そうだ、高校生家族を読もう
｢好きな漫画を5個挙げて下さい｣と言われれば、迷わずこの作品を入れます。
それが、仲間りょう先生の高校生家族です。
ジャンルとしてはギャグ漫画でありながら、スポーツ、恋愛、青春という、まさに少年漫画の美味しいとこ取りをしている作品。
見どころはなんと言っても、今までありそうでなかった、家族全員で高校に通うという反則技みたいな設定です。
これが作品全体を流れるテーマとなっているので、キャラたちの何気ない言動がどれもシュールに見えて、思わずクスっと笑ってしまうんですよね。
記念すべき第1話で、40代の父親が息子にこう言って物語が始まります。
この父親(家谷一郎)はバリバリのサラリーマンだったんですが、中卒が心残りという理由で会社を辞め、主人公の息子(光太郎)が通う高校に入学することを言い出します。
それから親子で一悶着あり、母親や8歳の妹、ペットのネコと話し合った結果、最終的にはこのような形となりました。
この時点で既に笑えます。
完全に異様な光景なんですが、全員本気で高校ライフを送ろうとしていることが表情からも伝わってくるのがポイントです。
周りからどう思われるかなんて微塵も気にしていない。
ワートリの三雲修のように、｢自分がそうするべきだと思ったからだ｣と言わんばかりに、校舎に向けて歩みを進めています。
読者の気持ちを主人公がツッコミという形で表現してくれるのも気持ちがいい。
もともと、この作品と出会ったきっかけは、実は古本屋で単行本1巻が置いてあり、暇つぶしで読んだことです。
1話2話とも面白かったんですが、その時はまだ買おうとは思いませんでした。
決め手になったのが3話で、家族全員が同じクラスとなり、そのことに対してクラスメイト全員で揉めているこちらのシーン。
はい、地獄です笑
羞恥心の嵐、シュールすぎて笑えます。
主人公の光太郎には悪いですが、かなりお気に入りのコマです。
最近のギャグ漫画って、けっこう勢いとノリみたいなモノで読者を笑わせにくるのが多い印象なんですが、高校生家族は設定自体が既にシュールなので、キャラの自然なリアクションだけでも普通に笑ってしまいます。
この回を読んで別の本屋に1巻を買いに行き、新品が1冊だけ残っていて妙に感動したのを覚えています。
それからジャンプ本誌でも欠かさず読み続け、毎週アンケート1位に入れていました。
驚いたのは、X(旧Twitter)でチェンソーマンの藤本タツキ先生が好きな漫画に高校生家族を挙げていたことです。
5巻帯に描きおろしイラストを描いてくれたのはかなり嬉しかったですね。
本作は個性的なキャラが多いんですが、一番お気に入りなのが竹林信勝、通称のぶかつです。
光太郎をはじめとした家谷一家と同じクラスメイトで、一見すると、なんの特徴もないモブキャラのような外見をしています。
そんなのぶかつは、ある日、少しずつ家族が高校にいる日常に慣れ始めていた光太郎を屋上に呼び出し、こう告げます。
地獄第二弾です笑
シュールを通り越して新しいお笑いのジャンルを見てしまった気分。
この絶妙に気まずくもおかしい雰囲気が好きなんですよ。
まさに仲間りょうワールドです。
この後、光太郎がどんなリアクションをしたのか、どのような結末を迎えたのかは単行本で確認してもらいたいんですが、この回を機にのぶかつは純レギュラーのポジションを確立したので、ファンとしては感慨深さがありますね笑
その他、家谷一家それぞれの部活動もめちゃくちゃ面白い。
特に妹・春香の将棋回がたまらなく好きで、部員とのコミカルなやり取りや対局姿が微笑ましいんですよね。
この絵柄からは想像できないと思うんですが、笑いだけではなく、普通に泣けて、熱くなれる展開も目白押しなんです。
仲間先生は、キャラ一人ひとりの心情を表情や空気感で表現するのが抜群に上手い。それらをここで語ってしまうと文章が止まらなくなるので、ここら辺でやめておきます。
ちなみに最近知ったんですが、前作の｢磯部磯兵衛物語｣が夏に実写ドラマ化するそうです。WOWOWに加入してないので観れないのが悩みどころ･･･。
高校生家族は無料試し読み&ボイスコミックもあるので、気になる方はぜひ一度読んでみてください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？