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立ち止まれない「生き急ぎ野郎」の独白

色々と個人的な事情はあるけれど、まあ私の人生全体を振り返ると「駆け抜けてんなぁ〜w」という気がする、今日この頃です。


早く大人になりたいなあ、だなんて小さい頃から思っていました。

大人になったら、もうママやパパから「お前はまだ小さいんだから」「子供なんだから」って言われない。大人になれば、できることが格段に増えて、そして、そして
きっと大きくなったら、ディズニーランドのダンサーになる。

これ、5歳の頃の話。
確か10歳の頃までは本気で本業ダンサーになりたがってた記憶があります。11歳でピアノを始めてダンスの習い事を辞めて、それっきりですが。でも今でも時々踊ってます。笑


というのは置いといて。
この5歳という年齢にダンスを始めたことは、今振り返ると結構大きな影響を及ぼしています。良くも悪くも。
例えば、私は「他人から褒められる」ことにとことん慣れてません。
ダンスを始める前、母は私を目の前に座らせてこう言いました。

「いい?芸事において『褒められる』ことほど危ないことはありません。誰かに褒められたら『ありがとうございます』と言ってその場を離れなさい。他人に心からの賞賛を送る人というのは滅多にいない。芸事を上達させるのは褒め言葉ではなく叱責。褒められてその度喜んでいたら、芸事は中途半端になります」

もう一回言わせて。相手は5歳よ。笑
このストイックすぎる(なんなら対象年齢も合ってない)お言葉を胸に、以来5年間ずっと踊り狂ってました。その後、上記の通りピアノを習い始めたタイミングでダンス生活に休止符を打つのです。


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ピアノを始めた時も、母の言葉はずっと覚えていました。だから先生に「上手ね!」と言われても「ありがとうございます」と言ったきりにしていました。
どんなに上手くても上には上がいるし、私はまだまだ下手くそな方だ!と思いながら。
毎日1時間。休日は3時間。これを約10年間です。ピアノを本当に弾かなかったのは多分、大学受験当日くらい。

大好きだったから、続けられたんです。

後々にピアノの先生とお話ししてた時に、少しびっくりなことを言われました。
「アメリちゃん、私結構厳しーく教えたのよ?だけどぜんっぜんへこたれないし、むしろガッツ出して弾き始めるし。優しく言っても余り響かなそうだからこっちの方が良いかなって思ったんだけど、アメリちゃん結構タフよね?先生怖い!って思われてないかが心配なんだけど笑」

なんどすて?先生が?厳しい?
先生、ちょっと「厳しい」の定義見直しませんか?広辞苑持ってきましょうか。
本当にすっごく優しく教えていただいたんです。ピアノの技術だけじゃない、音楽は本当に楽しくて、心を満たして豊かにしてくれるものだというのを教えてくださった先生でした。


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小さい頃から「勉強と習い事の両立」を求められていた(と言いつつも理科のテストで30点取っても怒られたことはないけど笑)から、本当に無駄な時間は過ごせませんでした。
娯楽らしい娯楽からは一番遠い位置に立って、勉強をし、私なりの娯楽「習い事」に勤しみ。友達と街へ繰り出したのだって、この20年間で片手の指で数えられる程度。遊んだりなんだりするよりもピアノを弾いて勉強をして…(これね、一生懸命やってるように見えるでしょ?違うんですよ。ただただ勉強の効率が死ぬほど悪かっただけ笑

高校はちょっとした選抜コースみたいなのに在籍していたのですが、これがまた地獄のシステムで、題して「成績悪いと脱落!!ダスビダーニャ!!!」
これ、脱落すると今度は「4年制大学行きたいなら推薦制度を使いましょう」になるんですね。

多分この頃からだったと思います。
「今まで精一杯頑張ってきたんだ。どうか報われろ私の人生」
って思い始めたの。

周りが持ち始めたスマホも当時は持っていませんでした。周りが「学校終わりに遊びに行こう」「日曜日に映画見に行こう」「部活やろう」なんだーかんだーってやっていた時にも、家に帰って日々のルーティーンを繰り返していました。
習い事は心の栄養分。勉強は義務。より良い未来を作り出すための手段。不満はなかったけれど、「それ以外」を知らなかったんですよ。

もっとピアノ上達したい。より良い大学行きたい。もっと色々なことができるような人間になりたい。意識がことさらに高い訳ではないけれど、私なりにストイックに生きてきたんだ。人並み以上に、強くあれ、気丈であれと自分を奮い立たせてきたんだ。だからお願い、どうか報われてくれ!


