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あのね日記(5/20)

先生あのね。やっぱり一日飛んでしまいました。特に何をするでもなかったのですが、バタバタしているうちに時間が過ぎてしまい、一日が終わっていました。

今日は、昨日読んだ本について書きたいと思います。私が読んだ本は『甘いお酒でうがい』です。この本はお笑い芸人のシソンヌのじろうという人が書いています。

以前から「シソンヌ」という存在は知っていたのですが、(あ~お笑いの…)程度の興味しかなく、テレビで見かけても何という思いもなくこれまでずっと来ていたのが、1ヶ月ほど前のある日、なぜか急にシソンヌが気になり始め、ホント何かの病気か、脳が電磁波か何かで攻撃されたのかというぐらい唐突にのめり込んでしまいました。コロナの影響で毎年恒例の帰省もままならず、家でひたすら過ごす時間ができたのを良いことに、ゴールデンウィークは朝から晩までずっとシソンヌの動画を見ていました。見られるものは全部見て、今はラジオをずーっと遡って聞いている状態です。こうして初めてナニを覚えた中学生男子のように寝ても覚めてもシソンヌに思いを巡らせているうちに、やがてじろうさんの才能…というよりもじろうさんの中にあるぽっかり開いた暗い穴みたいなものが気になってしまい、怖いもの見たさでじろうさんを追いかけるようになってきました。私があと10歳若ければこれは熱烈なファン心、猛烈な恋愛感情になったと思うのですが、同世代の中年に差し掛かった年齢になると、そう単純に気持ちをラベリングすることもできず、なんだかモヤモヤする、しんどいけど気になる、面白いのに悲しいといった、置き所の無い感情を持て余している状態です。

そして色々見たり聞いたりしているうちに行きついたのが『甘いお酒でうがい』でした。

正直なところ、なんでもっと早くシソンヌに、この本に気付けなかったのか‼‼‼と激しく後悔しました。今はもう絶版らしく電子書籍でしか読めず、泣く泣く電子書籍で読んだのですが、もう本当に泣いた。久しぶりに泣いた。私関係ないのに泣いた。感動?共感?わからない。わからないけど頭を思いっきりぶん殴られて心が鷲掴みにされたようなあの嵐のような感情。理由もわからず本を読んでわんわん泣いたのは高校一年生の時に読んだ鴻上尚史さんの『スナフキンの手紙』という戯曲を読んだ時以来だと思います。16歳の多感な少女が本を読んで号泣するのは絵になるけど、もうすぐ39歳のオバサンが夜中に一人で携帯を握りしめて泣いているというのは、感情の激流の中にいる状態でも(ヤバい絵だな)と冷静に思えるほどキツイものがあったと思います。どうにか気を紛らわせたくて歯磨きをしてみたものの、涙と嗚咽が止まらず、そんなぐちゃぐちゃな顔を直視するのが怖くて洗面所の明かりをつけることができませんでした。真っ暗な洗面所で歯を磨きながら号泣するオバサン。誰も起きてこなくてよかった。本当にそう思います。

内容は日記です。川嶋佳子というアラフィフ女性の日記です。川嶋佳子さんの日記という体のシソンヌじろうさんの日記でした。どこまでが実話でどこからがフィクションなのだろうか?考えるだけ無意味なのだろうとも思います。全て実話で全てフィクションで、その境界線はどこだっていいのだと思います。この本の中にある空気が、じろうさんの人間愛に溢れた優しさと、ぎょっとするほどの暗い穴の中を通り抜けて文章になっている。それがとても純粋で冷酷で優しい。そういう本でした。

悔やまれるのは絶版になっていること。この本は紙でこそ価値があるのではないかと思います。自分の好きな人、大切な人に「これ読んでみて」と手渡したくなるそういう本でした。この本を読んだ感想で今後の付き合い方が変わっていくかもしれない。そんな風に思います。だから再版してほしいととても強く思っています。

もっともっと多くの人に読んでもらいたい、読まれるべき本だと思います。

読み終わってもう何時間も経っているのに、読みながら勝手にイメージした映像がなかなか離れず、今も夢の中と本の中と現実をごっちゃにしたようなふわふわした感覚でいます。そろそろ夕飯の支度に取り掛からねば。

明日からも頑張りたいと思います。

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