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実在の地形をMinecraftで再現01 ー作業の流れー

あけましておめでとうございます。今年も地道に書いていきます。

今回は世界的に人気のゲームMinecraftにまつわる話です。
Minecraftの説明は割愛しますが、シンプルな正方形のブロックだけで形成されている世界で、これと言ってミッションやイベントがあるわけでもないのに、やってみると没入感がある不思議なゲームです。

Minecraftのプレイする世界は、「ワールド」と呼ばれ、基本、自動で形成される架空の世界ですが、現実世界を模倣したものも作成可能です。


ダウンロードするだけで使えるワールド配布サイト

その作成方法を説明する前に、既に作成されていて、ダウンロードするだけで使えるワールドを紹介します。
GIS技術を紹介しているnoteなのでまずはこちらから。
公式コンテンツではないとは言え、産総研の方の作成されているもので、土地被覆を引用している辺りなどさすがです。バージョンもMinecraft(Java版)1.12.2用なので今でも違和感なく使えます。


それ以外だと、「はるとりみなと」さんのMinecraft ワールドマップ 『Nippon』(1/50 スケール日本列島)が有名です。

全国を対象とした大規模なものではなく、より詳細な市街地レベルのワールドもいくつかあって、例えば札幌市などでは、国交省の3D都市モデルであるPLATEAUをつかったワールドを配布しています。

建築系で言えば、お城を再現したプロジェクトもあります。
検索するとたくさん出てきます。Minecraftは、その当初から創作活動の題材として人気だったせいか、バージョン的に古いものも多いので、JAVA版・統合版やバージョンの新旧などに注意してダウンロードしてみてください。

またサーバーのサービスですがBuild The Earthなどの地球完全再現プロジェクトも合ったりします。すごいですね。

ワールドを自分で作る理由

以上はダウンロードして使うものだったり、サーバーに入って使うものだったりしますが、自分で作ってみたくなることがあります。
例えば、自分の住む町で使いたいと思った場合、世界どころか、日本というスケールですら、データの比高が大きすぎ、地形の形状がなめらかになりすぎてしまうのです。
御存知の通り、Minecraftには高さの制限があり、地上地下が+64ブロック拡張された1.18以降在でも、-64から+320までと384ブロックしかありません。
この範囲を目いっぱい使っても、日本全部を対象にし、富士山の高さ(3776m)にあわせると、10mで1ブロックの高さを表現することになります(0m以下の場所はある程度無視するとして)。
富士山近郊のエリア(例えば静岡県)ならそうかもしれませんが、富士山のない町でその制限(10mで1ブロックの高さ)を使うのはもったいないと思います。
富嶽三十六景ばりに遠景として富士山が必要だという場合は別ですが。

ワールドを自分で作る

そこでせっかく使えるDEMがあるんだし、GISも使えるのだから、自分の興味のある地域だけで、ワールドを作ってみようというのが、ここで紹介する目的です。全部書くと長くなるので今回は概要だけを示します。

準備するデータとソフト

  • ワールドにしたい範囲の地域を含むDEMデータ

  • 標高データをハンドリングするためのGISソフト

  • WorldPainter(Minecraftのワールドを編集できるソフト)

GISソフトがなくてもできるのですが、GISを使える人にはあったほうが便利です。ソフトは使い慣れているものなら、なんでもいいのですが、ArcGISProとQGISとで説明する予定です。
DEMデータは日本国内であれば、国土地理院の基本地図情報数値標高モデルを使うのが一番いいと思います。ただここでは我々コンサベーションGISコンソーシアムジャパンが加工編集した公開したもの「標高緯度経度データ」を使います。
世界のデータということであれば、SRTMデータ、AW3D30データなども使うことができます。

その他DEMの範囲を細かく決めるのは、手動でいいのでですが、行政界のデータなどがあると便利です。これも我々コンサベーションGISコンソーシアムジャパンが加工編集した公開したもの「行政界2021データ」を使います。

ワールド作成手順の概要

加工の手順は基本的には次のような手順になります。

  1. DEMを必要範囲で切り出す。複数範囲にDEMがまたがるならモザイク。

  2. DEMの投影法を緯度経度なら投影座標に変換する(しなくても良い)。

  3. データ型が浮動小数点ならば、符号なし整数値にする。

  4. データをWorldPainterで扱える形式にexportする。GEOTIFFでよい。

  5. WorldPainterにそのファイルを取り込む。必要ならば地表の装飾(樹木や水系など)を加える。

  6. WorldPainterでworldデータをexportする

  7. Minecraftで開いて確認する

この手順ですこしだけ地表の装飾を適当に(必ずしもリアルではないです)整えてみたのが以下です。
水平方向は10mを1ブロックとしましたが、高さ方向は制限目一杯で広げたので、水平方向の距離に対して鉛直方向はおよそ2倍(1ブロックが20mくらいの高さになっている)になっています。逆に強調されて面白くなっています。
また、樹木を増やしすぎると地形がわからないので抑えてます。
建築物はありません(すみません)。
なお1枚目は東京近郊のとある湖を眺めているものです。

DEMを取り込んで作ったWORLDの例1
DEMを取り込んで作ったWORLDの例2

まとめ

今回はMinecraftで使えるような、実際のDEMを使って作成されたWORLDの例をいくつか紹介し、また簡単にですが自作のための方法の導入を説明しました。

今後の予定としては、実際の作成例を紹介しようと思います。
最終的に見栄えをよくするには樹木を生やしたり、道路網を整備したり、建築物を増やしたりが必要ですが、それは、もはやクラフトの世界なのでここでは省略します。

最後に

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

普段は北海道に本拠地を置くNPOに所属し、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。
コンサベーションGISコンソーシアムジャパン の活動もその1つです。
この分野の仕事や活動でなにかお困りのある方、ご相談ごとのある方など、是非コメントをお寄せいいただくか、上記WEBサイト掲載のメールアドレスまでメールをお寄せください。

コンサベーションGISコンソーシアムジャパンの活動及びこのnoteでの活動はボランティアで行っているのですが、何分資金が不足しています。
もしサポートしてもいいなという方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。

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