なく、企業誘致などを争点に挙げる人もいる。ただ、墓地問題に関心のある2割ほどの人のほとんどが反対ではないか」と話す。

早稲田大の店田広文名誉教授の推計によると、昨年末時点で国内にいるイスラム系外国人は約29万人。3年間で約11万人増加している。

町長選の投開票は8月25日。

日出町長選告示 「容認」現職と「断固反対」の新人が激突

国保から墓場まで 在日イスラム教、土葬の現場に立ち会う

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「移民」と日本人

2024/8/13 11:



国保から墓場まで㊤

絶対に移民と言ってはいけない国

「異国の地で召された彼にアラーのご加護を」。昨年暮れの夕刻、荒涼とした関東平野に広がる埼玉県本庄市の霊園にスリランカ人男性ら約90人が集まった。神奈川県藤沢市に住んでいた同胞の70代の男性が死亡、遺体を土葬するために運んできたのだ。

遺体は布に包まれ、土がかけられた

イスラム教徒は、預言者ムハンマドが土葬されたことや、聖典コーランにそのような教えがあることから、死後は土葬を望む。ただ、火葬率が99・9%を超える国内に土葬可能な墓地は極めて少なく、この霊園が首都圏では唯一だ。

「われわれは土葬された後に来世が始まると信じている。父も満足していると思う」。男性の長男(46)は目を潤ませた。父親は故国では腕のよい仕立職人だった。高齢になり、親族の暮らす日本に身を寄せていたところ、心臓の病気で急死したという。

墓地に重機が入ってきた。運転手もイスラム教徒のボランティアで、深さ1・5メートルほどの長方形の穴が掘られた。遺体は棺には入れず白い布に包まれた状態でゆっくりと降ろされ、土がかけられる。導師と参列者の唱和の後、土まんじゅうの頭の辺りに、灰色のコンクリートブロックの墓石が立てられた。

全国で1千体が埋葬

「日本人の墓は、核家族化などで墓じまいが進み、ピーク時の4割に減った。入れ替わるようにイスラム教徒が増えた。日本人は墓参りにもあまり来ないが、彼らは熱心で、季節に関係なく夜中でも訪れる」と霊園管理会社の男性社長(76)は言う。

霊園がイスラム教徒を受け入れ始めたのは令和元年。東京都内のモスクから頼まれ、西アフリカのガーナ人を埋葬したのが最初だった。以来、口コミで広がり現在はパキスタン、バングラデシュなど15カ国、100体余りが眠っているという。

イスラム教徒が土葬できる墓地は全国でも10カ所程度しかなく、現在の埋葬者は約1千人とみられる。これまでは航空機で祖国に運んで土葬されることも多かった。

イスラム系外国人も高齢化

イスラム系の外国人は以前から国内に在留していたはずだが、今改めて「墓地不足」が注目されるのは、外国人労働者の増加に加え、彼らの中に経済的に航空機を利用できない層が拡大していることもある。

さらに以前は年を重ねる前に帰国するケースが多かったが、最近では日本で生涯を終える人もいる。在留外国人の「高齢化」である。

早稲田大学の店田広文名誉教授(社会学)の推計によると、令和2年末時点で国内にいるイスラム系外国人は約18万人。「お祈りもせず、酒も飲んで世俗化していても彼らは最期は土葬を望む。外国人労働者の増大で今後さらに増える可能性は高く、近いうちに墓地も足りなくなるだろう」

㊥「安価」な移民 人生を丸ごと引き受ける覚悟はあるか

国保から墓場まで 在日イスラム教、土葬の現場に立ち会う

2024/1/4 11:00


国保から墓場まで㊥

外国人労働者を定住させることは、文化も風習も異なる彼らを丸ごと受け入れることに他ならない。

㊤イスラム教、土葬の現場に立ち会う

スウェーデンは5人に1人

それは医療や教育、福祉、老後、さらには墓場まで、その人の人生にわが国が責任を持つことでもある。産業界は外国人労働者の受け入れに「安価な労働力」を期待するが、トータルコストを考えれば本当に「安価」と言えるのか。

2015年からシリアなどの難民や移民の受け入れを急拡大したドイツでは19年、生活保護受給者の40%を外国人が占め、彼らの住居、教育、医療などの費用として毎月40億ユーロ(当時約4800億円)の公金支出があると公表した。

かつて「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家と呼ばれたスウェーデンは人口1千万人の5人に1人の200万人が外国出身者とその子供となり、2022年に社会福祉を受けた16万世帯の57%が外国人世帯だった。

荒川区は国保滞納30%

わが国でも、その兆候はある。外国人が人口の1割の約2万1千人を占める東京都荒川区で昨年、国民健康保険の滞納状況を調べた結果、日本人世帯主の滞納率が14%に対し、外国人世帯主は30%と2倍以上の開きがあった。

国保は住民登録すれば外国人も加入義務があるが、保険料を支払わなくても病院では自己負担3割で最長2年間医療を受けられる。滞納分は日本人が大半を占める国保加入者が負担している。

荒川区の小坂英二区議(51)は「国民皆保険でない国も多く、そもそも健康保険という概念が理解されていない。『病気でないのに、なぜ払うのか』という意識がある」。

区はネパールやミャンマーなど7カ国語のチラシ配布などで周知に努めるが、今年からは家族も帯同しやすくなる在留制度も本格化する。小坂区議は「子供や高齢者らが増える可能性もある。外国人と日本人で同一制度を維持しようという考え方は早急に見直すべきだ」。

㊦「異教徒と近い」墓地でも宗教めぐる争い

「移民」と日本人 今年起きること

「安価」な移民 人生を丸ごと引き受ける覚悟はあるか

2024/1/4 11:05



国保から墓場まで㊦

イスラム系の土葬墓地をめぐっては地域住民との軋轢も生じている。

㊥「安価」な移民 人生を丸ごと引き受ける覚悟はあるか

遺体に遺体を重ねる

大分県日出町では、九州で初となる計画に水質汚濁や風評被害を理由に反対運動が起きた。計画地は名水で知られる湧き水の水源近くにあり、墓地の水が飲用水に流れ込む懸念があった。

町は世界保健機関(WHO)の報告書などを基に影響はないと説明したものの、計画地を近くの町有地に変更。昨年5月にイスラム教徒側と住民の間で合意が成立したが、今度は隣接市の一部住民が地下水の汚染を理由に反対した。

町は「手続き上は進めざるを得ない」として今年中にも全79区画が完成する見込みだが、すべての区画が埋まれば、遺体の上に重ねて土葬する可能性もあるという。

近くに住む町議(74)は「日本人は土葬とは縁遠くなり、正しい埋葬の仕方もよくわからない。将来的には何百体になるか分からず、町の行方が不安だ」と話す。

気の毒で引き受けたが…

埼玉県本庄市の墓地でイスラム教のスリランカ人男性の土葬が営まれた日、同じ敷地内で60代のペルー人男性の埋葬も行われた。宗教はキリスト教だが故人の遺志で土葬を選んだ。ただこれにイスラム教の遺族側からクレームが付き、ペルー人の墓は数十メートル離れた場所に急遽変更された。「異教徒と近い」と言い、敵対心を持った。

「他の墓地から排除されたイスラム教の人たちが気の毒で引き受けてきたが、今度は自分たちが排他的になっている。この墓地で宗教的な争いを起こしてほしくない」。管理会社の社長は、そう懸念した。

運転手は「移民」か「無人」か

「異教徒と近い」 墓地でも宗教めぐる争い

2024/1/4 11:10