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短歌と写真

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短歌だけのもここに。
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2014年12月の記事一覧

確信を持たないままに身を任すその快楽を恋というのか #写真 #短歌

少しくらい酔ってるほうが可愛いといって真夜中のでんわゆるして #写真 #短歌

おんな

女でしょ?何言ってるのみんなみんな生理のせいにしちゃいなさいよ

限定のワインレッドは売り切れて色づく許可を得られぬ睫毛

中野ゆき六号車の端で小さなあなたが代わりに泣いてくれてる

「おかえり」は言われたいより言いたいとパックのすき間に流し込むビール

ファウルボールが消えちゃうくらい晴れた日にあなたと朝ごはんが食べたい
#短歌

クリスマス

「二十四、二十三、二十五の順に本命ですよ」と後輩の言う

マルコフニコフ則:プレゼントで迷ったらより派手な方を選ぶ法則

星屑が落ちるときにはキャロラインキャロラインって聞こえるらしい

十二月二十五日はクリスマスだけどあなたの誕生日はいつ

「クリスマス仕様のものはことごとく富士の樹海に埋めたいです」

らしいことなんにもできないからせめてポインセチアの色したマフラー

青いシカたちの電気代思う

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グレーしか着ないあなたに専属のスタイリスト くま・ジョセフィーヌ(9) #写真 #短歌

このひとを見つける前の左手が何していたかとうに忘れた #写真 #短歌

夏が来たらあなたとみどりの梯子を渡る ピアスはなるべく揺れるのがいい #写真 #短歌

ずっとずっとずっとずっとずっと前に好きだった声が知らないことばをはなす #写真 #短歌

友の子

好物のぬれ煎餅を買ってゆく 彼女の産んだ子に会いにゆく

抱き慣れぬ赤子を抱いて呼び慣れぬ名前を呼べばいのちがわらう

友の子を抱く写真の可笑しさよ いつから私は女であったか

乳腺の開通について聞くことのリアルが私を女にしてゆく

未来のはなし未来のはなしをしよう いま きみが蹴飛ばしたせかいの未来
#短歌

ある恋

ピンセットでつまんだような頭してあの論文は読んだかと問う

味噌汁に卵落として振り返る 私はあなたの母にはなれねど

口下手なあなたがもっと口下手な私の話にうんと頷く

陽の下でこんなにうつくしいものに抱かれていたのか夜の私は

坂道で置いて行かれる朝のこと筋の量では片づけられず

もう一度恋したかった空なんか見たことないって顔したあなたに
#短歌

曇天に柱いっぽんプラタナスおまえもなつのゆめをみるのか #写真 #短歌 #モノクロ

短編集一冊分の親不孝「もうすぐ選挙だから帰るね」 #写真 #短歌

二十余年見つけられずにいたことを赦したように青がまどろむ #写真 #短歌

母という女が泣いた日のことを思い出しては戻りたくなる #写真 #短歌 #モノクロ