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#ソシャゲの話をしよう。「プロデューサーの仕事とはなにか」

#ソシャゲの話をしよう
どうも、死に急ぐ生命の果実です。

今回は「プロデューサーの仕事とはなにか」というお話。
ざっくり以下のような構成でお話できればなと思っております。


前書き

先に前置きしていますが、プロデューサー(以下、Pと呼称)の仕事は企業によって変わります。
また、僕もたくさんのPと関わってきましたが、全てを知るわけではありません。

よって、今回の記事は経験則を踏まえて、「Pとはこうあるべき」というか、「こういう感じのPがいてくれたら、そのコンテンツには未来があるのではないか」という曖昧な希望を持たせる結論に着地させようと思っています。(断言)

プロデューサーとは

さて。Pとは一体何なのでしょうか。
プロデューサーとディレクターとプランナーはどう違うのか。
先にも書きましたが、その役割や坐組は、企業または制作媒体によって変わります。
例えば、同じクリエイティブなものでも、映画とゲームでは全く違います。

比較的多く見られる形態としては、Pは「制作物に責任を持つ」のに対し、Dは「制作管理に責任を持つ」などがあります。(しつこいようですが諸説あります)

もっと具体的にいうのならば、Pは「制作自体に責任を持つ」とも言えます。
例えば、制作開始に必要な関係者の合意を取る。
例えば、制作に必要な予算を、賛同してくれる関係各社から集める。
例えば、制作物がどのようなプロセスでリリースされ、どうやって売上を回収するか計画を立てる。などなどが挙げられます。

そもそもPがちゃんと仕事をしないと、制作物はおろか制作のスタートすら切れません。
制作に会社のゴーサインがでないプロジェクトには、ディレクターもプランナーも存在しえません。
そういう意味では、Pは非常に重要な役割を担当すると言えますね。

まぁ、よくある例外と言えば、会社から「次のプロジェクトは○○(原作・キャラ・声優・スポンサーなど)を起用する」「予算はいくらだ」「いつまでにいくらの売上を達成しろ」とミッションを叩きつけられ、どうしたらそれを実現するか計画立て、責任を持つ……というパターンもあります。

どちらにせよ、プロジェクトのスタートアップから企画の根幹を計画だてるという点では、Pの仕事内容に変わりありません。
計画を立てること。判断し、実行すること。そして責任を担うこと。これがPの仕事になります。

こと、ソシャゲの場合

話が若干ふわっとしているので、あくまで凡例をソシャゲに絞りましょう。

ソシャゲの場合、大きく制作フェーズと運用フェーズに分かれます。
ちなみに、説明が面倒なので、制作予算が集められてプロジェクトはスタートしたものとします。

制作フェーズ

主題は「いかに計画通りに運用フェーズに移行するか」。
このフェーズにおけるPの役割は、実作業者達に制作方針を説明し、想定する運用計画に必要な機能を盛り込むことです。

制作方針とは、簡単に言えば「こういう仕組みを使って、月額いくら売上を立てよう。そうすれば1年でいくら達成できる。サービスが続くよね!」という内容。

で、「こういう仕組み」というのが、コンテンツにあたります。
例えば壮大なストーリー、魅力的なキャラクター、脳汁あふれるゲーム体験、じゃぶじゃぶ課金したくなるガチャシステム……などなど。

これがなくては、制作陣は何も動けません。
実際に個々の機能の仕様を切るのはプランナーだったりしますが、方向性や判断基準を決めるのはPです。
ここでPは、関係者皆が『これなら売れる』と納得する「仕組み」を提示する責任があります。

ソシャゲ運営はあくまで仕事であり利益を上げるための手段です。
「ボクの考えたこのゲームは万人受けしてバカ売れするはず!」などという無計画で根拠のない妄想は不要です。

「こうこうこういう理屈で、一か月でなにがいくら売れるから、関係各所にいくら利益が発生する」。
こういう筋道だてた論理的な思考と、それを周囲に説明させて納得させる手腕が、Pの必須スキルです。

さて、制作方針が決まると、必要な機能の洗い出しと仕様作成、実装が進められるようになります。
ここからはディレクター以下、各スタッフの腕の見せ所です。

インゲームはPのコンセプトを元に、より魅力的で遊びやすく、没入感を感じるように。
物語や世界観を見せたいなら、ストーリーやキャラクターをどう演出するか。
よりユーザーに訴求するには、ガチャやショップはどのように見せるのか。などなど。などなど。

