科学者が警鐘、カナディアンロッキーの氷河が前例のないスピードで溶けている。

カナディアン・ロッキーの象徴である氷河には、かつてないほどの暑さの夏の影響が続いているようです。研究者によると、氷河はこれまでにない速さで溶けているとか。ジョン・ポメロイ博士は、「1年前、2年前はもちろん、10年、20年前と比べても、ほとんど見分けがつかないほどに氷河の形が変わっているのを見るのは恐ろしいことです」と語る。

ポメロイ博士がバンフ国立公園のペイト氷河に初めて足を踏み入れたのは2008年のこと。彼は、この有名な氷河をより深く理解するためにやってきたようで、1900年代初頭、氷河は現在よりも3.5キロ先の谷間に広がっており、ターコイズブルーの水をたたえたペイトー湖の近くに位置していたようです。

「7月上旬と6月下旬の猛暑の中、1週間に、夏季で溶けだす氷の2/3のが溶けていました。」サスカチュワン大学の教授でもあるポメロイ博士は、「このペースでいくと、今年はこの氷河から7メートルの氷が失われる可能性があり、これまでに記録された中で最大の融解量となる」と語りました。

ポメロイ博士は、「昨年1年間で水平方向に200メートル後退しており、過去半世紀の後退の10倍の速さです」と述べ、「唖然とし、ぞっとしています」と付け加えました。

過去10年間に形成された氷河の先端には、現在、成長中の湖があります。氷河は多くの場所で崩壊しており、スス、バクテリア、ホコリなどが混じったクリオコナイトでまだら模様になっています。蜘蛛の巣のように張り巡らされた小さな解け水の流れが、その氷から流れ出ています。

ポメロイ博士によれば、今シーズンの記録的なヒートドームと山火事が、氷河の融解を加速させているそうです。

「山火事の煤の多くが氷河に降りかかり、氷河を黒くしています...それが蓄積されている場所では、そうでない場所よりも早く氷が溶けています。」

ペイト氷河は、ノース・サスカチュワン川の源流に位置しています。この氷河の積雪と氷の融解によって、プレーリー地方の河川の流量が維持されています。

ポメロイ博士によると、氷河による融解がない河川では、これまでに記録された中で最も低い流量が発生していて、一方、氷河を水源とする河川では、今夏の流量は平年並みかそれ以上であったようです。

氷河が無くなることは、ロッキーを発端とする河川の水位にも影響があり、平原地帯の農業などにも大きな影響を与えることが感がられるようです。

山火事ばかりがニュースになっていますが、熱波や山火事によって、カナディアンロッキーの貴重な氷河が、歴史的なスピードで溶けているという事実。カナディアンロッキーの綺麗な湖は、あの氷河の解け水があってのもの。綺麗な湖を見れなくなる日はそう遠くないのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?