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価値観の違いがもたらすもの

今週は映画を1本鑑賞したので、その感想のnoteとしたいと思います。

2020年公開のフィンランド映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』↓あらすじ等はこちらからどうぞ↓

この映画が最も伝えたかったことは、絵画(美術)の恐ろしさではないかと考えました。なぜなら、絵画を通して生まれた家族の問題や関係が印象的だったからです。家族が主題に感じる人もいるでしょうが、わたしは絵画(美術)の方が主題であると感じました。

映画の始まりから終わりまで、絵画(美術)がどれだけ力を持つものであるのかが表現されていたように感じます。

美術の世界に魅了された父とそれを理解できない娘。絵画によって生み出された2人の価値観の違いに胸を痛めました。

1枚の絵画欲しさに亡き妻のアクセサリーを売りに出したり、娘に借金をしようとしたり、孫に貯金を引き出させたり…。絵画に興味のない人からすれば、理解不能で酷い行動であるかもしれません。しかし、その絵画の価値がわかる者なら、全てを捨ててでも手に入れたいと思うのです。

結局、彼がそこまでして手に入れたかった・手に入れたモノは何なのでしょうか。この映画で描かれているのは、お金でも名声でもなく、「名作に携わることができた」というその事実のみです。つまり、彼の手元に残ったのは、「絵画」だけ。彼の幸せとは?

最期まで美術商という自身の職業に誇りを持ち、家族との関係が悪化しようとも美術商で在り続けた彼の姿からは、勇気と共に今一度自分の大切にしているモノ・コト(価値観)について考えるきっかけを与えてもらいました。

彼の孫もまた、絵画に魅了され、彼と同じ道を辿るのでしょうか。

絵画(美術)の価値を知る者とそうでない者の価値観の違いが鮮明に描かれた映画でした。



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