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偶像崇拝

 夢か、幻か。
 狂おしいほどに魅了するのは、優しい弧を描く唇、伏せたまつげ、胸の前で組まれた祈りの形。すべてが完璧な位置で整えられた、美しいもの。神々しいと口にすることすらおこがましいと感じながら、その美しさに酔いしれる。
 ただ佇む姿のなんと神々しいことか。出会えた幸せに、死んでもいいとさえ思えた。
 震える指先が、真白の肌に伸ばされる。
 触れたら穢れる。けれど触れずにはいられない。ぎりぎりの距離を見極めながら、その完璧な美しさを求め続けた。

 ーーーある朝、白い石を抱いた芸術家が倒れているのが発見されたと、ニュースキャスターが報じた。永遠の眠りについた彼は、幸せそうだったと、噂になったという。

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