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#ソシャゲの話をしよう。「予定調和のストーリーはおもしろいのか」

#ソシャゲの話をしよう
どうも、死に急ぐ生命の果実です。

みなさん、ソシャゲ遊んでますか?
壮大で奥深いシナリオに心揺さぶられていますか?
この問いへの反応は諸説あると思います。
今回は「予定調和のストーリーはおもしろいのか」というお話。

ざっくり以下のような構成でお話をできればと考えております。


ソシャゲはストーリーを語るのに向いていない、というお話。

以前こんな話を書きました。

この中で、ソシャゲにストーリーが必要な理由と、ソシャゲは物語を語るには向いてない媒体であることを述べました。

どういうことか。
小説やマンガや映画なんかを想像してください。
単純にストーリーを楽しむのであれば、他媒体の方が圧倒的に向いています。
それぞれの媒体が別のアプローチで、ストーリーへの没入感を高めてくれます。

それでも、ゲームには他の媒体では出来ないストーリーの楽しみ方があります。

それは「主人公になって、物語を"体験"することができる」という圧倒的な強みです。

自分の意志で物語を読み進め、時には判断を下し、時には勝負(≒ゲーム)によってシナリオが分岐する。

旅の仲間は誰を連れていくのか。
旅の途中、困っている村長がいたらどうするのか。
姫か父親、どちらかしか助けられないとしたらどうするのか。
魔王を倒すのか、それとも許すのか。
負けられないバトルに果たして勝利できるのか。

などなど、RPGやアドベンチャーなどジャンルによって異なりますが、プレイヤーはたびたび重大な決断を迫られることになるでしょう。

自分自身の責任と判断で"創り上げた物語"は、プレイヤーだけの体験になります。
これが、ゲームにストーリーをつける理由であり、最大の醍醐味です。

で。

して。

数多くのソシャゲが乱立していますが、多くないですか?

一本道で選択の余地なく、無難なハッピーエンドの決まった予定調和のシナリオ。

物語を語るツールとして、ゲームの強みは「物語を体験すること」だというのは先にも挙げたとおりです。

ですが、プレイした結果に予定調和のハッピーエンド"しか"なかったら、どう思いますか?

少なくとも、筆者は「なんか違うなぁ」と思います。

予想もしていないような展開・突発的なトラブル・ミスの許されない判断を、プレイヤーの自身の判断やゲームシステムで解決していくのが、ゲームのシナリオのあるべき姿だと思います。

先の予想できてしまう陳腐なシナリオも、ハッピーエンドしかないようなイベントも、そういう意味では「物語を語るツールとしてのゲーム」を活かせていないと考えられます。

「んじゃ、予想できないように〇〇〇ー〇・〇ー〇〇みたいな展開にすればよいのでは?」というのも違うので、ここではちょっとおいておきます。
そもそも物語の体をなしていないような超展開のギャグマンガのようなシナリオは、今回の主題からは外れるので。

シナリオのコンセプト

閑話休題。

ちょっとお話を仕切り直しましょう。

たまに「シナリオはどのように作るのか」というお話をする機会があります。
ゲームシナリオの場合もありますし、小説のような媒体なこともありますが、筆者はまずこう答えます。

『そのシナリオを読んだ人に、どのような感情を抱かせたいですか?』と。

シナリオの主題、メインテーマ・コンセプト・読後感……などの表現でもいいでしょう。
要は「そのお話を読んだ人がどのような気持ちになるのか」を考えることが重要です。

具体的に説明しましょう。

往々にして、「書きたいジャンルや雰囲気はふんわりと決まっているが、そこまで考えていなかった」という人はわりといます。

剣と魔法のファンタジーの世界での大冒険とか。
異世界に転生してユニークスキルで無双するとか。
美少女に囲まれてキャッキャウフフのハーレム生活とか。

まぁこのへんは枚挙に暇がないわけですが。

じゃあその物語を読んで、どんな気持ちになるの?と。

ハッピーエンドで爽やかな読後感にしたいとか。
避けられな結末でビターエンドを感じさせたいとか。
サクセスストーリーに一喜一憂させたいのか。
先の読めないサスペンスでハラハラさせたいのか。
ホラー描写でドキドキさせたいのか。

この話題を出してみると、意外と答えられない人が多いです。

こんな感じで、表面上の題材と実際に想起させたい感情は別物です。

このあたりのお話のコンセプト設計がしっかりしていると、主題を引き立たせるためのシチュエーションを工夫したりすれば、短くてもきちんとしたシナリオになります。

ゲームであることの有意性を活かすには

まぁ、本格的なRPGのように、選択によってエンディングが変わる……というシナリオは、ソシャゲではなかなか難しいかもしれません。
容量やシステムの都合や、割けるコストには限りがありますからね。

とはいえ。

避けられない戦闘に至るまでの流れを、きちんと納得のいく理由付けをしたり。
逆に、理由を説明せずに戦闘に入り、勝利後に理由を聞かされる……なんて展開も、ゲームでしかできない話運びです。

他にも。
選択肢でプレイヤーの意志を確認するフェーズを差し込むと、それによって結末が変わらなくても、プレイヤーには選択した責任が生まれます。
このプレイヤーと主人公の感情移入を強めたりする方法も、ゲームならではと言えますね。

うまく利用すれば、「プレイヤーは主人公と一心同体である」という錯覚を利用した叙述トリックなんかもできますね。これもゲームでしかできない手法です。

ちゃんとシナリオを読んで、主人公として体験してもらって、よりよい結末になるようゲームであがいてもらい、結末を受け入れてもらう。
ここまでがセットで、ゲームのシナリオです。

その上で、何かをフックにして興味を持ってもらい、それなりに長い期間遊んでもらいたい。
なので、個別の短編シナリオの読後感を抱いてもらいたいのはもちろん、その先に展開するシナリオにも興味を持ってもらう必要があります。

個々のイベントシナリオは一応の完結し、読後感を抱かせながらも、ちゃんと先への興味を引き立て、続編で伏線を回収していく……。
やりようによっては、そのような展開も可能なはずです。

そのくらい作りこまなければ、続きのイベントも気になってもらえませんし、キャラクターに愛着も湧きません。

一本道のハッピーエンドがダメというか。
そもそもシナリオとして何を語りたいかのコンセプトの作りこみが甘い。
そもそもゲームであることの優位性を認識し、活かそうとしていない。
そんなシナリオが多いように感じ、モヤモヤします。

結びに。

シナリオを読み終わった後、読後感も感想もない、虚無が一番ヨクナイ。

とってつけたような虚無でご都合主義でなにも残らないシナリオよりも、プレイヤーの心に爪痕を残すような。
そんなシナリオが増えるとよいなぁと思います。

本日僕から言いたいことは以上です。

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