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ハリーポッターが死体役。映画「スイス・アーミー・マン」

主役はあのハリーポッターを演じたダニエルラドクリフと、リトル・ミス・サンシャインで印象的なお兄ちゃんを演じ、ルビースパークスでは思春期をずっとひきずったままのかつての天才小説家役を好演したポール・ダノ。

とくにポール・ダノは家族や男らしさにずっと取り組んでいる俳優だと思う。僕は彼の出演作がもれなく好きだ。そんな彼の最新作を調べてるうちにぶっとんだ本作を発見。住んでいる場所が田舎ゆえに、amazon prime videoをつかって鑑賞してみた。
死体なのに、言葉を発することのできるメニー(ダニエル・ラドクリフ)と、何らかの事故で一人無人島に取り残され、生きる希望を失ったハンク(ポール・ダノ)。今まさにハンクが首を吊ろうと海を眺めた時、にわかに打ち上げられた死体を視野におさめる驚愕の出会いから、物語は始まる。

 

「死のうとするのに、走馬灯が現れない」絶望する男ハンクと腐敗ガスによって海を渡たれたり、貯水機能まで持っていることからスイスアーミー(万能ツール)マンと呼ばれるメニー。

そのめちゃくちゃな設定から展開する怒涛の冒険譚はしかし、モテない男と思春期のような男が「女性と近づきたい」という願望を実現しようとするロールプレイングを媒介項にしながら、実は男性たち自身が傷を舐め合うのとは異なる次元において、ケアをし合い、自由に自らを解放する生き方に目覚めていくことがテーマだ。

蠱惑的な設定を凝らしながら訴える真実は、男性のみならず女性にも訴えるものがあるだろう。。メインテーマにふんだんに添えられた下ネタに忌避感がなければ、の話であるが。

ハックは人生の無意味さや故郷に帰りたいという気持ちが、実は自明なことではないことに、無垢で純真なおしゃべり死体のメニーの問いかけによって少しずつ気づいていく。

「どうして自由を奪われるのに故郷に帰る?」

 そんなことを問われて思わず、ここが故郷かもと答えてしまうハック。意味のある人生とは何か。家族や女の人のこと、そして自慰やセックスを無垢な死体と心を通わせながらしみじみと理解する。しかし、そんな世界の深淵にたどり着こうとする時に、現実世界に戻るチャンスがやってくる。ハックはどうするか。

大切な人と、あるいは未来の大切な人を思いながら屁をこいて観よう。メニーはこう言うから。

僕もそうすれば君は変じゃなくなる。

劇中に流れる「コットンアイジョー」という民謡がやさしい。
#ダニエルラドクリフ #ポールダノ #洋画 #スイスアーミマン #映画

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