認知症のハナさんの家が大好きな理由
蝉が子孫を残す使命のもと大合唱していた夏の日。
地中の熱地獄にやられたミミズが、アスファルトの上で沢山干からびていた。
その日は、ハナさんの訪問の日だった。
ハナさんは、認知症だった。
毎週、伺っていたけど、私の名前は、知らない。
火曜日に訪問があるということは、大体覚えていてくれた。
品よく長めのスカートを着こなし、「いらっしゃい」と笑顔で迎え入れてくれた。
この笑顔だけでいつも充分だと思った。
ハナさんのお庭は、私のお気に入り。
毎週、このお庭を見るのが楽しみでもあっ