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化粧品にできること

「コスメバンクプロジェクト」ってご存じですか?
わたしがこの取り組みを知るきっかけになったのは、昨年末。
wwdに掲載された、こんな記事でした。

「子どもの入学式や卒業式のようなハレの日にさえ、口紅のひとつも手元になくて、マスクで顔を隠して行くしかなかった」

ショックを受けました。
化粧品を持っていないことで、悲しい思いや恥ずかしい思いをする人がいるなんて、思いもしなかった。
化粧品は、生活を彩り、豊かにするものであるけれども、必需品ではない。
わたしはそんな風に思っていました。
お恥ずかしい話ですが、わたしの想像力が足りていませんでした。

化粧品業界ができるサステナビリティ

昨今、サステナビリティの観点から、化粧品の余剰を減らそうと各社在庫管理やシーズン品の見直しなどに対する取り組みが広がっています。
それでも、ブランドや商品の鮮度を保つためには、どうしても定期的に新商品を出したり、限定品を出したりする必要があるのも事実。
社内販売などで余剰品を捌いている会社は、意外と多いのではないでしょうか。
化粧品は欲しいけど購入する余裕がないお客様と、余剰品を有効活用したい企業。
見事なマッチングですね。
もちろん、商品を販売して売り上げを得ることは企業活動の基本ですので、余裕がある企業にしかできないのかもしれませんが、協賛する企業側にもメリットはあると考えられます。
普段手が出せないようなブランドの商品や欲しかったけどあきらめていた商品が手元に届けば、ブランドの周知にもつながりますし、リーチできなかったお客様に商品を使用してもらえるチャンスになります。
なにより、きっとその化粧品を手にした人は、うれしいに違いない!
使った人が喜んでくれるということは、商品を開発する立場の人にとって、大きなモチベーションになるでしょう。
ポジティブなサイクルで、みんながハッピーになる、とても素晴らしい取り組みですね。
これからもっと輪が広がっていけばいいなと思います。

わたしの仕事について、思うこと

残念ながら、わたしが勤める会社はこのプロジェクトに参加はしていません。
でも、余剰品は定期的に社員に向けて放出されます。何かできることがないものか…その答えはまだ見つかっていません。

また、処方開発に携わる立場として、別の視点で思うこともあります。
処方開発の仕事は、新商品の開発のため、お客様に新しい価値をお届けするため、何度もトライアルを重ね、処方開発を行っています。
納得のいくテクスチャーに仕上げていくには、何通りもの原料の組み合わせを試し、配合量を調整して、処方開発を進めます。
安心して使っていただくためには、安定性の確認も必須。
そのためには、さらに処方の改良とトライアルが必要です。
そして、プロジェクトが終了すると、余った試作品を大量に廃棄します。
必要な過程だと理解してはいますが、このような過程に、わたしは少しむなしさを感じていました。
商品に採用されればまだやった甲斐がありますが、行き場がないまま、廃棄されていく試作品たち。
どこか、日の目を見る機会に恵まれないものか…
今日もモヤモヤを抱えながら、仕事をしています。

まずは、思いを言葉にして放つこと。
これが今のわたしにできることの第一歩かなと思ったので、この記事を書きました。
社会のためにわたしにできることは何か?これからも模索し続けていこうと思います。


最後までお読みいただき、ありがとうございました❤


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