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[徒然]CoCo壱の2辛は僕には早すぎた。

京王線ユーザーは、千歳烏山駅のことを「ちとから」と呼ぶらしい。

初めて聞いた時から、その生活感溢れる響きが気に入った。

そして今、僕は空腹の状態で美味しい飯屋を求め、ちとからを彷徨っている。

最近は、僕は頑張っている。自分史上チョイむずのことに挑戦をしている。いや、チョイどころじゃないかもしれない。人生を賭けた挑戦をしようとしている。

だから精神的にも体力的にもちょっと疲弊している。

たまに弱気になることもある。やはり安心して挑戦できる環境とは幸せなものだが、今の僕の場合、崖っぷちの挑戦だから、逃げられない状況なんだ。詳しくは説明できないが、そういう感じだ。

だから、今日はちょっと気分を変えて、自分を元気付けるために外食でもしようと思ったのだ。

そして、ちとからに行き着いた。


ここは実にいい街だ。薄暮の京王線沿いは最高だ。特に古びた誰もいないコインランドリーが夕日に照らされているのを見ると、不思議とエモティックな気持ちになるものだ。

だが、今はそんなことを考える余裕がない。朝から何も食べていないのだ。

ああ、この空腹をどうにかしたい。お金はそんなにないから予算は少なめで、美味しい飯を恵んでくれる場所。


そしてCoCo壱に辿り着いた。僕がCoCo壱に来たのは、偶然じゃない。必然の出会いだった。そう思ったのは、ドアを開いた瞬間にスパイシーな香りが迎えてくれたからだった。

あぁ、至福の時間が始まる。僕はワクワクして、1番奥のカウンターに座り、すかさずにメニューを見る。

普段はCoCo壱に行かないからどんなメニューがあるのか知らない。


・・・ほう。

カレー、の上に肉が乗っている。唐揚げなり、ウインナーなり、カツなり、多種多様な肉がカレーの上で輝いている。

僕は気分的にソーセージカレーに決めた。

「すいません〜」

「お伺いしま〜す!」

「え〜と、ソーセージカレーを一つで、お願いします」

「辛さはいかがしますか?」


ん・・・? 辛さ?


「1から10までお選びいただけます」


完全に盲点だった。そしてメニューをよくみてみると、辛さの説明がされていた。

1辛が「一般的な辛口程度」、そして2辛が「1辛の約2倍」ということだった。

僕はあまり辛いのが得意ではないのだが、CoCo壱に来てまで1辛というのも、なんだか味気ない。

僕がここで保守的になる意味はあるのか?

老いてく為だけに生きるのはまだ早いだろう

ゆず『REASON』

ゆずの歌が頭に一瞬流れた。

そうだ、僕はここで挑戦せずにいつ挑戦するんだ?

あぁ、やってやろうじゃないか。やろうじゃないか!


「あ、すいません、じゃあえっと、2辛でお願いします」


そして運ばれてきた2辛のカレー。



案の定、辛かった。辛いのが苦手な僕は額にキラキラと汗をうかばせながらカレーを無我夢中で食べた。熱いし辛いし、大変だ。

でも美味しかった。すごく美味しかった。

僕は汗を背中までかきながら、カレーに勝利した。


僕には、2辛はまだちょっと早かったかもしれない。

それでも。

それでも挑戦して後悔はなかった。美味しかった。

そういう人生を送りたい。


なんてことを思いながら、歩く夜のちとから

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