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1/700巨大ばら積み船建造記

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これまで1/150スケールで内航船を作ってきましたが、たまには趣向を変えて外航船でも作ってみたいな~と思うようになりました。

外航船とはその名の通り、日本と外国の間で貨物を輸送する船です。
今回は、大豆やトウモロコシなどの穀物をばら積みして輸送する全長約229mのばら積み船をモデルにしました。

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ちなみに、この大きさの船はパナマ運河を通れるギリギリのサイズとして設計されることからパナマックスサイズと呼ばれ、日本の国内法(特定海域の航法を定めた「海上交通安全法」)では全長200m以上の巨大船と定義されるようです。

巨大船パナマックス。

語感がもうカッコいい。決めた。わたし作る!

しかし、全長225mの船をいつも通り1/150スケールで作ると全長1.5mになってしまい、独身向け賃貸アパートが破滅するので艦船模型のスタンダード、1/700スケールでの建造です。

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早速材料を調達しました。初めての1/700フルスクラッチなので、充実した汎用パーツを使用してサクサク進める方針といたしました。幸い、海外の船社ホームページで図面がちょこっと載っていたので、参考にさせてもらいました。

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船体は曲面部分はバルサ材削り出し、まっすぐな部分はプラ板、とハイブリット工法です。完全に目分量で削りました。

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船体がある程度できたら、貨物を積み込むためのハッチを作っていきます。今回は一部だけハッチをオープンにした状態を表現することにしました。

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ハッチの枠(ハッチコーミング)にひたすら三角板(一片が2㎜くらい)を貼りつけていきます。このあたりの記憶はありません。

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いつものように波よけ(ブルワーク)にも補強を入れていきます。ここは綺麗に整えるのが難しい工程ですが、キマればここすきポイントです。

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ハッチは両舷に伸びるレールの上をいないいないばあのようにスライドするサイドローリングタイプです。レールが細すぎてポキポキ折れるので、泣きました。

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船体を進めつつ、船橋(ブリッジ)を作ります。この段階でモデルにした船や造船所を言い当てる方がいらっしゃって、本職の方はすごいなあと思うと同時に、伝わるくらい形が再現できているんだな、と嬉しくなりました。

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国際条約で外航船に設置が義務づけられている救命ボートも抜かりなく作ります。今回はボートダビットとよばれる設備からワイヤーで海面に降下するグラビティ式救命ボートにしました。(一方、滑り台のようなフレームから海面に滑り落とすフリーフォール式というタイプもあります。)

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救命ボートや係留用のウインチなどの細かい装備品をこつこつと作っていきます。例によってこのへんで心が折れそうになったので、かなりディティールは省略しています。

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ある程度部品がそろってきたので仮置きしてみました。この段階でそこそこしっかりした船に見えてきたのでめちゃくちゃ嬉しかったです。

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同スケールの海上自衛隊の護衛艦のプラモデルと並べてみました。1/700スケールはコンパクトでいいな、と思っていましたが護衛艦と比べるとやっぱり大きくてさすが巨大船パナマックスです。

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部品が整ったらいよいよ塗装です。夏のボーナスでずっと欲しかった自撮り工事看板棒を買ったので、嬉しくて使ってみました。

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天気がいい日にガンガン塗装を進めていきます。自撮り工事看板棒があると後で写真を見たときにいつ・何を・どのようにやったのかが分かってめちゃくちゃ便利です。

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ブリッジ部分をマスキングして白を塗装して、窓に黒いシールを切りだしたものを貼って煙突にファンネルマークを貼りました。今回もガルパンデカールを使いました。あんこうは『安航』に通じ、縁起がよいとされています(?)。

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積荷の穀物も、鉄道模型用の情景パウダーで表現しています。今回一番やってみたかったことで、サラサラとパウダーを船倉に流し込んでいるとウヒウヒと笑ってしまいました。

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そんなこんなで、完成しました!
今回は1ヶ月ちょっとと個人的にかなりハイペースで完成することができました。

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しかし、これほど大きい船になると、自力での港内での着離岸は困難です。

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そこで、冒頭の写真にもちらっと写り込んでいたタグボートの出番です。
モデリウムから海上自衛隊のタグボートのかなり良いプラモデルが発売されていますので、これをベースに民間のタグボートを作ってみることにしました。

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適当にプラ板でマストや構造物を加工したり既存パーツの配置をアレンジしたりして、細部の塗装を変えてバリエーションを作りました。

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カワイイ!!!!! のにかっこいい!!!!!

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タグボートが完成したので、入港から着岸までの進路警戒(エスコート)業務や、着岸作業が再現できるようになりました。船長や水先人とタグボートの息の合った着離岸は芸術的です。

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今回も勢いで作り始めた模型でしたが、1/700でも分かる船の大きさに物流のダイナミズムを感じました。
ミサイルも撃てなければスピードも出ないこのような船ですが、黙々と今も世界中の海を走ってどこかの港で荷役をしています。軍用艦がメインのプラモデル市場ですが、このような船にも目が向けられる日を願ってやみません。


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余談ですが、ダイソーで適当に買ったディスプレイケース(幅34cm)に全長33cmの模型がギリギリ収まりビックリしました。担当者が「1/700スケールの225m級パナマックス船が収まるサイズにしよう」と企画したとしか思えない奇跡にこのディスプレイケースを個人的に「パナマックス対応ケース」と呼ぶことにしました。


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