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大学は無事合格。文系のクセして文系科目が苦手、だなんてかなりひどい有様だったけれど、何よりも確かな「合格」という形で「報われ」ました。

大学。充実した学び、とても素敵な、ユニークな友人たち。
とても幸せでした。

長期休暇の時には派遣会社に登録して事務の仕事を2ヶ月間やっていました。長年のピアノ歴からタッチタイピングが得意だった私はもう、文書ガッタガタとPCに打ち込むんですね。
そうすると、書類一枚あたりの処理時間がなんかバグっている。おかしい。午前中のノルマでーすって渡された書類は昼休みの1時間半前に全部片付いてる。これ、急いでやったつもりはなかったんですよ。本当に。
職場最年少だった私は上司から職務怠慢を疑われました。アナタ適当に文字打ち込んでない?これ、上の会社に渡すやつだからミス許されないんだけど。
ミス、なかったです。とうとう処理する書類も無くなって、別部署に呼ばれました。
「あの子終わっちゃったって?じゃあこっちにちょうだい。人が足りないんだ」

別部署は人手が足りないという割にスローモーションのようにゆったりと仕事をしていました。細かく休憩とって、のんびり仕事して…。同じ仕事場なのに部署によってカラーが全然違うんですね…とこぼしたら、そこの上司に言われました。
「しばらく君の仕事を見ていたよ。パキパキと進めて、ササッと終わらせちゃう。この部署にきてもらってよかった。ここなら永遠に書類が湧いて出てくるから。でも今こうやって強制的に10分休憩取らなかったら君、多分永遠にやってるよね。笑
ねえ、今までどんな生き方をしてきたの?僕の目には、君はすごく生き急いでいるように見える

どんな生き方をしてるの、と言われれば、ここに書ききれない事情とか色々含めて心当たりがない訳じゃないけれど。

なるほど、生き急いでいるように見えるんですね…。確かにそうかもしれません。全力疾走してきたのは本当に否定できません。でもここまで走ってきてしまいましたから。今更立ち止まるのは、とても怖いんです。

確か、そう返した。はず。

ねぇあのね、僕は君の事知らないから偉そうなこと言えないんだけど、君が本当に18(当時)だというのも実の所、俄には信じられない。
今まで全力疾走どころか新幹線に乗ってきたんじゃない?十分走ったよ。だから「今更」新幹線を降りたって誰も君を怒ったりはしないと思うけど。立ち止まるのが怖いなら電車に乗り換えればいい。チャリでも良いでしょ。もうちょっとゆったりと生きな。なんか君見てると長生きできる気がしないよ。ほんと、人生長いんだからさ…。

当時はありがとうございます、と言って、「心にとめておこう」程度にしか捉えていませんでした。


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でも、その全力疾走の皺寄せが後々になってまとめて来たんですね。

一番代表的なのが、続けられるなら永遠に弾いていたかったピアノ
ある朝起きたら突然、左手首に激痛が走り。

関節炎でした。
医者曰く「ピアノはもう弾かないでください。手首に蓄積された負担が今爆発したんです。時々、恒常的に痛みますから、湿布とサポーターはしばらく欠かさないように」
終了。

諦めきれませんで。少し良くなった頃に家のピアノでラヴェルを弾きました。
直後から3週間は左手首一切使えませんでした。そういうことです。

多分、大切な人を突然失うって、こういう気分なんだろうな。って思いました。
あまりにも急なことで、現実味が湧かないままピアノの先生に事情を説明して、辞めました。
日常のルーティーンが消えて、心の拠り所だったピアノはもうほぼ絶対に引けなくなり。今でもなんだか心にぽっかり穴が空いたみたいです。

その後、「勉強に打ち込めばピアノのことも考えないで済むかしら?」と思ってぶち込んだ「年間単位取得目標60」は
余裕で過労死ラインを超えていた為、私は本格的に体を壊しました。今考えてもあれはアタマおかしい笑。笑ってください。これが自分の限界を見極められなかった結果です。


そんなこんなで「強制的に休まざるを得なくなった」アメリさん
やっぱり、こんな過ごし方をしていて良いのかな???と思うのをやめられない。悪いクセですね。
言い方は本当にひどいのですが、なんか「ダメ人間」になった気がしてならないのです。


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先日、中学時代に友人に会いました。どうやら私の大学の近隣の大学に通っているらしく、あらご近所さんだったのね!と笑ってました。
そして、どうやらその友人は今年大学を休学するらしいんです。死ぬほど頭のいい大学を。

楽しみだ。旅行にはあまりいけないけれど、1年間ゆっくり過ごして、自分探しでもしようかな笑 だって最後の機会でしょ?休学は制度としてちゃんとあるんだから使いたくなったんだ。

って言うんです。
ゆっくり過ごして…。って怖くないの?周りに置いていかれてしまうような気がしたり、しない?停滞している間に何が起こるのか、想像したり…。
と聞いたら

しないよ!今までマイペースに生きてたから、むしろ通常運転だね。人生長いからさ、1年の空白なんて誤差でしょ笑。それに、そうしても後悔しないって確信したんだよ、そーゆーこと。

びっくりしました。
ああどうか、それを半分私に分けて欲しい。きっとそしたら私も「生き急ぐ」のをやめられるかもしれない。

私にはそんな勇気はまだないけれど、頑張って「ゆっくり生きる」方法を考えていきたいです。

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