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パリの格安ホテル事情

私はヨーロッパを旅行するときには、できるだけ安い予算で過ごす工夫をしています。安い予算というよりは、ケチケチ旅行といったほうが似合っているかもしれません。というのも初めての海外旅行で徹底的に節約しなければならない状況だったからです。この経験がその後の旅のスタイルを決定したと言っていいのかもしれません。
  私が初めてしたケチケチ旅行一人旅は、フランスでした。パリのシャルルドゴール空港に到着した私はタラップの外に雪がちらついているのに驚きました。九州では3月といえば桜が咲く季節です。雪とはあまり縁がない南国育ちの私は、しみじみ「遥か彼方まで来たのだなぁー」と少し心細くなりました。今回の渡欧は、テレビ東京の「なんでも鑑定団」に出演されていた岩崎宏昌さんが主宰する「世界ケチケチ旅行研究会」のツアーに同行して、格安のチケットでヨーロッパまで飛ぶ片道旅程の旅です。
 パリ郊外のシャルルドゴール空港に到着し、生まれて初めて入国審査を受け、RERでパリ北駅まで移動し、メトロを乗り継ぎ、ムーランルージュ(サンラザール駅)近くのREXホテルという、当時の岩崎さんの常宿に宿泊しました。そのツアーには20名ほどの人が参加していて、海外を旅行する際の基本的な注意点をアドバイスしてもらい、3日間の研修で旅の中で遭遇する危険を回避する旅塾現地セミナーを受けます。
 初めての外国ですから、戸惑いながらも見るもの聞くものすべてが新鮮です。駅からホテルまでの道すがらも、周りの景色に気を取られて、つい足元に気をつけていなかったため、犬の糞を踏んでしまいました。すると後ろを歩いていた岩崎さんが「フランスの諺に、犬の糞を踏むと良いことが起こると言われていますよ。」とフォローしてくれましたが、気分はかなり落ち込みました。意外なことに国際都市と言われながらも、パリの道にはアチコチ犬の落し物があり、これじゃ、運が良くても悪くても、きっとふんづけるなと思いました。
パン屋さんのショーウィンドウに窓を拭くマネキンが飾っているのを見て、かなりリアルなマネキンだなと感心して、よく見ると本物の人間でびっくりしたりもしました。とてもきれいな女性で「マネキンのモデルって、きっとこんな人なんだろうな。」と感心したものです。それはさて置き、世界に冠たる国際観光都市のパリには、多くのホテルがあります。パリと言わずヨーロッパのホテルにも言えることですが、エントランスの門構えから設備にしてもピンからキリまであります。日本の場合、ほとんどがビジネスホテルのようなシステムで、ある程度の清潔さと近代的な設備が大多数ですが、パリにはきれいでこじんまりした貧乏旅行人お勧めの1000円代の星なしホテルから、一泊数十万の5つ星の高級ホテル(フランス国内では4プラス))までランク付けされています。ランク付けの根拠は、部屋にトイレが付いているか、風呂があるか、それともシャワーか、お湯と水が出るか、エレベーターが付いているか部屋数がどのくらいあるかなど様々な条件で区分されています。ランク付けは、法律によって定められていて、その基準に達しなければ、星なしのホテルということになります。お金が少ない旅行者にとっては、星なしホテルはありがたい存在ですが、麻薬の取引や外国からの違法入国者のたまり場となっているホテルもあり、旅行の初心者にはあまりおすすめできないかもしれません。とは言えホテルを贅沢に選べる状況でもなかった私は、30フランスフランほどのホテルに宿泊したのが常です。私が旅行していた1979年当時は、通貨はユーロではなく、フランスフランでした。為替レートは、1フランスフラン≒40円くらいでしたから、日本円に換算すると1200円程度の安宿ということになります。予算に似合ったホテルが選べるという点では、旅行者にとって助かるシステムです。
![安ホテルと螺旋階段はお約束]
同じホテルでも安い部屋は螺旋階段をひたすら登った先にある。
※フランス:パリ

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