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実物の力

お仕事仲間からお誘いを受けて、『FabCafe』主催のこんなイベントに参加しました。リソグラフというRISOの孔版印刷機を使って、版画をつくろうという催しです。

RISOは、昔懐かしいプリントゴッコをつくっていた会社です。プリントゴッコも孔版印刷(シルクスクリーン)なので、リソグラフとは兄弟みたいなもんです。じつは、多くの若い世代の人たちはプリントゴッコのことを知らないということが分かって、ショックを受けていますが話が逸れるので横に置いておきます。

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テーマは『Don’t Pay for Me』という、考え出すと少々むずかしい内容でしたが、直感を信じて、こんなイラストをiPad Proの『Procreate』というアプリで描きました。最近はイラストも写真もデジタルデータでの保存がほとんどで、実際にプリントする機会がものすごく減っています。グラフィックデザインが主戦場のぼくですら、最終的に印刷物になることはどんどん減ってきています。コロナ禍の中で、その流れはさらに加速しています。名刺もぜんぜん減らない。

今回、たまたまデジタルデータを版画に変換する機会があったわけですが、結論から言うと、“手に触れられるモノはものすごく強い”です。分かってましたよ、そりゃ、分かってはいましたが、印刷された作品の存在感、愛おしさ、ありがたみ、美しさ、圧倒的でした。データから黄色→オレンジ→緑→黒の4色にわけて印刷する2時間弱ずっとウキウキしてました。

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見た目は、普通のレーザープリンターと変わりませんが、中身はまったく違います。詳しく書こうとすると面倒くさそうなので完全に割愛しますが、先にも述べたとおりプリントゴッコをこの箱の中で全自動でやるわけです。レーザープリンターのようにカラフルな企画書や写真のプリントにはまるで向いておらず、お世辞にも万能とは言えませんが、独自の個性をもっています。少なくともぼくは欲しい。

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途中、インクの汚れが紙に写ってしまうトラブルに見舞われましたが、RISOの方がいろいろと対処をしてくれ、無事に規定枚数の印刷を終えました。印刷された作品は、9月8日(火)までは道玄坂の『FabCafe』で、9月12日(土)から9月27日(日)までは、富士吉田の『HOSTEL SARUYA』で展示・販売されます。リソグラフは西小山にある『Hand Saw Press』さんとかでも印刷できるみたいなので、もう一回チャレンジしてみたいと思います。

いつもはiPadの中にしまわれたままのデジタルデータが、こうやって印刷されると、まったく別の存在になるわけで、実物を見る・触れる・感じるという行為がいかに大切かを再確認できました。デジタルデータでの保存は場所もとらないし、どこででも確認出来るし、とても便利ですが、たまにはプリントしたりするのもいいんじゃないかと思います。この写真集サービスも、すごくよさげだし、安いので近く試してみよう。


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