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もう恋なんてしない

近年、世に言う不倫ではありますがそれなりに恋らしきものはして参りました

その辺の痛いお話は置いておいて……

今伝えたいのは彼の事だ

彼は親友の様な弟の様な存在でいつも私の近くにいた

バツイチで親類はこの世に1人もいない天涯孤独な彼はそんな境遇とは思えないくらい優しくて誰からも愛される存在

基本一目惚れでしか恋をしない私にとって彼を男性として見るなんて考えられなかった

同じホテルに泊まっても何も起きない自信がある弟みたいな存在

それがある日を切っ掛けに私の中で変わってしまった

彼を1人の男として大切に愛しく思う様になってしまった

その切っ掛けは彼の失恋だった

私は彼の恋をずっと応援していた

可愛い弟の様な彼が失恋した時は1番相談に乗っていた私が元気にしてあげたい、励ましてあげなきゃとなぜか義務感に燃えていた

しかし彼は思っていたより元気で私はホッとしていた

私は彼を元気にさせるために大阪の共通の友達の所へ遊びに行こうと誘った

現地では男女4人でそれは楽しい時間だった

夜カラオケでいつになく酔っ払った彼

それを見兼ねた友人女性が彼の頭をなでた

途端に泣き出して今まで言えなかった失恋した彼女への思いを話し始め止まらなくなった

いつもはそれ程自分の事を話さない彼がいつになく自分の事をずーっと話し続け泣き続けた

びっくりした

と、同時に私はなぜ彼を泣かせてあげなかったのか

大丈夫という彼に大丈夫じゃないよって抱き締めてあげなかったのか?

自分が情けなくなった

それは友情なのかなんなのか分からない気持ちで泣けてきた

ホテルまで連れて行き、まだ泣き続け話し続ける彼の横に添い寝して手を繋いで寝かし付けそっと部屋を出た

次の日、私たちは午前中はそれぞれの時間を過ごし、午後待ち合わせをしてランチをした

私はなぜか少し照れくさかった

だが彼は泣き始めた所から全部記憶がなかった

衝撃

そんなもんかと

彼に出来事を伝えたものの、さすがに照れくさくて添い寝しながら寝た事はちょっと言えず……

イタリアンでランチして、その日、先に東京へ帰る私のトランクをずっと持ってくれて帰りのリムジンバスまで着いて来てくれた彼

バスの時間までは老舗の怪しいコーヒーショップで過ごした

店主のおじいちゃんが独特で面白過ぎて私たちは笑った

一緒にいる時間があと少しである事をこの時私は自覚した

バスに乗る私を見送る彼

楽しかったねと私は彼に握手を求めた

また東京で会えるでしょ?と笑う彼

まあそうだけどね!ありがとう!

そう言ってバスに乗り関西空港までのバスの中

涙が出て来た

旅が楽し過ぎたから?

違う

彼を好きになってしまった

弟みたいに思ってた彼
いつも近くにいたのにこんなに素敵な人がいた事になんで今まで気付かなかったのか?と

いや、これは旅マジックだ

ゲレンデで恋して帰って会ったら夢から醒めるあれだ

1週間で治る流行病いみたいなもんかもしれない

私はしばらく冷静になろうと

好きになっても片思いだし

友情は大切だし

今更好きになるとか有り得ないし!!

もう一度言うが私は一目惚れしかした事がない

こんな事は私史上有り得ない

て言うか……

もう恋なんて面倒くさいもんはしたくない

そうだ

もう一度東京で会えばきっといつも通りで夢から醒めるはずだ

私は彼と2人でご飯の約束をした

お店を予約して私の職場の最寄り駅で待っててくれた彼

私はいつもなら気にせず仕事の黒Tシャツ黒ズボンのまま行くのになぜかワンピースに着替えてしまった

職場を出て電話してガードレールに寄りかかり笑ってこっちを見た時の彼を見た時

あ、これは本物だ♥

確信してしまった……

この日、正式に始まってしまった

私の片思い

いちお言っておくが私は子持ちの既婚者だ

愛に飢える自由過ぎる主婦の行く末

既婚者同士のアバンチュールなソレとか

いわゆるオトナの関係ならともかく

今更ってくらい思春期みたいな片思い

1番痛々しいやつかもしれない

もう恋なんてしない……

なんて言わないよ絶対

地でいってしまった

この恋の続きはまた……

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