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楽観的にも悲観的にも捉えられるアリババ4~6月期決算

中国EC最大手のアリババが近日4~6月期の決算を公開。この決算に対して、各メディアは全く異なる見解を報道した。「上場以来初の四半期減収」と、厳しく報じるものもあれば、「逆風にもかかわらず、大幅減収は免れる」といった楽観視するものも見られる。

業績の詳細を見てみると、売上高は2,056億元(約4兆600億円)と、昨年同期よりわずかに減少。2014年の上場以来、初めての減収となったが、市場予想の2,040億元を上回る結果となった。

また、純利益は227億元(約3,500億円)で前年比50%減少したものの、現地生活サービスやクラウド事業といった比較的新しい事業の損失に関しては限定的なものに留まったようだ。この決算発表後、予想より良い決算を出したとしてアリババの株価は一時上昇している。

以下はアリババ決算の内容の一部である:

① 売上高は2,056億元(約4兆600億円)で前年比0.0092%とわずかに減少。
·B2C事業(広告やコミッション収入)の売上は、723億元(約1兆4,200億円)で、前年比10%減少
·TmallとタオバオのGMVは、前年比マイナス成長
·クラウド事業の売上は、177億元(約3,500億円)で、前年比10%増加

② 純利益は、前年同期比50%減の227億(約4,510億円)

上場以来、2桁の増収率が続いていたため、今回の減収に対して衝撃を受けた人は多いだろう。

この決算に対し、CEOの張勇は「コロナ蔓延により4~5月は事業の伸びが鈍化したが、6月以降は感染状況が落ち着くにつれ好転しした」と説明。

しかし、コロナの影響を取り除いても、中国EC市場の成長鈍化や、政府によるIT大手への規制、および米中対立による米市場での上場廃止リスクの上昇など、アリババは様々な逆風に晒されている状態だ。

果たして世間が最も関心を寄せる巨大企業アリババに今後の成長は見込めるのだろうか。

CEO張勇は株主向けのメッセージで「人は往々にして1年間の変化を過大評価し、5年後、10年後の変化を過小評価する。ここ一年で業務上の改善に加え、我々が組織や文化に対して行った改善行動はアリババの新しいスタートを切ったと信じている」「これら変革の効果が出るには長い時間が必要だが、我々は正しい道を歩んでいると信じている」と語っている。

アリババが言う変革には、各事業部に決裁権限を付与する組織変更や、米市場での上場廃止リスクを避けるため、香港でプライマリー上場を申請するなど、激変する時代に応変する措置が多く見られる。

また、アリババは国内EC市場の成長鈍化を受け、「消費のインターネット」から「産業のインターネット」へ注力。アリクラウドでは従来のネット関連の顧客よりも成長している他分野の顧客を獲得することに方向転換していることから、アリババが再び成長する可能性は0ではないだろう。

創業以来、最も厳しい状況に置かれているアリババは今後どのような成長を見せるのか。引き続き追っていきたい。



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