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同じUA値なのに、断熱材の「断熱性能」を比較するのは「意味ないよ」って伝えたい

こんにちは!

先日、こんなお客様がいました。

・今、A社(こちらは私)とB社で見積もりをとって比較している
・A社とB社は両方ともG2仕様(UA値は同じ)だが、使っている断熱材はA社はグラスウールの16Kで、B社は24K

2社とも見積金額は大きくは変わらず、断熱等級も同じG2ということで悩んでいるようでした。

その時、お客様が
「B社の方が、密度の高いグラスウール24Kを使っているから断熱性能は良いんですよね?」

うんうん、確かにそう思う気持ちはわかります。

しかし、今回のような場合に断熱材の断熱性能を比較することは全く意味がありません。

これは、UA値についての正しい理解ができていれば、わかる内容ですので解説していきます。

UA値の基本的な考え方を説明していきます。

まず、建物の外気に接している部分のことを外皮といいます。
外皮には例えば、外壁や窓、玄関ドア、屋根 などが含まれます。

これらの外皮は建物の内と外を分けており、この外皮を通して夏は外の熱が建物の中に入ってきたり、冬は部屋の熱が外に抜けていったりしています。

つまり外皮を通して熱が移動しているんですね。

そして、この熱の移動を少なくして、外の温度に中の温度が影響されにくくなるようにする性能を断熱性能といいます。
この断熱性能を数値化したものが、UA値(外皮平均熱貫流率)と言います。

熱貫流率とは、中と外の熱の移動のしやすさを表す数値です。
熱貫流率が大きい窓だと、外の暑さが窓を通してガンガン入ってきたり、冬はそこから熱が大量に逃げていきます。

断熱性能の高い住宅は、魔法びんのようなイメージになります。
よく断熱性能が高いと、家が熱を発するみたいに考えている人もいますけど、それは全く違います。

断熱性能が高い住宅というのは、例えば、真夏日に外がめちゃくちゃに暑くても、家の中はそこまで暑くならなかったり、真冬に外で雪が降っていても、室内の温度は下がりにくいという感じです。

ちなみに、魔法びんなので、断熱ラインに隙間があってはいけません。
屋根(天井)、外壁、窓、床(基礎)のラインが一筆書きで丸ごと断熱できる状態にするので、例えば外壁の断熱性能だけがやたらと高くても、窓や屋根の断熱性能が同じように高くなければそこから熱が逃げて(移動して)しまうということですね。

断熱性能のイメージができたところで、UA値(外皮平均熱貫流率)の考え方に入っていきます。

外皮平均熱貫流率という言葉を分解すると、

「外皮」 +「 平均熱貫流率」 となり、

「外皮ごとの熱貫流率の平均」という意味になります。

外皮というのは、先程説明したとおり、屋根・外壁・窓などがあり、
外皮ごとに熱貫流率が決まっているわけです。

・窓の熱貫流率
・外壁の熱貫流率
・屋根(天井)の熱貫流率
・床(基礎)の熱貫流率

それらの熱貫流率の平均をとったものが、外皮平均熱貫流率=UA値というわけです。

ちなみに、断熱材が熱貫流率に影響してくるのは、外壁、屋根(天井)、床(基礎)なわけですが、熱貫流率は断熱材の性能と厚みで変わります

断熱材の性能は、熱伝導率(素材としての熱の伝えやすさ)という数値で表され、例えば、断熱材ごとに比較するとこんな感じです

・高性能グラスウール16K  0.038W/m・K
・高性能グラスウール24K  0.036W/m・K
・押出法ポリスチレンフォーム 0.028W/m・k
・セルロースファイバー 0.04W/m・K

こんな感じで性能が違います。

ただ、大事なのはこれらをどのぐらいの厚みで使うかです。
上記の中でもっとも性能が高いのは押出法ポリスチレンフォームですが、これを5cm使用した場合の熱貫流率は

0.028W/m・k ÷ 0.05m = 0.56W/㎡・Kとなります。
※正確な計算式はもう少し複雑です。

続いて、高性能グラスウール16Kを10cm使用した場合、
0.038W/m・K ÷ 0.1 = 0.38W/㎡・K となり、

高性能グラスウール16Kを10cm使った場合のほうが性能が高くなります。

ちなみに上記の2つだったら高性能グラスウール16Kを10cm入れた場合のほうが、価格も安くなりますので高性能グラスウールのほうがコスパは断然良いです。

このあたりの理解がきちんとできていると、ハウスメーカーの営業マンが断熱材の性能アピールをしてきたときに、「この人断熱性能についてあんまり良く知らないんだな」と、心の中でほくそ笑むことができます。

つまり本題にもどると、異なる性能の断熱材を用いているのに外皮平均熱貫流率が同じということは、断熱材を使用している厚みが違うということなのです。

だからこそ、UA値が同じなのであれば断熱材の性能を比較する意味は全くなく、むしろ見るべきは同じUA値を出すために断熱材にどのくらいの費用を使っているかのコスパを確認すべきなのです。

以上、断熱材の性能を比較するのは全く意味ないよ!という話でした!

ここまで読んでくれてありがとうございます。

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