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かぼちゃのポタージュ

先週の土曜日に母親と食事をした帰り、「食べてね」と生のかぼちゃを手渡された。母は良かれと思って娘に野菜をくれるのだけれど、かぼちゃは私にとって調理するのが面倒な食材のひとつ。傷む前に調理しなきゃ…と内心ため息をつく。


そうこうしているうちに1週間が経った。この1週間、冷蔵庫を開けるたびにかぼちゃと目が合った。そろそろカビが来てしまうので、重い腰を上げてキッチンに立つ。大体、家族は私のことを誤解している。料理好きだと思われているが、好きな時に好きな食材を料理するだけであって、いつでも何でも作るわけじゃない。

かぼちゃは10年以上前、カットしようとした時に包丁の刃を欠けさせたことがあって、以降自分では滅多に買わない食材のひとつにノミネートされたのだった。そんな胸の内を知らない母に憤慨しつつ、カットして皮を剥く。ピーラーで皮を剥く作業がまた厄介。あぁもう。だから嫌いなのに。イライラして悲しくなる。お母さんは何にもわかってない。


カットして皮を剥いてしまったら、そこから先は案外スムーズだった。レンチンして、牛乳と一緒にフードプロセッサーで攪拌する。お鍋に移したら塩コショウ、コンソメを加えて中火にかけて、仕上げにバターを加えたら完成。

早速いただいてみる。かぼちゃの甘みが口いっぱいに広がって、悔しいけど美味しい。かぼちゃは自分で調理するのが嫌いなだけであって、味が嫌いなわけじゃないのだ。カットして皮を剥くのだって実質5分もかからない。でも、苦手なものは苦手なんだから仕方ない。


母に「かぼちゃ、美味しかったよ」とお礼のLINEをしようか迷っている。お礼を言ったら母は喜んで、また次回会う時に食材をくれるんだろうな。あまり料理が好きと思われても困りものだ。悩みつつ、ポタージュの残りを冷蔵庫にしまった。


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