見出し画像

『君たちはどう生きるか』を観てきた

普通に楽しめたね。
簡単に言うと、母と子の物語で、母を失った少年が同年代だった頃の母に逢いに行くパラレルワールド的な話で。

完全に男目線の感想だけど、母も昔はかわいかったんだなーって。
人生50年も生きていると、30代で二児のお母さんってまだまだ幼く見えて「えっこんな小娘が本当に親やってるの?」って思える様になってくる。
私が20代の頃は、既婚女性=お母さんであって、もう女を卒業したものって勝手に考えてたものだが、ちゃんと女性を一人の人間として見れるようになったんだろうか、このごろその存在が宇宙における神秘といったら大袈裟かもしれないが、とても愛おしく見えてくる。
子を産み育てるって何か特別な一大事業であって、仙人の覚悟の所業みたいに勘違いしていた頃もあったが、自分が小さかった頃の母も思い出しつつ。
別に母だからと言って万能ではないし、普通に頭悪いしw、相変わらず喋ってないと心が爆発してしまう生き物だし、あくまで自然現象の中の通過儀礼の一部に過ぎない話であって、あまり難しく考えずに愛した人の子をみごもって、なんだったら産んでほったらかしでも良い。
それだけで自然界における責任は果たしたと言っても言い過ぎではない。
きっともっとこの世の中が、ただの自然現象を全うできる世の中に戻るといい。

一方でこの作品は「死」というものもテーマにしており、戦争で始まり、別世界は破壊で終わる。
現世界に戻ってもまた戦争に巻き込まれるだろうと(これ予言か?)
その世界で生きたいか?でどう生きる?って問いかけを投げかけてくる。
最後に戻る扉を選ぶ時に、一緒に戻るのではなく、母はなんのためらいもなく「死」の扉に戻ろうとする。
「だってちゃんとあなたを産みたいし、火なんて痛くも怖くもない(実は焼死するのね)」と。
ここでツーンと涙が込み上げる。

結局のところ、「死」というものも自然界における通過儀礼のようなもので、人間にとってアンコントローラブルなもの。
宮崎監督も80過ぎて「死」を目前に考えるようになったってことか。
でもこれだけ明確にこの手のテーマを仕上げる画力やエネルギーを見るに、このじじぃまだまだ創るだろう。
それがこの人の自然現象みたいなもんだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?