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病気も立派な個性だという話


moiです。デザイナーです。病気のことを書くのは気が引けていたのですが、Noteで同じ病気に向き合ってる方々の言葉に勇気づけられたので、私もいまの生活を何か言葉にしておきたいと思いました。明日のことはわかんないもんなあ。鬱屈しているのも馬鹿らしい。よかったらお付き合いください。


病気が見つかった話

緑内障は、視神経がだんだん切れて視野が欠けていき、徐々に失明に向かっていく病気です。両目患っています。左隣が見えないことが増え、見知らぬ人に肩ドンしては謝ってばっかりです。ガラが悪くてごめんなさい。

一方で僧帽弁閉鎖不全症は、左心房の弁がうまく閉まらなくて、血が逆流しちゃってる病気です。悪化すると、弁が更にゆるゆるになって、心臓が肥大化して、ポンプ機能を果たせなくなって止まっちゃうらしい。末期くらいの症状にならないと手術できないから、定期的に心臓の大きさと逆流の様子をモニタリングしてます。割とストイックにスポーツしてたのに、これが怖くて運動できなくなっちゃいました。

目も心臓も30歳前後で発覚しました。両方の病気とも決して良くなることはなく、悪化を防ぐために検査したり投薬したりの繰り返し。

なんだよ残りの人生生き地獄かよ、と最初は毒づいてました。まさか一気に2つも病気になるとは思わないもんね…… 目が見えない=デザイナーとしての死、心臓が止まる=人間としての死。例えるならクリスマスとお正月が一気に来ちゃった感じ。

なんとなく60歳になったら定年退職して、80歳くらいまで余生をゆっくり生きていくんだと思っていたのにもうゲームオーバーが見えた。死の匂いが一気に鼻先に降りてきて、時間は有限なんだと神様にビンタされた気分だった。

だから当時は本当に病院が嫌だった。どうせ良くなることなんてないのに、こうしてちょくちょく検査しなきゃいけないというのは、断頭台に立たされて死刑宣告を待つ囚人の気分だった。その嫌な冷や汗は一生ずっとかき続けることになるとは思うんですが、今は割と通院も楽しんでます。


先生たちに救われている話

めちゃめちゃ苦手な検査があるのですが、看護師さんがあの手この手で励ましてくれるからポジティブにならざるを得ないんですよね。「がんばれ!もう少し我慢しよう!!終わったよ偉い〜!!」なんて子供みたいに情けなく励まされるのもやぶさかではない。

日本にいた時はもちろん、イギリスの循環器科の先生も眼科の先生も優しくて恵まれていると思う。治療のことはもちろん頼りになるんですが、精神的な部分を手厚く気にかけてくれるのがありがたい。強い薬で見た目が変わってしまわないように、好きだった運動が続けられるようにと。いつもありがとう先生たち。いつもありがとう看護師さんたち。かなり救われているんですあなたたちに。

今や絶縁してる両親は、病気をカミングアウトした時だって無関心で、それどころか「働けているということは大したことなかったんでしょ?(仮病だったんじゃないの?)」って心無い言葉をぶん投げてくる人たちでした。病気は一つの大きなきっかけで、彼らから捨て身で逃げることができました。戸籍もわけたし、苗字も違う赤の他人です。

病は人を哲学者にするそうですが、私の場合はさらに逃げる勇気をもらいました。今となっては病に感謝している。

上記の反動か、血の繋がっていない人たちの優しさが骨の髄まで沁みて涙もろくなりました。魔女の宅急便のニシンのパイのシーンで目頭熱くなるくらい涙腺が馬鹿。人生まだまだ捨てたもんじゃないなと思います。


病気も個性だという話

自分の心臓のかさついた音と、血が頑張って逆流しているエコー図を見るといつも感心する。持ち主に似て落ち着きがなく、元気な心臓だなあと。

「30年も生きていたら、心臓は既に何万回も動いています。誰だってじっくり観察したら所見が見つかるもんです。その心臓はあなたの個性ですよ。」って循環器科の先生が諭してくれました。目から鱗すぎる発想で、目が落っこちるかと思った。周辺がよく見えない両目もきっと私のことだから、余計な傍目を降らなくても済むように、目の前だけの物事だけに集中できるように気が利いている仕様なのかも知れない。心の憑き物が落ちた気がして、帰り道ちょっと泣いた。


それでも病気からもらったものは大きいんだという話

何度でも言いたいんですけど、病気は痛いし、検査は怖い。筋金入りのビビりなので、受診日の朝はいつも仮病使って休みたくなります。病院に仮病は効かないじゃんって気づいて、諦めて家を出るんですけどね…

不安が消えることは一生無いなと腹を括ってます。でも病気のおかげで、確実に人生楽しい方向に転がってるなと思う。明日死ぬかもしれないもんねって思うと呆れるくらいポジティブになるし、他人に少しだけ優しくなれるし、好きなものは好きと伝える勇気が湧く。死ぬまで死ぬほど楽しい毎日が送れるように、この個性と仲良く付き合っていけますようにと願います。




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