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#ソシャゲの話をしよう。「強さと人気、どちらが先か。」

#ソシャゲの話をしよう
どうも、死に急ぐ生命の果実です。

みなさん、ガチャは引いてますか?
え、『新規の推しが出るまで課金はしない』……?
まぁ、そういう方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて今回は「強いキャラに人気が出るのか、人気のあるキャラが強くなって出るのか」というお話。

ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。


今回の考察

強いキャラに人気が出るのか、人気のあるキャラを強くるのが売れるのか。どちらが先か論。
最初に断っておきますが、この考察に正解というものはありません。
強いていうのならば、売れるものが正義で正解です。
これらは情勢や運やいろいろな要素が絡まり合って結果が出るので、どちらが正解かという話はできません。

とはいえ、ちょっと考えてみるのはおもしろいかもしれません。

その材料として、今回はキーワードとして「コンテンツとしてのソシャゲの性質」「人気とは何か」「キャラクター追加のコスト」あたりを視野に入れて考えてみようと思います。

需要と供給

ビジネスの原則として、売れるモノには売れる理由があり、売れるように需要を作り出すのが基本です。
もちろんソシャゲというコンテンツにおいてもそれは適用されます。
まぁ身も蓋もない言い方をすれば、「誰も欲しくないものは売れるわけがない」ということです。当たり前ですが。

誰かがそれをほしいという気持ち。人それを需要と呼ぶ。

需要の作り方は色々ありますが、ソシャゲで言えば「強いキャラ」というのは定番中の定番です。

作り方は簡単。パラメーターを高く設定してやればいい。
ついでに「それがないとクリアできないハードル」というのも併せて売り出せば確実です。

ですが、この簡単な方法にももちろん弱点はあります。
(※でなければソシャゲ業界はウハウハでみんな幸せなはずなのです)。

「パラメーターのインフレには限界がある」ということです。

どういうことか、具体的に説明してみましょう

インフレするとユーザーが減る、という事実

ソシャゲに限らず、すべてのサービスにはユーザーが必要です。
お客様がいなければ、どんなにいいものであっても売れない。これもまた当たり前の話ですね。

当然、コンテンツを運営するにあたって新規ユーザーを確保していくのは重要な課題です。
ユーザーが多いほど、ひとつの商品が売れるときの利益は大きいのです。

※唐突なたとえ話
競馬で1.2倍の馬を当てた時を想像してほしい。
賭けた額が1000円であれば、配当金は1200円。200円の儲けだ。
仮に1000万円賭けていれば、配当金はなんと200万円!
運営における新規ユーザーを増やすというのは、賭け金を増やすことに似ている。
しかも、ギャンブルではないので、ただユーザーを増やせば増やすほどいい。
ここにデメリットはないのです!

個人的な願望

話が横道にそれました。
とりあえず「新規ユーザーを増やす」ことは重要です。

しかし、これが先に話した「パラメーターのインフレ」と相性が悪い。とにかく悪い。
パラメーターのインフレが進めば進むほど、新規ユーザーはついていけなくなって辞めるからです。(もしくは始めることすらなくなります。

先のギャンブルの賭け金の話に例えるなら、いくら配当が高くても、賭け金(新規ユーザー)が少なければバックは少なくなる……というイメージです

新規ユーザーのいなくなったコンテンツには、基本的に未来はありません。
人の少ないところに人は集まってきません。
コンテンツは過疎化し、マイナージャンルの爆誕……というわけです。

なので、コンテンツとしては新規ユーザーがいつ入っても、現在進行中の遊びについてけるようにしなければなりません。
繰り返すますが、過剰なインフレはこの原則と非常に相性が悪い。

さて。では考えてみましょう。

「インフレをさせずに新規ユーザーを増やすには」?

これも色々な答えがありますが、そのひとつとして有力なのが多角経営。いわゆるメディアミックスというやつです。
ソシャゲではなく、アニメや別ゲーなどの別角度からコンテンツにユーザーがついてくれれば、結果的にアリなのです。

もちろん、そんな簡単にうまくいくものではありませんが。
しかしながら、「インフレをさせない」→「パラメーターの強さ以外の魅力・商品価値が必要」となったときに、キャラクターや物語にその要素を担保させるのは自然な流れでしょう。
現にリッチ化した昨今のコンテンツの多くが、少なからずその流れを辿っています。

物語やキャラクターが独自の商品価値を持てば、それを魅力的に思ったユーザーはゲームを続けてくれるでしょう。
直接課金はしなくても、先に上げたユーザー数の維持には貢献してくれるはずです。
ゲーム本編をやってなくても、認知さえされていれば、今後潜在的なユーザーになってくれる期待が持てます。

じゃあ、キャラクターに魅力を持たせ、メインストーリーや個別シナリオにコストを割けば安泰なのでしょうか。

まぁそんな単純な話でもありません。
その理由は「コスト」と「計画性」です。

無視できないコストの話

キャラクターやシナリオは、スイッチひとつでポンとできるものではありません。
ライターやデザイナー、あるいは声優など、多くの人の手によって生み出されるものです。
もちろん、その指揮をとるディレクターや、パラメーターを仕切るプランナー、アニメーションさせるならモーションデザイナー……などなど、関係者は多岐にわたります。

あと、無視できないのがそれらの間をつなぐ窓口であったり企業間の折衝。
シナリオや声優は別の会社だったりすることがままあるし、なんならデザインなども社外のイラストレーターに外注だったりすることはよくある話。
これが結構面倒くさい。一キャラの一イベントに数か月かかるとかは、全然あります。

つまり、「このキャラの出るこんなイベントをやろう」と決定したら、リリースはそこから数か月先です。

なんならその決定にすら数か月掛かります。

ユーザーが「○○のイベントをやれば課金するのに、なんでやらないんだろう?」の答えがこれです。

決定も舵切りにも進行にも多大なコストが発生するからです。

「○○の新規がもうn年も出てない」と嘆く皆さま。

それは残念ながら当たり前なのです。

”採算が取れたとしても”、実装は早くて一年後。

採算に見合わないコストであれば? もちろん実装は……絶望的でしょう。

キャラクターや物語に価値を持たせるデメリットは、これだ。
とにかく計画性が重要視され、柔軟な対応は年々リッチ化が進むにつれどんどん難しくなっていく。
きっとこれからもなにかしらのブレイクスルーが起こらない限りは難しいでしょう。

そうそう。最後に重要なことを忘れていました。

新規キャラクターを増やしてインフレを許容するコンテンツと、キャラクターや物語に重点を置くコンテンツは、基本的に相いれません。
相いれないというか、途中から路線変更をすることは難しいです。

理由は前述までで十分でしょう。
運営的にも経営的にも、ただただ危険だからです。

というわけで、そろそろ結論をまとめましょう。

強いキャラクターをパラメーターで売るのか、キャラクター人気を育てて売るのか。

メリットとデメリットの点で、どちらが正解ということはない。

強いていうなら、そこに迷いがあるコンテンツは行き先を見失って不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまう。

コンテンツの運営というのは、三年先、五年先と長期を見据えて計画し、入念なコスト管理が必要になる。

ほいほいと目先の売り上げや人気の動向でどうこうしてはいけないのです。

高いコストを掛けて実装したキャラクターが全く売れなくて大損害ということが続けば、どうなるか想像に難くありません。

くれぐれも、運営は計画的に。

ということで、今日のお話は以上です。ご清聴ありがとうございました。

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