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イッツマイクマ、イッツマイカバー

アジアカップはすでにノックアウトステージになっている。
なんとなく予選を突破したし、なんとなく勝ち上がっていくのだろう。
日本代表が強いのもなんだけど、弱いのはそれはそれでよくない。
小さなゴミクズの集まりであっても問題点はそれ相応に積もっていく。
ヒヤリハットって言葉がぐさりと胸に突き刺さってくる感じがした。
そんな日本代表で戦う我らの毎熊選手の一挙手一投足に反応する毎日。
おお、とか、ああ、とか叫び続ける僕の姿を見て、
「イッツマイクマ、海外行くしかないな」ですって。ごもっとも。
それにしてもこの二年間で相当なくらい駆け上がったなと思う。
なにせ昨シーズンはベストイレブンなわけでもあるのだ。
イッツマイクマとか簡単に口にするのも畏れ多い時代になってしまった。
それくらいただならぬ空気感になってきているのもよくわかる。
やっぱりそう遠くない未来に海外へ行くことになるんやろうか。
そんなことを思いながらぼくは仕方なくボン・ジョヴィを口ずさむ。

いま、大阪に向かう新幹線のなかでこれを書いている。
最近なんだか、寝ても寝ても体の疲れが取れない。
さっきも隣の人から何度も何度も肩を揺すられた。
それでもまったくと言っていいほど起きなかった(らしい)。
歳のせいなのかそれとも仕事が性に合っていないのだろうか。
そんなことを考えながらひとまず読書に耽ることにした。
しかしページをめくるたびにヒタヒタと睡魔が近づいてくる。
本格的に寝るしかないかと思いながら各駅停車のごとく本を読む。
それにしても東京と大阪なんてあっという間の二時間半なのである。
映画で言ったら一本分。サッカーでも一試合分なわけだ。
近い未来ではリニアによってもっと早く着くわけでもあるし。
時代の進化とぼくの退化はとんでもないくらいシンクロしている。
死ぬ頃にはどんな日本になっているんやろうか。
新幹線の座席で考えることでもないのだろうけれど。

寝落ち時の善後策「新大阪止まり」の力を借りることはなかった。
荷物を片付け大量の乗客を吐き出す降車口へとぼくは足を進めた。
するとツカツカと隣の席の方がこちらに近づいてくるのが見えた。
お、おう。反射的にぼくは身構える。
「お前が寝てたから通られへんかったやんけー」
至極真っ当な因縁をつけられるのではないかと内心ヒヤヒヤしていた。
…いやいや、多分、違う。
隣の御方の顔には満面の笑みがたたえられているではないか。
「お持ちのブックカバー、とても素敵ですねー」
お、おう?え?そこ?なに?
予想外のブックカバー・オブ・ジ・イヤーに一瞬言葉を失いかけた。
「こ、これドラクエ、ドラゴンクエストなんすよ…素敵ですかね?」
「そーなんですか?てっきりジョジョかと思いましたよー」
ああ素晴らしきかなイッツマイカバー。ボン・ジョヴィが蘇る。
ぼくはところどころ痛みを帯びている八年来の相棒を握りしめた。
もうしばらく一緒にいようと心からそう思った。

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