【起業ハウツー】一戸建て賃貸のススメ(その5)
一戸建て賃貸を5項目に細分化し、項目ごとにお伝えします。
成功の秘訣も記してみました。
一戸建て賃貸の定義
一戸建て賃貸について、私の定義は5項目あります。
①相続物件を購入し、
②建物の3要素である躯体・電気・設備を点検のうえ、
③新規居住者が気になるであろう箇所を、
④補修または交換する自前施工を行い、
⑤空き家を一戸建て賃貸とする。
本稿では③新規居住者が気になるであろう箇所について記します。
成功の秘訣
いざ相続物件を購入しても、何も手を加えずに、そのまま状態で賃貸を募集した場合、新規賃貸借いわゆるリーシングが困難です。
なぜなら、売買直前まで物件に人が住んでいたとしても、その人が慣れていたり我慢していた部分がたくさん残っているためです。
そこで購入物件を、世帯の方がお金を払ってまで転居したいと思っていただける水準へ引き上げることが、リーシングを確実にし、一戸建てを賃貸ビジネスとして成功させる秘訣となります。
借地借家法の精神
長らく不動産賃貸業は「貸主優位」な慣習に捉われていました。
そのために不利益を被る借主が数多いたことから、借地借家法という「借主保護」の法律が整備された経緯があるのです。
私は、自分と家族が借家で辛酸を舐めた経験から、借主が賃貸物件のありように敏感になる気持ちがよくわかります。
かかる貸主優位の残党が、リーシングに至らない不動産賃貸業の経営者ではないかとも思っています。
貸主から借主へ歩み寄る
ほとんどの賃貸物件には「貸主の都合」と「借主の事情」とのミスマッチが存在します。
供給側である貸主がミスマッチを放置したままなので、内覧という機会損失を生じ、リーシングを難しくしていることに気がついていないケースが大半なのが、現実です。
需要側のガッカリ感は、借主の声にならない叫びでしょう。
そのような賃貸不動産業界において、貸主から借主へ歩み寄るオーナーであれば、他の賃貸業者との競争において圧倒的有利をもたらすのではないでしょうか。
私は、賃貸借契約に至るとき、1物件は1世帯のマッチングだけで成立することを意識しています。
自分の物件の内覧回数を増やすことで、その分マッチングが早期に期待できるほか、相対的に、他者の物件の内覧回数が減ることになります。
これが有利の醍醐味といえるでしょう。
リメンド(reMend)を提唱します
では、どのように貸主から借主へ歩み寄り、ひいては内覧回数を増やせるのでしょうか。
世にリフォームという言葉がありますが、それは自分で住むとき拘りを持って改修するという消費行為に留まります。
これに対し、私はリメンド(reMend)という言葉で、世帯で住むとき気に入ってもらえる位の修理するという投資行為を提唱しています。
その違いは幾つかありますが、とりわけリメンド(reMend)には、事業者が行う修理なので、客観性があることが挙げられるでしょう。
ここでいう客観性とは「世帯の方がこういうのでいいんだよと感じてもらえる線引き」のことです。
世帯の方は、なにも新築に住もうとしているわけではないので、家賃と比べての割安感や清潔感があればサクっと納得するし、逆に、内覧して我慢できない箇所が見つかればスルーします。
したがって、借主の目線で我慢できない箇所を削っていけば、賃貸物件の水準を自然に引き上げ、インセンティブが強まり、内覧希望者が拡がるという方法論を、私は実践しています。
客観性は賃貸物件に共通する
客観性について掘り下げると、「ないと嫌だ項目」と「あったら嫌だ項目」とが拮抗していると考えられます。
家賃が高いと「ないと嫌だ項目」が増えるものの、私の提唱するリメンド(reMend)において家賃は低いため「あったら嫌だ項目」を減らすことに軸足を置いています。
借主から言われなくても修理する項目として6点が優先されます。
ひとつでもあれば、当該物件はスルーされるでしょう。
⑴塗装が剝げてみすぼらしい
⑵室内に異臭がする
⑶台所が狭くて小汚い
⑷トイレの便座が古くて気になる
⑸フロ場が暗くて使いずらい
⑹照明がなくコンセントやスイッチが古臭い
まとめ
本稿は、リメンド(reMend)という投資行為を説明いたしました。
およそ家屋は一軒ごとに異なる建物ですが、賃貸にあたり少なくとも、共通した項目6点が修理されるべきことをお伝えできたと思います。
リーシングへ到るためには、ほかにも多々あります。もちろん建物は一軒一軒異なるものなので、やるべき工事とやらなくてもいい工事とを、現場で取捨選択することになるでしょう。
要は、物件ごとに修理のコツを掴むことで、費用対効果の高い、メリハリの利いた施工をすることが可能となります。私は、このようなノウハウを蓄積していることを申し添えます。
次稿では、引き続き定義④~⑤を掘り下げますので、お付き合いください。
つづきは(その6)