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【シン・二ホン】林業・木材業の可能性をシン・二ホンから探る1-1

1か月前になるが、安宅和人氏がNEWSPICKSから出版されたシン・二ホンを林業・木材産業に置き換えたらこうなるのではないかという考察を始めるといったまま時が過ぎてしまった。ようやく書いていこうと思う。内容の要約は別の方がやっているだろうし、私にできるのは林業・木材業の可能性を探ることだと思う。

第1章 データ×AIが人類を再び解き放つ

本章の始まりは2016年3月に起きた碁の戦いから始まる。AI(Alphago)vs天才棋士(イ・セドル、韓国人)の5戦勝負で、結果は4勝1敗という人類がAIに敗北したことを示したことになった。

これはAIの経験した局面が、人類の約3000倍という途方もない経験数の違いによるものだった。いわゆるビックデータの活用ということだが、すでにAIができることとして本書では識別、予測、実行のものが高精度で行えるということだった。

本章ではデータ×AIが人類を再び解き放つという。具体的には経営戦略、マーケティングなどホワイトカラー、知的生産の質が膨大なデータとそれを解析する道具(AI)によって指数関数的に成長し、意思決定が高度化していくことだった。またそれに付随した事務作業も自動化され、よりクリエイティブになっていくことだった。この辺は先日の記事があてはまりそうだ。

ではこのことを林業・木材業にあてはめてみるとどうなのか?

林業のデータ化を阻む要因は2種類ある

まず、議論をふたつに分けなければいけない。そもそも林業は人力から解放されていないということ、そしてデータをとるのが難しいということだ。

製造業の多くは、知的生産(今回テレワークが可能になった職種と考えてもよさそうだが、若干異なりそうだ)が主となり、製造部分は機械化が進み無人化している。ここでいう林業は丸太を生産する産業ということにする。しかし、林業はそのマーケットの小ささ故か資本がなかなか投資されず、無人化が進んでいない。いまでも植林は人力が主体だし、伐採部分はチェーンソーもしくは、ハーベスターによる伐採で、いずれにしても人の力が必要である。

苗木運搬の無人化は上道キカイと中川のタッグに注目

無人化が一部可能となっているのは、苗木運搬部分、下刈りなど造林部分、測量部分だと思われる。それぞれ事例を並べると、苗木運搬部分は大型ドローンの開発をおこなった住友林業、上道キカイなどになる。どちらも10kgを超える苗木を運搬可能になる。上道キカイは和歌山県田辺市の㈱中川とドローンを共同開発している。また、㈱中川の取り組みはユニークで面白い、具体的な内容は4月号の木材情報で林材ライターの赤堀氏が取材し、執筆している。

自拵えの無人化は筑水キャニコム

自拵えの事例は、筑水キャニコムの「山もっとジョージ」、下刈り、地拵えを機械化することが可能となっている。詳細は林政ニュース605号の遠藤先生のルポコーナーにあるため、そちらを読んでほしいが、簡単にいえばクローラタイプの乗車式機械で、前方部分にアタッチメントが装着されており、下刈り伐根処理ができるものとなっている。

測量部分はかなり多くある

測量部分の無人化がもっとも進んでいるのではないか、大手でいえば航測3社といわれるアジア航測、国際航業、pasco、一般社団では日本森林協会、最近聞いた話だと林野庁も独自に開発しているらしい。

他にもドローンの計測などで無人化しているケースはよく聞く。他の育林過程でいうと無人の枝打ち機械があったりする。ただ、これはなかなか普及していないと聞く。

こう列挙してみると意外とあるように見えるが、肝心の植林部分、伐採部分は無人化、自動化ができていない。

林業イノベーションの可能性、SFA

そういえば昨年から始まったSFA(SUSTAINABLE FOREST ACTION)は、林業とIT産業がコラボレーションすることでイノベーションを起こそうとしている。確か実証実験が岡山県西粟倉村の百森主体で進んでいるのはなかったか。

つまり林業の無人化部分というのは、まだ成功事例がなかったりする。もしあったら教えてほしい。解決できれば工業製品をつくるのに死亡事故がなくなり、良いのではないかと思う。なお、林業が山村の重要な雇用機会というのは、以前書いた記事で別の可能性を示している。詳しくは今書き進めているが、この記事だけでもきっかけになるはずだ。

データ化の種類はいくつかありそうだ

次にデータ化が難しいというのは、上述のとおり無人化、機械化進んでおらず、データ取集するチャンネルが乏しいことと、結果が出るまで非常に長期的な時間がかかるため(これは私が別の記事でもよく書いているが、林業生産の長期性という特徴によるものである)。

苗木から丸太になるまでのデータをしっかりとろうすれば、60年以上かかるだろうが、樹木の成長データは貴重なものだから、積極的収集し次回の造林時に役立ててほしいものである。

丸太の画像識別はLog-co

すこし切り口をシン・二ホンに寄せる。本文の最初の方法に紹介しているように、AIができるもので、識別というものがある、代表的なものは画像判別だ。

今日の最後に丸太の画像識別を行っている事例を紹介して終わりにする。北海道の会社でLPWAを活用し、林内の見える化をおこなっている㈱ブレイクスルーが展開するLog-coだ。丸太の写真をスマフォで撮影することで、本数を自動で検出するものになる。他の事例もあるが、この企業はLPWAを活用したサービスを展開しているため、林内のどこでもデータのやり取りが可能な点が良いと考えている。


今回シン・二ホンを読み私が考えたことを書いていったがいかがだろうか。林業のどの工程が機械化可能で、データ化可能なのかを考えてみたが、結論としてはまだデータ化が可能な部分は大いにあると思える。先日の若手座談会で岐阜の方が、「林業は大きな穴が空いているなか水を流し込んでいる。その穴を塞ぐ努力をしていく」といった。私はこの記事を書きながら、可能性を探っていきたい。

本日も読んでくださりありがとうございました。

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