Pは上がってきた仕様を吟味し、制作方針に見合うかどうかをジャッジします。
あくまで好き嫌いではなく、自身の立てた計画に沿ったものであるかをドライに判断します。
「この女のコがカワイイ!採用!」とか安易な判断をしてるPはいないと思いたいです。如実に。

さて、長い制作期間と過酷なテストが終わっていよいよリリース。その後は運用フェーズです。
現場は死屍累々の制作スタッフから運用スタッフにバトンタッチされます。
(バトンタッチなどなく過酷な続投もままありますが、それはまた別の話)

運用フェーズ

主題は「いかに計画通りにコンスタントに売上達成を維持するか」。
このフェーズにおけるPの役割は、売上の確認、計画と実際が乖離していた場合の計画修正、イベントなど提案の承認、その他不測の事態の対応……などです。

運用は超ざっくり説明だと、ユーザー数・ひとりあたりの課金額・その日の全売上・売れたものの内訳などを観測して行われます。
で、ここで得た数値と計画を見比べ「新規ユーザー入ってる?」「今日遊んでくれたユーザー何人?」「イベント刺さってる?」「ガチャ売れてる?」などを判断します。

売れていればさらに利益を上げる方策を、売れていなければどうやったら改善できるかの計画修正を、Pは行わなければいけません。

今遊んでくれているユーザーはどんなものを好むのか。
どんな要素がユーザーに刺さっているのか。
それでは次にどんな施策を打てばユーザーは喜ぶのか。
決して正解のない計画を立て、そして責任をもって決断・実行することをPは求められます。

ユーザーに刺さる要素は研ぎ澄まして伸ばし……
不安要素やユーザーからの不満点を改善し……
ユーザーが離れればその原因を考え……
ユーザーを飽きさせないために斬新なイベントを企画し……
ユーザー動向を見ながら逐一計画を修正していきます。

「次のイベントではボクちゃんの好きなあのキャラクターの水着バージョン出しちゃおう」などと考えるPは恐らくいないと思います。多分。

ユーザー離れや売り上げ不振よっては、時には大きなテコ入れや方針変更などが必要かもしれません。
基本的に、それらの実行判断とその責任を担うのはPです。
「制作自体に責任を持つ」とは「売上に責任を持つこと」。つまりそういうことです。

ユーザーから反感が起りそうな大きな方針転換を行うとき、それを説明するのもPの責任です。
いろいろなコンテンツで言われる「プロデューサーレター」などがそれにあたりますね。
きちんと、そうする判断に至った理由と根拠を筋道だてて説明し、ユーザーの理解を得る。

こうした行動のひとつひとつによって、コンテンツとそれに責任を担うPは、ユーザーからの信頼を得ていくのです。

顔出し生配信で声優やYoutuberときゃっきゃしながら、「じゃあ次はこんなイベントにしちゃおうかなー」などと、スタッフが知らない情報を無責任に告知してはならないのです。ならぬのです。

と。Pの仕事をざっくりと大雑把に説明するとだいたいこんな感じになります。諸説ありますが。
もう一度軽くさらうと、「計画」と「運営」の両方の局面で、責任をもって判断を行う役割。それがPです。

補足

長くなりましたが、最後にふたつ書かせてください。
サービス終了と、Pの交代についてです。

売上目途がどうしても立たず、これ以上の運営は不利益となるしかないと判断したとき、Pは関係各所と調整を行い、サービス終了を決断します。
おそらく、そのコンテンツにおけるPの最後の仕事でしょう。(事後処理とかはあると思いますが)

その状況になってしまった理由などはいろいろあると思います。
それでも、ここまで挙げてきた激務を続け、ユーザーとの信頼関係を構築し、コンテンツに愛を注いで育ててきたのです。
最後にサ終の判断をしたPに、僕は「お疲れさまでした」と言いたいです。

そしてPの交代について。
これに関してはわりと多くのプロジェクトで行われていると思います。
有能なP、特にプロジェクト立ち上げの実績のあるPは、いろいろな局面で必要になる人材なので。

とはいえ、最初に思い描いていた構想・運用計画は、次のPにはしっかりと伝えて引継ぎをしてもらいたいです。
Pが変わることでコンテンツの色が変わってしまうことは致し方ないですが、それによってそれまでに培ったユーザーの信頼感に疑念が発生してしまうことは大きな損失です。

Pが育てているのは、コンテンツだけでなく、それによって繋がった運営とユーザーの信頼関係でもあるのです。
どうかそれを忘れないで、頭の片隅に置いておいて頂きたいと思います。

今日僕から言いたいことは以上です。

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